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概要:大企業に務めながら週末旅行をするリーマントラベラーの東松寛文さんと、大企業内で育休中に新規事業を立ち上げたというeiiconの中村亜由子さん。ミレニアル世代のこの二人はなぜ、こうした働き方を選択できたのだろうか。
左から、リーマントラベラーの東松寛文さん、eiicon社長の中村亜由子さん、浜田敬子。
「夢を叶える」「自分らしい生き方を実現する」と考えたときに、多くの人が独立、起業を思い浮かべるだろう。しかし、大企業に在籍しながら主体性を持った生き方をしている人もいる。どのようにしてそれを実現したのだろうか。
大手広告代理店に勤めながら週末に旅をし、5大陸18カ国、世界一周を実現した“リーマントラベラー”の東松寛文さんと、総合人材サービス大手・パーソルキャリアに在籍しながら社内起業を実現したeiicon(エイコン)の代表の中村亜由子さんが語り合った(聞き手はBusiness Insider Japan統括編集長の浜田敬子)。
思い立ってから、100人に話を聞いた
パーソルキャリア株式会社 eiicon company代表の中村亜由子さん。 東京学芸大学卒業後、2008年インテリジェンス(現・パーソルキャリア)に入社。編集、新規開拓営業、IT・インターネット領域における正社員の転職支援営業を経験。育休中の2015年に起案したプロジェクトを、現在は事業責任者として社内カンパニーを経営。著書に『オープンイノベーション成功の法則 大共創時代の幕開け』。
——まず、中村さんが事業を立ち上げた経緯を教えてください。
中村亜由子さん(以下、中村):私が代表を務める「eiicon」はオープンイノベーションプラットフォーム事業、すなわちオープイノベーションに特化したビジネスマッチングプラットフォーム です。
きっかけは一人目の子の育休中だった2015年、地元にしばらくいた際の出来事です。当時、親戚が働く会社が親会社と縁が切れるので、新たな連携先を探しているという話を聞きました。私自身が求人サイトの運営に携わっていた経験もあったため、企業が企業を求めるサービスもあるはずと調べてみたのですが、意外にもそういうサービスはほぼ皆無。苦労を強いられている企業が多いことを知りました。 探し方はアナログの手法がメインで、「紹介」やクローズドのマッチング。特に地方は、一社を紹介してもらうためにわざわざ東京に行って、知り合いに紹介してもらうとか……。「まずは、会いたいと思った企業同士が出会えるように」。地の利に関係なく、企業同士が出会える場を創りたいと考えました。
事業を立ち上げたばかりの頃、創業メンバーの富田さん(中)、田中さん(右)と。
——会社を辞めて起業するのではなく、社内で立ち上げたのはなぜですか?
中村:少し迷いました。ただ、そのタイミングでちょうどパーソルホールディングスで新規事業採択プログラムが始まると聞き、応募してみることにしました。育休中でしたが、まずは100人と決めて、さまざまな方に壁打ちしてもらいました。その方たちには今でも本当に感謝しています。
ビジネスモデルを考える際にはVCの方や起業家の方のところへベビーカーで押し掛けたことも(笑)。テレビ面談を申し込んで「こういうサービスはどうでしょうか」と何度もインタビューをしました。
「旅行が好き」だったからではなかった
東松寛文さん。1987年岐阜県生まれ。平日は広告代理店に勤務するかたわら、週末で世界中を旅す「リーマントラベラー」。2016年、3カ月で5大陸18カ国を制覇し「働きながら世界一周」を達成。現在、東洋経済オンライン、CLASSY.等で連載・執筆中。著書に『サラリーマン2.0 週末だけで世界一周』。
——東松さんが、週末を使って旅をしようと思ったきっかけは?
東松寛文さん(以下、東松):もともと旅行に興味があったわけではないんです。 NBAが見たくて2012年、とりあえず連休5日間でアメリカに行ってみた。そうしたら意外と簡単に行けちゃった。英語も必要ない。それに気がつき、試しに3日間で韓国、土日でオーストラリアに行ってみたら、それも行けてしまい、さらには十分楽しめてしまった。そこから週末だけでも海外旅行に行くようになりました。
ただ旅行に行くようになってから、働き方がどんどん効率化され、考える時間できた結果、悶々としたんです。自分のやりたいことは何か、と。お金をもらっている以上、会社の中でやりたいことを見つけなければと思っていたんですね。目指す姿がわからなくて、もう会社を辞めようと思ったのですが、辞めてまでやりたいことはなかったし、好きな旅行を続けたい。
アメリカ、マイアミにて。スーツを干しながらビーチを楽しむ東松さん。
——読者投票(Business Insider Japan主催の「ビヨンドミレニアルズ」への投票)で圧倒的な支持を集めたのも、会社を辞めるハードルが高く、辞めずにチャレンジしていることへの共感からだったと思います。
東松:そうかもしれません。独立、起業した人が目立ちますが、会社にいて「何かしなきゃ」と思っている人もたくさんいる。僕がサラリーマンだからこそ伝えられることがあるのではないか ——。
それで今できること、サラリーマン、弾丸旅行、文章書くことを掛け合わせ、2016年、自分を「リーマントラベラー」と名付けて世界一周にチャレンジしました。
休み方を変えたら、働き方も変わった
グアテマラ、十字架の丘にて。
——週末を充実させるために働き方も変わりましたか?
東松:変わりました。それまではダラダラ仕事して飲み会も多かったのですが、旅行を始めたら金曜夜に空港に行くために効率よく働く。旅行しない週は空いた時間をさまざまなインプットに当てました。精神面でも自信がつきました。 以前は、接待の場でも、先輩と比べると僕なんかが話すことなんてないと思っていましたが、旅行に出るようになって、人前でも臆することがなくなりました。
僕の場合、普通の人がやらないことをやっているので、人と違うインプットができることも強み。大企業ほど年次の壁は厚いので、一年目が二年目の人より自信を持つことは難しいのですが、社外に違う軸を持ったことが自信になりました。人生に主体性を持つことで変わったんです。
中村:平日の仕事をいかに効率よく行うかという点では、私も同じです。今、子どもが3歳、0歳で、平日は7時〜16時の勤務で17時半に保育園にお迎え。朝、保育園に送っていくのは夫ですが、お風呂や晩ごはんは私の役目です。
独身時代は24時間働けると思っていましたが、今は子どもたちとの時間も大切。夕方以降パソコンを開かないようにするために、日中の生産性は本当にこだわるようになりましたし、集中力もアップした気がします。 ただ、二人の母や夫には本当に助けてもらっています。二人の母と夫と私のLINEグループがあり、子どもが熱を出した日にはLINE電話でお迎えの段取りを整えたり(笑)。どうしても月に数回は夕方以降の仕事も入るので、その日はすべて母がこなしてくれていますね。でも土日は100%子どもと遊びたい。フルで遊ぶための土日スケジューリングも時にはしてしまうほどです。
■日本最大級のオープンイノベーションプラットフォーム「eiicon」について、詳しくはこちらから 「辞めても人生終わらない」と思って覚悟ができた
休日は一日中家にいることがなく、必ず出かけているという中村さん。
——経営者、母親という絶対に逃げられないものを2つ抱えているわけですが、苦しくなることはありませんか。
中村:今はもうないです。辛かったのは立ち上げのとき。 一人目の子の育休中に提案した事業を、育休明けに立ち上げたのですがもうボロボロでした。
笑い話よりひどいのですが、予算会議が育休中に開かれたために、復帰後予算が取れていないという事態に陥り、何度も会社を説得。新規事業の立ち上げについても初心者だったので右も左も分からなかったんです。開発もかじったことがないのにWebプラットフォームを立ち上げる構想でした。 子どももまだ1歳でよく熱を出していたので、浅い息を繰り返す子どもを抱きしめながら「何のために仕事してるんだろう」と涙が出ることもしばしばでした。
夫に初めて「辞めたい」と言ったのもこの時期です。「辞めたかったら辞めていい」と言われ、「自分で決めていいんだ」と目が覚めたような感覚を持ちました。 そして、辞めても人生は終わらない、やれるチャンスがあるのに辞めたらその後ずっと引きずる、と気づいたんです。
事業を諦めるか会社を辞めるか、というところまでいきましたが、最後の最後で突破できました。この事業は世の中にとって絶対に必要。この事業があれば日本の企業の連携のあり方が変わる。その使命感が原動力となったのだと思います。
2017年11月開催、eiicon初の大型カンファレンス「Japan Open Innovation Fes」にて。
東松:最初、中村さんの話を聞いて「そんな働く必要があるかな」と思ったんですが、よく考えると僕と似ていると思いました。楽しいから諦めない。僕は旅行にもっと行きたいという気持ちがあるから行く。アウトプットが違うだけですね。
中村:そう思います。先ほど東松さんが「人生に主体性を持つことで変わった」とおっしゃいましたが、私も事業を立ち上げたことで、自分の人生は自分でデザインできると実感しました。
管理職になることを躊躇する女性もいると聞きますが、もしやりたい気持ちが少しでもあるなら、やってみたほうがいいのではと私は思います。今はどんどん働きやすくなっていて、働く女性には追い風。世の中が背中を押してくれているように思います。子どもがいても「これをやりたい」「こういう働き方したい」と言えばどのように実現できるかを、会社が共に考えてくれる時代になってきていると感じています。
100点を目指さない。自信がなくてもやってみる
聞き手を務めた統括編集長の浜田敬子。
——お二人ともやりたいことを実際にやってみたわけですが、いまの学生やミレニアル世代の中には「やりたいことがわからない」という人も多いのです。お二人からアドバイスをいただけますか。
中村:「やりたくないことをやらないこと」が、「やりたいこと」の発見につながるのかな、と思っています。
東松:僕は自己分析をする時間を意識的に作るべきだと思います。お金で自分を計ろうとしたり、人が良いという価値観に惑わされたりする多くの人たちの特徴は、自分がこうなりたいという観点が抜けている。もっと自分と向き合って考える時間をとるといい。旅に出ると五感をフル活用するので、好き、嫌いが色濃く出ます。そこにこそ、自分を見つけるヒントが眠っていますね。旅でなくても本を読んだときに沸き立った気持ちの奥を掘っていくと自分がわかる。
中村:本当にそうですね。私は自信がなくて……。
東松:ええっ、そうなんですか。
中村:はい。いまだにないですが、以前は、自分が「こうしたい」と思っても「まだ成績が伴っていないからするべきではない」と打ち消してきました。でも事業を立ち上げてからは、自分が「こうしたほうがいい」と思ったことは、多少自信がなくてもチャレンジしてみようという考え方に変わりました。とりあえず「やってみたい」とか「やろう」と言葉に出すだけでも変わると思います。
eiiconのみんなと。
東松:僕も入社当時はクリエイティブ志望だったんですけど、恥ずかしくて言えなくて(笑)。見た目が体育会系キャラなので、人からの見られ方で自分を決めていて、他人がしてほしいことをするほうが楽だと思っていました。 リーマントラベラーのアイデアを思いついたときも、不安だったので20日間で会社の人から学生時代の友人まで120人に会って相談したんです。
そこで気づいたのは、誰もやったことがないので正解はないということ。応援してくれる人もいるけど、「それならもっと働け」と言う人もいる。でも結局自分のワクワクが超えちゃったからやるしかない。Facebookに自分の熱い思いを思い切って書いたら、たくさんの人が応援してくれて、自信がつきました。
ゼロか100ではなく、1ができることが大企業の強み。たとえ間違っても死ぬわけではない。サラリーマンであるメリットを最大限活用すればいいんです。サラリーマンをしていると共感してもらいやすいし、日本では信頼してもらえますよね。
サウジアラビアでサッカー観戦をする東松さん。旅をして現地の人と話し、自分が知らない価値観に触れたことが人生を考えるきっかけの一つになった。
——最後に、今後やってみたいことがあれば教えてください。
中村:高校のときから「世界平和に貢献したい」という思いがあります。プライベートでは途上国の子どもの支援もしているので、その子たちにも会いに行きたい。 でもとにかく今は、eiiconの事業でオープンイノベーションが企業の戦略において当たり前の手法となるように、そして大企業も中小企業も関係なくあらゆる企業が新規事業を興していけるように頑張りたいと思っています。 eiiconもグローバルに広げていきたい。できることはすべて、諦めずにやりたいですね。
東松:僕もいろいろあります。旅行はもちろん続けますが、一番は“誰かの選択肢”になりたい、と思っています。こんな人がいるんだ、だから自分もやってみようかなと、誰かが何かしてみたいと思うきっかけになりたいんです。 発信することで主体性が生まれて新しい自分が始まったと思うので、僕がしたような体験を、多くの人に味わってもらえるよう広めていきたいですね。
中村:私ももっと挑戦していきたいと思います。
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