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概要:ベゾスはクレームをつけているが、打ち上げシーンはクール!
2月22日に打ち上げられたスペースシップ2「VSSユニティ」。宇宙空間に到達したのは2度目。
Virgin Galactic; MarsScientific.com/Trumbull Studio
リチャード・ブランソンが設立した宇宙旅行企業ヴァージン・ギャラクティックは2月22日(現地時間)、初めてパイロット以外の人を乗せ、NASAが宇宙空間と見なす高度を超えた。
ヴァージン・ギャラクティックのチーフ・アストロノート・インストラクター、ベス・モーゼスは乗客用キャビンに搭乗し、2人のパイロットとともに宇宙空間に到達した。
スペースシップ2「VSSユニティ」は3名の乗員を地上から約56マイル(約90キロメートル)の地点まで打ち上げた。3名は数分間の無重力状態を体験した。
だが、自身も宇宙旅行企業ブルー・オリジンを所有するジェフ・ベゾスは、打ち上げに先立ち、ヴァージン・ギャラクティックの能力に疑問を呈した。
ベゾスは、ヴァージン・ギャラクティックのロケットは国際的に地球と宇宙の境界線と考えられている地上62マイル(約100キロメートル)を超えておらず、ヴァージン・ギャラクティックで宇宙旅行を行った人の名前の横には「アスタリスク」、つまり注釈が付く恐れがあると述べた。
リチャード・ブランソンの宇宙旅行企業ヴァージン・ギャラクティック(Virgin Galactic)は初めて、パイロット以外の人を乗せて宇宙船を打ち上げた。
このフライトは、より手軽で安全な弾道軌道による宇宙観光時代の幕開けを目指す、複数の企業による数十年におよぶ努力の成果。
2月22日(現地時間)、ヴァージン・ギャラクティックの宇宙船スペースシップ2(SpaceShipTwo)「VSSユニティ(Unity)」は、2つの胴体を持つ母機「ホワイトナイト2(WhiteKnightTwo)」の翼の下に吊り下げられて離陸。予定の高度に達した後、ユニティは母機から切り離され、ロケットエンジンに点火、宇宙空間に向け急上昇した。
ヴァージン・ギャラクティックによると、ユニティは音速のおよそ3倍の速さ(マッハ3)まで加速し、高度55.87マイル(89.9キロメートル)に達した。これは一般的な旅客機の巡航高度の約10倍の高さ。ユニティが、アメリカ政府が宇宙空間の始まりと考える境界線を超えたのは今回が2度目となる。
ヴァージン・ギャラクティックの最初の乗客は、25万ドル(約2800万円)のチケットを購入した顧客ではなく、同社のチーフ・アストロノート・インストラクター、ベス・モーゼス(Beth Moses)。彼女は乗客用キャビンをテストし、数分間の無重力状態を体験した。同社は、モーゼスは商業宇宙船に搭乗した初の女性になったと述べた。
「クルーは、暗い宇宙空間から地球の素晴らしい眺めと、数分間の無重力状態を楽しんだ。ベスは無重力状態で乗客用キャビンのチェックを行った」とヴァージン・ギャラクティックはプレスリリースに記した。
「センサーを介して事前に収集されたデータの人による検証、キャビン内部の他の物理的要素の実地テストは、安全で楽しい顧客体験を提供するための基礎となる」
宇宙空間に到達したスペースシップ2の内部。ベス・モーゼスはヴァージン・ギャラクティックで宇宙に行った初の女性となった。
Virgin Galactic
しかし、宇宙観光に興味を示すもう1人のビリオネア、アマゾンおよび航空宇宙企業ブルーオリジンの創業者ジェフ・べゾスは、打ち上げに先立ち、ヴァージン・ギャラクティックの能力に疑問を呈した。
「ヴァージン・ギャラクティックが取り組まなければならない問題の1つは、結局のところ、彼らがカーマンライン(Kármán line)をまだ超えていないこと。スペースシップ2には、その能力がない」とベゾスは2月19日、ニューヨークのイェール・クラブで行われたプライベート・イベントで語った。
ベゾスは、カーマンラインを超えなければ、宇宙飛行をした人の名前の横には「アスタリスク」が残ることになると述べた。
カーマンラインとは何か? ブルーオリジンがカーマンラインを目指す理由
宇宙から見た月。
NASA
地球と宇宙の境界線について、世界的に認められた公式な定めはない。たとえば、ちょうど2018年2月、研究者は地球の大気の端は、月を超えて15万マイル(約24万キロメートル)以上に広がっていると述べた。
だが、地球の空気圧は高度が上がると劇的に小さくなり、翼による揚力は地上50マイル(約80キロメートル)を超えると失われる。そのため、NASAとアメリカ空軍は地球と宇宙の境界線は高度50マイルと考えている。
だがベゾスはインタビューで「世界の多くでは、宇宙の端は高度100キロメートル(62マイル)と定められている」と述べた。
この境界線は、航空工学の父セオドア・フォン・カルマン(Theodore von Kármán)にちなんで「カルマンライン」と呼ばれている。カルマンは著書「The Wind and Beyond」の中で、高度57マイル(約92キロメートル)以上では「揚力を生み出す空気は存在しない」と記した。
世界中の飛行記録を認定しているWorld Air Sports Federationは、高度57マイル以上を宇宙との境界線としている。
ベゾスは、ヴァージン・ギャラクティックはカルマンラインを超える方法を確立する必要があると思うと述べた。
「我々は106キロメートル(66マイル)まで到達した」と彼は付け加えた。「我々」とは、自動制御かつ再利用可能な打ち上げシステム「ニューシェバード(New Shepard)」の開発を目指すブルーオリジンのこと。
ブルー・オリジンの再利用可能なロケット。
Blue Origi
ニューシェバードでは、ロケットは垂直に宇宙船を打ち上げ、その後、地球に戻り、着陸、整備を受けて再利用される。一方、クルーを乗せた宇宙船は上昇を続け、乗客は約4分の無重力状態を体験する。
ニューシェバードは国際的に地球と宇宙の境界線と認識されている地点を超えるよう設計されているとベゾスは述べた。また、宇宙飛行であることに疑問の余地はないと語った。
「我々は常にカルマンラインを超えることを我々のミッションとしてきた。なぜなら、宇宙飛行士であるかどうかについて、名前の横にいかなるアスタリスクも残したくなかったから」
ベゾスはブルーオリジンはまもなく、初めて人を乗せてニューシェバードを打ち上げる予定と語った。
「私が『今年』と言ったのは初めて。ここ数年、私は『来年』と言い続けてきた」
ヴァージン・ギャラクティックはいくつもの初成果をアピール
母機「ホワイトナイト2」に取り付けられて離陸する「スペースシップ2」。
Virgin Galactic
我々はヴァージン・ギャラクティックの広報担当者に、ベゾスの批判に対するコメントを求めた。同社の広報担当者はコメントを了承したが、この記事の掲載までにコメントは届かなかった。
だが、同社は今回のフライトの複数の成果をアピールするリリースを発表した。
「今日のフライトはこの業界に、いくつもの初成果を生み出した」とヴァージン・ギャラクティックはリリースに記した。
「今回のフライトはパイロット以外の人が商業宇宙船に乗って宇宙に達した初のフライトとなった。また商業宇宙船の乗客が宇宙空間で拘束具を使わずに無重力状態を体験した初のフライトであり、商業宇宙船で3人が宇宙に到達した初のフライト、そしてデイブ・マッケイ(Dave Mackay)は初のスコットランド人宇宙飛行士となった」
ヴァージン・ギャラクティックは22日、打ち上げの様子の動画を公開した。
via Gfycat
また今回のフライトはスペースシップ2による、5回連続の音速飛行にもなった ── これは同社にとって良い傾向。2014年10月、スペースシップ2の初号機「VSSエンタープライズ(Enterprise)」は飛行中に事故を起こし、パイロット2名のうち1名が死亡、1名が重傷を負った。
「同じ宇宙船(VSSユニティ)が2カ月あまりのうちに2度、安全に宇宙に行き、地球に帰還したこと、そして同時にフライトの可能性を広げたことは、我々が築き上げたユニークな能力の何よりの証拠」とブランソンはリリースに記した。そして同氏は以下のように続けた。
「今日、ベスがキャビンに搭乗して飛行したことは、我々の顧客の宇宙飛行が我々の宇宙船と同様に完璧であることを確かなものにし、宇宙を自身で体験することを楽しみにしている人すべてに大きな期待と興奮をもたらした。これから数カ月、もっとスリリングになることを約束する」
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(翻訳、編集:増田隆幸)
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