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概要:コンビニ大手3社の2018年度決算が出揃った。決算と同時に発表された、店舗ごとの売り上げや出閉店の状況まで見てみると、各社の戦略が多少なりとも見えてくる。
コンビニ大手3社の2018年度決算が出そろった。代名詞とも言える「24時間営業」の見直し問題で揺れるコンビニ業界だが、いずれも堅調と言える業績だった。
事業構造がそれぞれ違うため、数字の大小だけで比較するのには無理があるものの、決算と同時に発表された、店舗ごとの売り上げや出閉店の状況まで見てみると、来るべき変化に対して各社がどんな戦略をもって臨もうとしているのかが多少なりとも見えてくる。
セブンイレブンのコンビニ事業は盤石
撮影:今村拓馬
まずは、売上高に相当する営業収益(カッコ内は前年度比)を見てみよう。
国内コンビニで9554億円、北米を中心とする海外コンビニ事業で1兆9815億円、イトーヨーカドーやヨークベニマルなどスーパーストア事業で1兆9025億円を売り上げたセブンが突出。唯一減収のファミリーマートはローソンに引き離された。
・セブン&アイ 6兆7912億円(112.5%)
・ファミリーマート 6172億円(96.9%)
・ローソン 7006億円(106.6%)
本業のもうけを示す営業利益(同)は、国内コンビニだけで2467億円を叩き出したセブンがやはりダントツ。銀行設立などで販管費のかさんだローソンは減益。ちなみに、ローソンの営業利益の内訳は、コンビニ事業が483億円、成城石井事業が74億円、音楽・映像ソフト販売などのエンタテインメント事業が45億円、金融関連事業が22億円などとなっている。
・セブン&アイ 4115億円(105.1%)
・ファミリーマート 516億円(123.7%)
・ローソン 608億円(92.3%)
当期純利益(同)は、営業収益と軌を一にする順調な伸びを見せたセブンがやはり圧倒。ファミリーマートは不採算店舗の減損など構造改革費用がかさんだものの、スーパー事業のユニーの売却益(2019年1月に旧ドンキホーテホールディングス=現パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス=に売却)で埋め合わせた。ローソンは不採算店舗の減損などが直接的に響いた。
・セブン&アイ 2030億円(112.1%)
・ファミリーマート 454億円(134.8%、ユニー含む)
・ローソン 256億円(95.4%)
出店ラッシュのローソン、閉店ラッシュのファミマ
撮影:今村拓馬
次に、各社の2018年度決算補足資料から、24時間営業問題に揺れる国内コンビニにフォーカスしてみたい。
まずは店舗数の比較。収益や利益で圧倒するセブンが店舗数でも2万店超と群を抜く。ファミリーマートは2017年度に1119店、2018年度に1000店を閉店してスリム化を図り、もはやローソンとはほぼ同規模。下記店舗以外にも、サークルKサンクスからファミリーマートへのブランド転換やリロケーションを行っている。
・セブンイレブン 2万876店舗(出店1389/閉店773)
・ファミリーマート 1万5513店舗(出店130/閉店1000)
・ローソン 1万4659店舗(出店1067/閉店400)
これらの店舗にどれだけの客が入り、どれだけの商品・サービスが売れているのか。客数と客単価、平均日販で比較したのが以下だ。
・セブンイレブン 客数(非公開)/単価(非公開)/日販65.6万円
・ファミリーマート 客数879人/単価603円/日販53万円
・ローソン 客数773人/単価687円/日販53.1万円
よく言われるように、セブンイレブンの平均日販は65万円超と突出している。客数と客単価は非公開だが、日販から他の2社を上回ることは想像がつく。ローソンとファミリーマートは日販でほぼ並び、ファミリーマートは平均客数がローソンより100人以上多く、ローソンは客単価が80円以上高い。
ファミマとローソン、勝負の分かれ目
撮影:今村拓馬
東大阪市のセブンイレブンから24時間営業問題に火がつき、社長交代にまで発展したことから、セブンイレブンの動向がまずは注目を浴びている。しかし、全国的な人手不足や地方の人口減少、ライフスタイルの変化など、社会変動の影響を受けて急激な対応を迫られているという意味では、ファミリーマートとローソンのほうが深刻に感じられる。
ファミリーマートとサークルKサンクスの経営統合により、ローソンは一気に差をつけられ、業界3位に転げ落ちた……というのがつい1年ほど前の見立てだったが、親会社の三菱商事によるローソンへのテコ入れには力強いものがあり、業績もファミリーマートと遜色ないところまで追い上げてきた。新たに誕生したローソン銀行の金融サービスとの相乗効果に期待する声も日に日に強まっている。
一方のファミリーマートは、サークルKサンクスとのブランド統合にメドがつき、ユニーを切り離してスリム化も図った。Tポイント運営会社の全保有株式を売却して、NTTドコモのdポイントや楽天スーパーポイントの導入を実現するなど、間口を広くとる戦略を打ち出した。利益を生み出す骨太な体質に生まれ変わった同社の次の一手も気になるところだ。
2018年度決算から一つだけ何か指摘するとすれば、ポイントや「○○ペイ」のような決済手段による経済圏への囲い込みが加熱するのを背景に、いまファミリーマートとローソンは今後5年、10年の明暗を分ける戦略判断の季節を迎えているのではないか、ということだ。
(文:川村力)
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