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概要:米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は4日、FRBは世界的な貿易戦争などに起因するリスクに「適切に」対応すると述べた。利下げの可能性を排除しない姿勢を示した可能性がある。 市場関係者のコメントは以下の通り。 ●「適切」発言、利下げ示唆ではない <みずほ総合研究所の市場調査部上席主任エコノミスト、野口雄裕氏> 米国の消費は堅調で、米経済は底堅いと見ている。経済指標を見ても、例えば5月の米供給管理協会(IS
[4日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は4日、FRBは世界的な貿易戦争などに起因するリスクに「適切に」対応すると述べた。利下げの可能性を排除しない姿勢を示した可能性がある。
市場関係者のコメントは以下の通り。
●「適切」発言、利下げ示唆ではない
<みずほ総合研究所の市場調査部上席主任エコノミスト、野口雄裕氏>
米国の消費は堅調で、米経済は底堅いと見ている。経済指標を見ても、例えば5月の米供給管理協会(ISM)製造業景気指数は2016年10月以来の低水準となったが、水準はまだ50を超えている。下振れを明確に確認できるものはまだない。
パウエルFRB議長が前日の講演で「適切に」対応すると発言したことで、市場では利下げを示唆したと解釈した向きもいたようだが、必ずしも具体的な行動を取ることを明言したわけではないだろう。
今週発表の米雇用統計は景気下振れを確認する重要な機会となるが、現時点では米長期金利の低下は行き過ぎだと見ている。そのためこれ以上、円高が大きく進む展開にはなりづらい。
かといって米国の通商政策に対する懸念は変わらず、FRBが今後予防的に利下げに踏み込む可能性も否定できず、円安も進みにくい。ドル/円はしばらくレンジ相場が続くだろう。
●利下げは早くて7月、9月の公算大=プレスプリッチ
<R.Wプレスプリッチ(ニューヨーク)の国債・エージェンシ債トレーディング部門責任者、ラリー・ミルステイン氏>
予想よりもややハト派的だった。パウエル議長はインフレ率が2%を下回っていることは理解している。FRB内ではその点に懸念が出ているほか、通商を巡る懸念も台頭している。
今回の講演内容は、金利市場が示していることを否定するものではなかった。FRBには景気が減速すれば対応する用意がある。ただFRBが今月、利下げに踏み切るとは予想していない。前日発表の米供給管理協会の5月の製造業景気指数は軟調だったが、それでも判断の分かれ目となる50は下回らなかった。[nL4N23A3ES]
利下げは最も早くて7月とみているが、おそらく9月と予想している。夏の間に中国と合意が得られれば、FRBは9月まで待てる。
市場は先走っている。年内は1回、もしくは2回の利下げが実施されると予想している。
●利下げバイアス強まる可能性=ノバポイント
<ノバポイントキャピタルの最高投資責任者、ジョセフ・スロカ氏>
貿易などの問題で諸条件が弱含み続けた場合、バイアスは将来の利下げに傾く可能性がある。米連邦準備理事会(FRB)が景気状況と関係なく、利上げを行うとの懸念が広がった6─8カ月前の状況から一変した。
低インフレが続き、金利も過去の水準で見て低い中、パウエル議長は経済危機時に金利をゼロ近辺に設定することが適切な行動となる公算が大きいという趣旨を述べた。
FRBが現在把握していない大きな問題は、貿易摩擦の深刻さや期間の長さだ。FRBは貿易摩擦を受け、現在の「様子見」姿勢を維持している。
●6月利下げ不可能ではない=BMO
<BMOキャピタル・マーケッツ(ニューヨーク)の金利ストラテジスト、ジョン・ヒル氏>
パウエル議長の「適切に行動する」との発言に最も注目している。市場ではFRBの対応として利下げが織り込み済みとなっているが、パウエル議長もデータ依存の下では向こう数四半期に利下げを実施する論拠が強まりつつあると基本的に認識している。
インフレ率は長らく低迷してきたが、ブレークイーブン(インフレ率)の急低下はこれ以上に大きな懸念材料だ。金融政策が過度に引き締め的である可能性があることを示しており、FRBは利下げの可能性の論拠を積み重ね始めた。
利下げ時期としては今月はやや時期尚早と考えているが、不可能ではない。年内利下げ実施への道が徐々に開かれている。
*内容を追加しました。
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