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概要:日本が世界一の経済大国になろうとしていたのがいつだったかご記憶だろうか。笑い話ではない。映画「博士の異常な愛情」に登場するドクター・ストレンジラブのモデルとされる米ランド研究所の未来学者ハーマン・カーン氏は1970年、日本の国内総生産(GDP)が2000年前後に米国を上回ると予測していた。
日本が世界一の経済大国になろうとしていたのがいつだったかご記憶だろうか。笑い話ではない。映画「博士の異常な愛情」に登場するドクター・ストレンジラブのモデルとされる米ランド研究所の未来学者ハーマン・カーン氏は1970年、日本の国内総生産(GDP)が2000年前後に米国を上回ると予測していた。
同氏の予測はその後、真実味を増した。米紙ロサンゼルス・タイムズが1995年に掲載した記事は、円高効果もありGDP規模で米国に並ぶまでほんの数カ月のところまで日本は近づいたと分析。日本経済にとって失われた10年であった90年代の半ばにおいて、こうした見方が極端でなかったとは信じ難いが、権威ある米外交専門誌の論文でも日米逆転の可能性が取り上げられた。90年代初頭の経済成長率から推定すると、この予測にはほぼ反論の余地がないように見えたのだ。
Future Imperfect
In 1995, it seemed plausible that Japan could overtake the U.S. in nominal GDP terms. That's not how things turned out
Source: IMF, Bloomberg, Bloomberg Opinion calculatio
Note: Extrapolated figures are produced by inflating 1995 GDP numbers at the 1990-1995 average growth rate. All figures in nominal U.S. dollars.
米中逆転について語られる今、われわれはこうした推定の問題点に留意すべきだ。米ブルッキングズ研究所が7日公表した研究論文によれば、中国政府が公式発表している経済規模は実際より約16%大きく、2008年から16年まで9年間の実質GDP成長率が年平均で2ポイント近く水増しされていた。中国政府が今年の成長率目標を昨年から引き下げたことを考えあわせると、一種の業績見通し下方修正だ。
Crystal Ball
Depending on your growth rate, the Chinese economy could overtake the U.S. in four years, or never
Source: Bloomberg, National Bureau of Statistics of China. World Bank, Brookings Institution, Bloomberg Opinion calculatio
Note: Assumed growth rates based, in order, on: China's historic minimum of 8% as of 2012; U.S. 10-year average 1.8% as of 2012; 6% lower end of current China GDP target; 6% lower end of current GDP target adjusted according to Brookings estimates; 2.2% U.S. 20-year average growth rate as of 2018.
スタンダードチャータードは10年、中国経済が20年までに米国を追い抜き、30年までに米経済の2倍近い規模になると予想。14年にはIHSマークイット・エコノミクスが24年に米中逆転が起きるとの見通しを示した。
習近平政権下で中国経済が減速する一方、米経済が加速したことに照らすと、こうした予測は非現実的に見える。市場の為替レートや時価ベースに基づくと、米国のGDPは18年時点で20兆5400億ドル(約2286兆円)と、中国の13兆900億ドルより約60%大きい。既知の事実に基づく推測が、いかにミスリードを招きやすいかが分かる。
Silver Age
China's working-age population is five times as big as America's at present. By 2060, it will be just three times as big
Source: U.N. population divisio
Note: Based on population aged 20 to 64.
米経済が20年間平均の2.2%でこれから成長し、現在の中国GDPと成長率予想にブルッキングズ研究所の論文が示した調整を加味すると、中国のGDPは50年まで米国を下回り続けることになる。その頃までの人口動態の変化も、米国に追いつこうとする中国にとっては逆風だ。中国の労働力は現在、米国の5倍近い規模だが、3倍強にまで縮小する。
The Human Factor
China's total factor productivity growth rate has been contracting throughout the Xi Jinping era
Source: Federal Reserve Bank of San Francisco, Conference Board
だからといって米中逆転が全くあり得ないというわけではない。実際に購買力平価(PPP)に基づくと中国の経済規模はすでに世界一だ(PPPとはつまり、同じ所得では中国の方が米国より豊かな暮らしができるという事実を調整する手段だ)。
そして経済規模の計測に大きな影響を与えるのが為替相場だ。1990年代半ばに1ドル=80円程度まで円高が進んだことが、日本経済を途方もなく大きく見せた一因だ。その上、最近の中国GDP公式統計は、ブルッキングズ研究所の論文が言うほどいいかげんではないという見方もある。
Big Trouble, Little China
China is still only about 15 percent of the global economy
Source: World Bank
Note: Figures in current U.S. dollars.
最も重要な点は、こうした数字は壮大な戦略予測を立てる上で、十分に堅固な基盤にはならないということだ。現時点で見ても、世界経済に占める中国の割合はわずか15%で、市場の為替レートを基にすれば予見し得る将来においてその割合が20%を超える公算は小さい。
実際のところ、長期的な経済予測の調整に気をもむことは、欧米の民主主義が壊れつつある一方で、中国やブラジル、ロシア、トルコといった国々で強権的な政権が自信を強めていることへの深い憂慮の裏返しにすぎない。リベラルな国際秩序が次世紀まで続くことを確実にしようと望むのであれば、想像上の未来の迫りつつある運命にこだわるよりも、今現在のリアルな問題に焦点を絞った方がずっといい。
(デービッド・フィックリング氏は商品および工業・消費者向け製品企業を担当するブルームバーグ・オピニオンのコラムニストです。同氏はブルームバーグ・ニュースやダウ・ジョーンズ、ウォールストリート・ジャーナル、フィナンシャル・タイムズ、ガーディアンで記者をしてきました。このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)
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