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概要:3月20日に一部のメディアが報じた、総務省の新料金プラン規制からの「楽天の適用除外」報道。その真偽と、楽天の置かれた立場を考察する。
撮影:今村拓馬
3月20日、一部メディアが「総務省が、完全分離プランを導入する際、楽天だけは除外する方向で検討している」と報じた。
2018年から各社が報じているように、総務省は、端末代金と通信料金を分離し、料金体系をわかりやすくすると共に、競争を促すことで料金値下げにつなげる、いわゆる「完全分離プラン」を推進している。
すでに、3月5日に電気通信事業法の改正案を国会に提出。関係者によると、早ければ10月にも施行されるのではという見方もある。
一方、楽天は第4のキャリアとして、2019年10月に携帯電話事業に参入しようとしている。仮に10月までに「完全分離プラン」新法が施行されれば、もちろん楽天も対象となる。
しかし、これまで「実質0円」や多額のキャッシュバックでスマホを購入してきた人からすれば、端末の割引がない中で、他社に乗り換えるというモチベーションはわきにくい。
撮影:伊藤有
現在、格安スマホとして楽天モバイルはキャリアよりも安価な通信料金で提供している。だが、NTTドコモが2019年6月に値下げを実施し、さらに夏に完全分離プランが導入されれば、大手3社で料金競争が起こり、キャリアと格安スマホの料金プランの差が無くなる可能性もある。
大手3社の料金競争と、完全分離プランの導入は、楽天にとって逆風になりかねない状況だ。楽天は、エリアに関しても東京23区、名古屋市、大阪市に関しては自社でネットワークを構築しなくてはならず、その品質において、他社に見劣る可能性はいまだ否定できない。
楽天は、圧倒的に不利な立場でNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクに戦いを挑まなくてはならない、と見る向きは多い。
「楽天は除外」特例は本当か? 揺れる通信業界
第4のキャリア楽天の開始は2019年10月予定。2月のMWC2019の基調講演に登壇した楽天の三木谷浩史社長は、「分離プラン導入」をどう見守っているのか。
撮影:石川温
そんななかで飛び出したのが、「総務省が、完全分離プランを導入する際、楽天だけは除外する方向で検討している」という報道だった。
あるキャリア関係者は「これでは公平な競争が歪められる。もし、楽天だけ除外なんてことがあれば、会社として反対の声明を出すこともあり得る」とささやく。
もし、完全分離プランの規制から除外されれば、楽天は、ユーザーが端末購入時に、通信料金に割引を適用して提供できることになる。もちろん、割引を適用しただけで逃げられては困るので、2年間の期間拘束(いわゆる2年しばり)もつけるだろう。
撮影:小林優多郎
これまで総務省は、大手3キャリアに対して「端末購入時、通信料金の割引はするな」「ユーザーを長期間、拘束するな」と言い、法改正までしようとしてきた。それだけに、「楽天への優遇」が本当ならば、3キャリアの反発は必至と言える。
ただ一方で、楽天は除外されても、必ずしも楽天のメリットにならない可能性もある。もともと、大手キャリアは高額な通信プランを提供しているからこそ、端末の大幅な割引ができるという背景がある。
仮に、楽天が端末の大幅割引を認められた場合、楽天は端末に割引を適用しつつ、他社に対抗できる安価な通信料金プランを提供しなくてはならない。
同時に全国にネットワークを広げていく必要もあるので、設備投資のコストもかさむ。これでは、どうやっても儲からないわけで、むしろ「楽天は端末割引はしないほうが得策」という考え方もできるのだ。
「含み」を残す総務大臣発言
撮影:今村拓馬
では、実際のところ、総務省は楽天を完全分離プランから除外するつもりがあるのか。3月22日に行われた石田真敏総務大臣の定例会見で、記者からの質問に答えたのが以下の内容だ。
「法案では、完全分離の対象について、“競争への影響が少ない携帯電話事業者”は、省令で定める基準により除かれることとしているが、法案はこれから国会でご審議いただく段階。現段階で具体的に基準を検討している事実はない。
ただ、一般論として申し上げれば、通信料金、端末代金での競争を促進するためには、広く完全分離を適用することが必要で、対象外となるものは極めて限定的とすると考えております」
つまり、「競争への影響が少ない携帯電話事業者」をどう捉えるかが、カギとなってくる。
新規参入し、ユーザーがゼロの状態からスタートする楽天を「競争への影響が少ない事業者」と捉えることも充分に可能だ。しかし、すでにMVNOで100万以上のユーザーを抱え、そうしたユーザーをMNOに移行する計画を立てている楽天が、「他のMVNOにとって驚異的な存在」と考えれば「競争への影響がある携帯電話事業者」として位置づけることもできそうだ。
そんななか、前総務大臣政務官だった衆議院議員の小林史明氏は「(対象外となるのは)ポケトークなどのIoT系などでは」というツイートをしている。
通信、端末の完全分離の対象外があるとすれば、楽天ではなくて、ポケトークなどのIoT系ではないかと。さすがに楽天が対象外はアンフェア。
— 小林史明(衆議院議員/広島7区/福山市) (@kb2474) 2019年3月22日
確かに完全分離プランが導入されると、通信料金を端末の販売価格に組み込んだIoT機器も売りづらくなる。こうしたIoT機器に影響が及ばないために「除外できる基準」を設ける可能性は充分にある。
果たして、一部報道がIoT機器と楽天を勘違いして、「楽天を除外することを検討」と報じてしまったのか。それとも、総務省あるいは内閣で、楽天を除外するように水面下で準備が進んでいるのか。
仮に楽天が除外されれば「総務省は競争促進には端末割引が効果的」と認めることになり、これまでの筋が通らなくなる。矛盾に満ちた法改正にならなければいいのだが。
(文・石川温)
石川温:スマホジャーナリスト。携帯電話を中心に国内外のモバイル業界を取材し、一般誌や専門誌、女性誌などで幅広く執筆。ラジオNIKKEIで毎週木曜22時からの番組「スマホNo.1メディア」に出演。
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