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概要:自動車メーカーのエグゼクティブは、さまざまな問題に忙しく取り組んでおり、テスラに頭を悩ませる暇などない。
テスラはずっと、伝統的な自動車業界に影響を与えていると考えられてきた。
テスラはある種の影響を及ぼしてきた。だがそれは業界の大きな動きの中では、比較的小さなこと。
自動車メーカーのエグゼクティブは、さまざまな問題に忙しく取り組んでおり、テスラに頭を悩ませる暇などない──もし、テスラが本当に影響力を発揮してきたなら、既存の自動車メーカーは即座に大量のEVを作り、販売するだろう。
もしあなたがテスラと、テスラのニュース、噂、憶測、そしてツイッターでの発言にまつわる絶え間ない騒ぎを追っているなら、昨年、25万台をようやく販売できた、比較的小さな生まれたばかりのカリフォルニアの会社を自動車業界すべてが必死になって追いかけているように思うかもしれない。
これはまさにテスラの「現実歪曲空間」。とはいえ、CEOイーロン・マスク氏だけのせいではない。テスラ・ファンは集団として、ドラマチックなほどに大げさだ。
私はデトロイトモーターショーに行ってきた。現地で自動車メーカーの多くのエグゼクティブと話をしたが、「テスラ」の名前は一度も出てこなかった。テスラはデトロイトモーターショーに出展していない。これまでもモーターショーに出展したことはない。なぜか?
テスラは3車種しか販売していない。ショーに展示できる車種の約半数 ── 新しいロードスター、トラック、ピックアップはまだ生産前、もしくはコンセプト段階だ。
テスラのことを心配している暇などない
キャデラックのEVプラットフォーム。
Cadillac
全体的に見て、自動車業界はテスラのことを心配しなくても、うまくやっているし、取り組むべき大きな問題が数多くある。
アメリカの自動車販売台数は2018年、再び、記録的なレベルとなった。ユーザーに最も人気の車 ── SUVとピックアップトラックはまた、最も利益率の良い車でもある。
だがGMは事業の積極的な拡大に務め、採算の悪い工場を閉鎖し、自動運転車とEVへの投資を拡大している。フォードは思い切ったリストラクチャリングを進め、フィアット・クライスラー・オートモービルズは昨年、CEOのセルジオ・マルキオンネ氏が突然死去したことを受け、新たな指導体制の構築に取り組んでいる。そして日産の元会長、カルロス・ゴーン氏は東京拘置所に勾留されたまま。
テスラの影響についての過大な予測は、実際、自動車業界にとって、まだ深刻な痛みにはなっていない。だが、その誇張された影響力はより大きくなり、ある時点では深刻なものになる可能性がある。
真実は、テスラは自動車業界が必要としたり、真似したくなるようなことはほとんど行っていないということ。
現時点では、テスラが及ぼしたと思われる大きな変化は、GMとフォードが販売データを月次ではなく、四半期ごとに発表するようになったこと。本質的に会計の問題だ。
EVは実は簡単
GMは2016年、シボレー・ボルトを発表、約1年で市場に送り出した。
Bill Pugliano/Getty Image
EVはエンジニアリングの観点から見れば、さほど難しいものではない。GMが、長い航続距離を誇るマスマーケット向けEV、シボレー・ボルトを約1年で開発、製造、販売できたことが何よりの証拠。ボルトは2016年後半から発売されている。EVのポイントはバッテリーとモーター、その2つだけと言っていいだろう。
テスラのソフトウエアとインフォテイメントシステムは注目を集めている。だが自動車のコア要素ではない。テスラは2018年、明らかにそのことを学んだ。同社は自動車の大量生産の基盤づくりに悪戦苦闘した。既存メーカーが1980年代には完成させたことだ。
デトロイト(アメリカの自動車業界)はEVに関して素晴らしい発表を行った。
デトロイトモーターショーから届いた2つのビッグニュースは、GMがキャデラックを同社のEV化を先導するブランドとすると決定したこと、フォードがベストセラーのピックアップトラック、F-150のEVバージョンの開発を発表したことだ。
テスラ・ファンが見逃しがちなことは、EV化(電動化)は大手自動車メーカーにとって明らかに簡単なことだということ。
だがテスラにとっては難しかった。なぜなら、テスラは15年の歴史しかなく、車を相応のボリュームで生産した期間はたった3年のみ。毎年、数百万台におよぶ、さまざまなタイプの新車を消費者に提供するには、長い経験と実績の蓄積が欠かせない。
テスラの強みはアップルと同じように、既存のアイデアを改良することにある。
10年前、テスラはバッテリーを改良した。車のソフトウエアを初めて通信でアップデートし、ラグジュアリーEVのデザインと性能を確立した。そして急速充電ステーションのネットワークを拡充することが、十分なEVのセールスにつながることを証明した。
誤解しないで欲しい、テスラは偉大な企業
テスラCEO、イーロン・マスク。
Patrick Fallon / Reuter
もちろん、既存の自動車業界はEVに注目している。だがその一方で、テスラは自動車メーカーのエグゼクティブたちが眠れなくなるようなことは何もしていない。
自動車業界には、ガソリン価格、与信状態、為替レート、予期せぬ地政学的リスクなど、自分たちではコントロールできないことが存在する。そしてさらに、トランプ大統領もいる。
もしテスラが実際に、メーカーのエグゼクティブたちがぐっすり眠れなくなる状況を生み出したなら、その時、エグゼクティブたちが行うことはシンプルなこと ── EVをたくさん作ることだ。自動車メーカーができること、1世紀もの間やり続けてきたことは、自動車を作ること以外ない。
既存の自動車メーカーはテスラとの競争にはまだ積極的ではない。競争にはコストがかかる。
フォードとGMはピックアップトラックで競争している。だが両社は同時に、毎年、利益率の高いピックアップトラックを相当な量、販売している。そして、今後長い間、それを続けたいと考えている。彼らはゲームの本質を良く理解している。
一方、利益率が低く、あまり販売量が見込めないEVに力を入れすぎることは、お金を無駄にすることにつながる。
環境面から見れば、既存の自動車メーカーが自社の車をすべてハイブリッド化することはとても良いことだろう。しかし残念ながら、テスラが大きな影響力を発揮すれば、拡大したハイブリッド市場は弱体化し、ユーザーはより高価なEVを購入しなければならなくなる。
誤解しないで欲しい、テスラは素晴らしい企業だ。素晴らしい車を作り、人気のあるEVブランドを作り上げ、自動車業界の誰もが可能とは思わなかったことを成し遂げた。
だが自動車業界に根本的な影響を与えているだろうか? まだだ。
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[原文:Everyone who's telling you that Tesla is influencing the rest of the auto industry is completely wrong]
(翻訳、編集:増田隆幸)
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