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概要:Christopher Beddor [香港 15日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国経済はハードランディングには見舞われていないが大幅に減速し、今や世界中の資本市場を揺るがせている。しかしこうした状況を回避することは可能だった。ピーターソン国際戦略研究所のニコラス・ラ―ディー氏の新刊「ステート・ストライクス・バック(国有企業の逆襲):中国の経済改革は終わったのか」は、世界金融危機後の中国の景気減速は政策の不手際が原因と分析している。 中国の成長
Christopher Beddor
[香港 15日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国経済はハードランディングには見舞われていないが大幅に減速し、今や世界中の資本市場を揺るがせている。しかしこうした状況を回避することは可能だった。ピーターソン国際戦略研究所のニコラス・ラ―ディー氏の新刊「ステート・ストライクス・バック(国有企業の逆襲):中国の経済改革は終わったのか」は、世界金融危機後の中国の景気減速は政策の不手際が原因と分析している。
中国の成長率は金融危機前の4年間に年平均12%だったが、2015年以降は7%弱に落ち込んだ。ただ、減速には避けようがない面もあった。ラ―ディー氏によると、元安や高い貯蓄率、巨額の貿易黒字で加速した成長が、より持続可能な水準に戻ったことで、減速の半分は説明がつく。
この著作の核心は「回避可能だった」残り半分を解き明かしている点にあり、その大部分が国有企業の復活だ。ラ―ディー氏によると、企業向け融資全体に占める国有企業の比率は2011年に28%だったが16年には80%余りに上昇。一方で民間企業向けの比率は半分強からわずか11%に低下した。
要するに資源の配分ミスが起きたのだ。国有企業のROA(総資産利益率)は民間企業に劣っており、そのギャップは金融危機以降に広がった。ラ―ディー氏の試算によると、国有企業の経営効率が民間企業並みであれば、中国の2007─15年の平均年間成長率は最大で2%ポイント押し上げられていたはずだという。
さらに事態を悪化させたのは国有企業の負債の増加で、企業の借り入れの対国内総生産(GDP)比は2009年には120%前後だったが16年には170%近くに上昇した。国有企業の復活は企業幹部の間で信頼感の低下も招き、民間投資が落ち込んだ。
ラ―ディー氏の著作には明るいメッセージも含まれている。発展途上国は先進国並みを目指す急成長がいずれ勢いを失うものだが、中国はまだその段階に近づいていない、というのだ。日本や韓国、台湾、シンガポールはいずれも、1人当たりGDPで見て今の中国と同じ発展段階を踏み、さらに成長を続けた。ラ―ディー氏によると、仮に中国政府が改革を再開すればさらに20年間にわたり8%以上の成長を続けることが可能だという。
この著作で最も考えさせられる部分は、何が起きたかということだけでなく、その理由を解明しようと試みて今後の改革の見通しにつなげている点だ。ラ―ディー氏によると根本的な障害は、「国有企業は成長の足を引っ張っているかもしれないが、共産党の立場や支配を維持するのには不可欠だ」という最高指導部の考え方にある。
つまり、中国の政治システムは大胆な改革について、不可能ではないとしても実行を困難とするような仕組みを内部に抱えているのではないかという問題提起であり、これは盛んに議論の対象となっている民主主義と富の間の関係というテーマにもつながる。一握りの小国を除くと独裁体制国家が富裕国に仲間入りした例はない。中国はこの法則をひっくり返しそうに見えたが、やはりだめなのだろうか。
中国の政治的な側面は、国内では変化到来の気配を感じとっている向きもあるだけに、大変に興味をそそられる。金融危機以降、ビジネス界では「国進民退(国有企業が躍進し、民間企業は退潮する)」という言葉がささやき交わされていた。ラ―ディー氏は2014年の著作「マーケッツ・オーバー・マオ」でこのテーマを取り上げ、与信獲得で国有企業が民間企業を締め出しているという主張は全く間違いだと論じていた。
しかしデータに変化が生じ、数字に基づくラ―ディー氏の主張も変わった。それ自体は悪いことではないが、ここから読み取れるのは、中国政府のブラックボックスの内部をのぞき、将来を見通そうとするとき、いかに慎重にデータを分析しても限界があるということだ。
金融危機後に「国進民退」を口にしていた人々は、国有企業への資金の流れを注目していたのかもしれないし、風向きの変化を感じ取る政治的な第六感のような、もっと微妙なものがあったのかもしれない。いずれにせよ中国の民間セクターは、統計に表れる何年も前に国有セクターがもはや退潮しておらず、逆襲に転じたことを直感的につかんでいた。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
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