アジア規制当局、銀行問題で懸念払拭に努める

［シドニー／香港 １６日 ロイター］ - アジアの政府・規制当局は１６日、スイスの金融大手クレディ・スイス株急落や米シリコンバレー銀行（ＳＶＢ）破綻について、域内の銀行部門への影響は限定的だと指摘、投資家の懸念払拭に努めた。

チャーマーズ豪財務相は１６日、主な規制当局と中央銀行との間でＳＶＢの経営破綻を受けた協議を行い、オーストラリアの銀行の資本状況は良好と述べた。

１３日に行われた協議には、オーストラリア健全性規制庁（ＡＰＲＡ）とオーストラリア準備銀行（中央銀行、ＲＢＡ）その他関係閣僚が参加。破綻により生じ得るエクスポージャーなどを話し合った。

チャーマーズ氏は１６日に演説し、「規制当局は状況を完全に把握している。銀行の資本状況は良好で、手元資金は潤沢。だが金利上昇の中、世界金融市場には依然リスクが残り、不透明で不安定な状況が続いている」と述べた。

香港の証券先物委員会（ＳＦＣ）は、クレディ・スイス株急落に関するロイターの問い合わせに対し、「影響を把握するため状況を注視している」とし、他の金融当局や香港証券取引所と緊密な対話を維持していると述べた。

日本の全国銀行協会の半沢淳一会長（三菱ＵＦＪ銀行頭取）は１６日の会見で、クレディ・スイスの経営不安に関連し「現時点で日本の金融市場、金融システムに影響が生じるといった兆候は見られない」と述べた。

韓国金融委員会（ＦＳＣ）は１６日、金融不安への備えを改善するため、銀行に対し資本バッファーの強化を義務付けることを検討していると表明した。

早ければ今年下半期にカウンターシクリカル資本バッファー（ＣＣｙＢ）比率を現行のゼロ％から引き上げることを検討している。

台湾の金融規制当局は、台湾金融部門のクレディ・スイスに対するエクスポージャーは少なく、「管理可能だ」と表明。海外債券市場に多額の投資を行っている台湾保険会社のエクスポージャーが１０８２億台湾ドル（３５億４０００万ドル）で最大だが、保険会社の海外総資産の０．３５％前後にとどまっていると指摘した。