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概要:宇宙と地球の食料についての課題解決を目指す「Space Food X(スペースフードエックス)」プロジェクトが動き出した。企画運営の柱となるJAXA、リアルテックファンド以外にも、ものすごいメンバーが集まった。
宇宙と地球の共通課題である「食」の課題解決を目指す「Space Food X」の船出。最前列右奥には、元宇宙飛行士で東京理科大学特任副学長の向井千秋氏も。
撮影:川村力
宇宙航空研究開発機構(JAXA)が民間企業と連携して研究開発や事業創出を促進するプログラム「宇宙イノベーションパートナーシップ」の一環として、宇宙と地球の食料についての課題解決を目指す「Space Food X(スペースフードエックス)」プロジェクトが動き出した。
JAXA、研究開発特化型ベンチャーキャピタルファンドのリアルテックファンド(ユーグレナグループ)、経営コンサルティングのシグマクシスの三者が企画運営し、企業や大学、研究機関らが参画する。
プロジェクトの副代表を務めるシグマクシスの田中宏隆氏によると、「2015年ごろから世界中で食のイノベーション、フードテック領域への投資熱は高まっているが、宇宙食をテーマにしてこれほど多くの企業や研究機関が参画するプロジェクトは世界でもいまだ類を見ない」という。
ぶっ飛んだ取り組みだらけのメンバー企業
Space Food Xによる2040年の月面での食卓イメージ。地球からの食料輸送に加えて、現地で少ないリソースで効率的に食料を生産することのできる技術が求められる。
提供:Space Food X
日本初の民間月面探査チーム「HAKUTO(ハクト)」で話題になった宇宙ベンチャーispaceは、2021年にも無人月面探査を計画。アメリカの宇宙ベンチャーSpaceXは、2023年に民間月周回旅行を実現しようと準備を進めている。大企業でも、トヨタ自動車がJAXAとの協業で2029年に有人月面探査を検討するなど、宇宙開発はかつてないスピードで進んでいる。
Space Food Xプロジェクト代表を務めるリアルテックファンドの小正瑞季氏は、3月27日に行われた報道陣向けイベントで、「2040年には月面基地で1000人が生活している可能性がある。そこまでに一定の成果を出したい」と発言。人間が宇宙で暮らす時代は刻々と現実味を帯びてきているようだ。
とはいえ、月あるいは火星あたりで民間人がゆっくり宇宙食を楽しめるようになるには、まだ相当の時間がかかるだろう……というのが、一般的でまっとうな見方かもしれない。
そんな近視眼的ことなかれ主義に日和ることなく、宇宙産業界のNOMO、イチローとなるべく、プロジェクトを推進する「Space Food X イニシアチブ」に手を挙げたメンバーを紹介しておきたい。ただし、30以上もの企業や個人が含まれ、さすがにすべては紹介できないので、筆者の独断によりベンチャー企業中心に一部を抜粋する(画像はいずれも公式ウェブサイトからのスクリーンショット)。
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スライドショー
「藻類からバイオ燃料、機能性食品」ユーグレナ
微細藻類のミドリムシを活用したバイオ燃料や食品、化粧品の研究開発を手がける。微細藻類を宇宙で培養する技術の開発をすでに行っている。複数の微細藻類を組み合わせた完全栄養食を実現するため研究を進め、宇宙で「持続的に不足栄養素を補う生産モジュールの実現を目指す」という。
「細胞から培養肉」Integriculture(インテグリカルチャー)
地球規模で肉の消費量が劇的に増加していることに加え、漁業資源の枯渇傾向(あるいは資源維持のための漁獲上限)もあり、タンパク源の不足が近い将来の大きな問題となりつつある。その打開策として、大規模細胞培養によって経済性のある十分な数量の食肉生産を目指している。宇宙環境でのタンパク源確保にも適用すべく研究を進めている。細胞の培養液を転じた宇宙用調味料「SpaceSalt(スペースソルト)」も、2019年中に一般販売できるという。
「人工光植物工場」PLANTX(プランテックス)
近年注目される、閉鎖型の「人工光型植物工場」の設計・施工を手がける。LED照明を光源に、高断熱・高密閉の環境で水耕栽培を行うことで、(菌類が発生しにくく)洗浄することなく食べられる野菜を生産できる。生産量を最適化する「成長管理機能」に強み。
「水再生利用で98%節水」WOTA(ウォータ)
人工知能(AI)を活用した水の再生利用に取り組む。一度使った水を多数のフィルターを通してリサイクル、AIと独自開発の水質センサで安全性と効率を高めることで、98%の節水(普通100リットルの水で2人がシャワーを浴びられるが、WOTAの再生利用システムを使えば100人浴びられる)を実現。宇宙で地球上と同等の水供給を実現するため、この小規模の生活用水に特化した水再生・水循環技術を活用する。
「AI野菜・果実収穫ロボット」inaho(イナホ)
AI深層学習を活用し、収穫適期の野菜のみを自動で判断して収穫するロボットを開発。人口減少や高齢化で担い手が減っている農業の作業効率をロボットで高め、少ない人手で高収益を上げられるようにする。イノベーションサミット「ICCサミット FUKUOKA 2019」のスタートアップカタパルトで優勝するなど、評価を高めている。上述のPLANTXによる水耕栽培の収穫と組み合わせるなどの可能性も考えられる。
「3Dフードプリンター開発」OPENMEALS(オープンミールズ)
電通、山形大学、デンソーウェーブ、東北新社によるチームプロジェクト。あらゆる食をデータ化して「FOOD BASE」に蓄積。そのデータを食感や味、栄養素まで再現できる3Dフードプリンター「PIXEL FOOD PRINTER」で出力することで、世界中の誰もがダウンロードできるオープンな食のプラットフォームの構築を試みている。当然、宇宙への「食転送」も実現へ向かうだろう。
「サイボーグ技術活用アバター」MELTIN(メルティン)MMI
身体の動作を忠実に解析する技術と、ロボット機構の制御技術を核とするサイボーグ技術を活用し、2018年にアバターロボットのコンセプトモデル「MELTANT- α」を発表。とりわけ節電義手の開発に注力してきたことから、従来のロボットでは実現できなかった力強く繊細な手の動きを、人間の手と同じサイズと重量で可能にした。約2万キロの距離からリアルタイム遠隔操作できる実証が完了しており、宇宙のような極限環境での食品加工などで活用が期待される。
「機内食+感覚の瞬間移動」全日本空輸(ANA)
出典:ANA AVATAR X 特設サイト
機内食サービスを通じて得たさまざまな創意工夫・開発のノウハウを、宇宙食およびサービスの開発に提供するとみられる。また、JAXAを含む産官学と連携し、アバターロボットによる月面施設(例えば宇宙ホテル)の遠隔建設等の地上実証を行うなどの「AVATAR X」プロジェクトを実施中で、そちらとのシナジーも考えられる。上述のMELTIN MMIもプロジェクトメンバー。
「VR体感イベント」GREE(グリー)
出典:月面キッズキャンプ特設サイト
言わずとしれた大手ゲーム会社だが、仮想現実(VR)・拡張現実(AR)分野で、JAXAと宇宙関連データを活用した新たな事業創出に関して連携し、VRを通じてより多くの人々が現実の宇宙空間を体感できる機会を提供する取り組みを続けてきた。子ども向けの月面VR体感ツアー「ありえなLAB」が人気で、宇宙食の生産・加工などのVR体感を通じて、宇宙食文化の裾野を広げる役割を果たすのではないか。
「備蓄用食品開発」ONE TABLE(ワンテーブル)
東日本大震災を機に、災害時などに水なしで食べられる栄養価の高いゼリー「LIFE JELLY」を開発。2019年4月、被災地である宮城県多賀城市に新設した工場から出荷を始める。こうした防災用の食品開発で得られた知見や技術、ビジネスプロデュース力を、ストレスフルな極限環境である宇宙での食にも活用する。JAXAとはすでに「BOSAI SPACE FOOD」の開発に着手している。地域自治体や企業との連携ノウハウも、Space Food X イニシアチブの発展に貢献する。
(文:川村力)
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