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概要:Richard Beales [ニューヨーク 18日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、他の人々とともにFRBの「新常態」を発見しつつある。今回の政策金利引き下げは、主としてFRBがどうにかできる範囲外のリスクに対処するための手っ取り早い方法だった。だが米短期金融市場に生じた新たな緊張は、ある面ではFRB自身が作り出したと言える。 18日までの連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利をさらに25ベーシスポイン
Richard Beales
[ニューヨーク 18日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、他の人々とともにFRBの「新常態」を発見しつつある。今回の政策金利引き下げは、主としてFRBがどうにかできる範囲外のリスクに対処するための手っ取り早い方法だった。だが米短期金融市場に生じた新たな緊張は、ある面ではFRB自身が作り出したと言える。
18日までの連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利をさらに25ベーシスポイント(bp)引き下げると決まったことに、驚いた人はほとんどいない。物価上昇圧力は依然として弱い。またトランプ米大統領の気まぐれな関税政策や貿易摩擦に、世界的な成長低迷が加わり、金融環境をどれだけ緩和しても足りないことはないという理由が出てきた。さらに14日にサウジアラビアの石油施設が攻撃を受け、世界経済にとって留意すべきリスクが1つ増えてしまった。
今週の短期金融市場で資金のやり取りが滞るという予想外の事態にも、FRBは対応が必要だった。10年余り前の金融危機以降で初めて、翌日物金利がFRBの誘導レンジを超えて跳ね上がったため、レポ取引を通じて数百億ドルの資金を供給したのだ。
銀行システムにおける利用可能な資金の不足をもたらしたと考えられる原因は複数あるが、その1つはFRBのバランスシートが金融危機後の最大規模から縮小したことだ。それによって、銀行がFRBの口座に置く超過準備が減ってしまった。幸い、FRBにはこうした状況を解決する手段があったが、実際に使う必要が出てきたのは想定外だった。
2008年の金融危機前まで1兆ドル弱だったFRBのバランスシートは、一時4兆5000億ドルまで膨らんだ。現在は4兆ドルをやや下回る水準まで減っただけで、これ以上は縮小しないとの見方が出ている。
金融危機以前の20年間の平均が約5%だった政策金利が、直近の引き締めサイクルで2.5%までしか上がらず、「正常化」に程遠い形であるのと同じように、拡大したバランスシートもほとんど元には戻らないだろう。
これは通貨流通高の増加や、現行の規制体系で銀行の準備金に対す必要度が増したことなどの構造要因が働いている。しかしその上に、FRBが明確な狙いを持って10年強にわたって実行してきた実験的な金融政策が今もなお、意図しなかった影響をもたらしていることも明確だ。パウエル氏は今週、素早く軌道修正したとはいえ、判断を誤る可能性は引き続き不安を覚えるほどに高い。
●背景となるニュース
*FRBは18日に終わったFOMCで、政策金利の誘導目標を25ベーシスポイント(bp)引き下げ、1.75─2.00%にすることを決定した。
*追加利下げは賛成7人、反対3人で決まった。反対者のうち1人は50bpの利下げを主張し、残る2人は金利据え置きが望ましいとの考えを示した。公表されたFOMCメンバーの最新の政策金利見通しの中央値は、今年、来年とも従来と変わらなかった。
*また短期金融市場安定化のため、銀行の超過準備に適用する付利と政策金利の誘導目標の上限の差を広げた。
*FRBは18日、翌日物金利の高騰を受けてレポ取引を通じて市場に最大750億ドルを供給した。前日にも530億ドルを供給している。翌日物金利は、10年余り前の金融危機後初めて、FRBの誘導目標を超える水準に跳ね上がった。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
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