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概要:景気後退にともなってIPOが延期されたスタートアップの従業員や投資家の中には、大幅に割り引かれても保有株式を早く現金化したいと考える者もいます。こうした背景から今、セカンダリー市場に注目が集まっています。
ユニコーン企業の従業員や投資家たちの取引で、セカンダリー市場が活況を呈している。
DBenitostock
お金持ちになるのは難しい。
IPOが減少し、ベンチャーキャピタルの資金が枯渇するなか、スタートアップの従業員やアーリーステージの投資家にとっては厳しい現実がある。
バリュエーションが高く、レイターステージにあり、今後1〜3年以内に上場するはずだった未上場企業は山ほどある。ロンドンのフィンテック企業、レボリュート(Revolut)、ソーシャルメディアプラットフォームであるレディット(Reddit)、インスタントメッセージング企業のディスコード(Discord)、決済会社のストライプ(Stripe)は、それぞれ100億ドル(約1兆3200億円、1ドル=132円換算)以上の評価を受けており、これら企業の調達額は合計で120億ドル(約1兆6400億円)に達する。これはいずれ貸し手に報いなければならない資金だ。
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しかし、IPO市場は消滅してしまったに等しい。PwCのデータによると、IPOとSPAC(特別買収目的会社)からの調達額は90%以上激減し、260億ドル(約3兆4300億円)になった。ヨーロッパ市場も同様で、市場からの調達額は約80%減の400億ドル(約5兆2800億円)にとどまった。
ただ、一見静まり返った状況でも、水面下では不透明ではあるがセカンダリー市場が勢いづきつつある。セカンダリー市場では、創業者、従業員、元従業員、初期投資家らが株式の一部を既存または新規の投資家に売却できるのだ。
「レイターステージの未公開企業の株主は、何よりも流動性を必要としているものです。そこで、企業が前より長く未公開でいることで、セカンダリー市場の存在が、従業員つなぎ留めのためにもなっているのです」と、セカンダリー市場の運営会社エクイティ・ゼン(EquityZen)のリサーチ責任者ブライアン・リンチ(Brianne Lynch)は話す。
「10年前はセカンダリー市場での取引には懐疑の目が向けられていました。しかし最近ではIPOまでの期間がかなり延びているので、その間株主が株を保有し続けるのは現実的でなくなっているのです」
評価額の高いテックスタートアップ企業の従業員の中には、上場によるエグジットが遅れているため大幅に割り引かれてもかまわないから保有する株式を早く現金化したいと考える者もいる。
一方、経済情勢が劇変したことで、中小のVCはLP(リミテッド・パートナー)へのリターンを出すために有望なスタートアップに出資するようになった。
セカンダリーには大きなディスカウントがある
セカンダリー株の場合はたいてい買い手と売り手の数が少ないため、流動性が低く、値付けがしにくい。また、従業員や投資家が保有する株式オプションにはさまざまな条件が付されており、売買が困難な場合がある。
エクイティ・ゼンと並ぶセカンダリー市場のザンバト(Zanbato)やブローカーらによると、これらのセカンダリー株は、企業が最後に資金調達をした際の評価額と比べ40〜50%ディスカウントされて売却されることが多いという。
Insiderが入手した取引データによると、例えば評価額330億ドル(約4兆3500億円)のフィンテック企業、レボリュートの株は、2023年1月に民間のセカンダリー市場で278ドル(約3万7000円)で取引された。これは、前回のラウンドの627ドル(約8万2700円)からは55%の下落で、前回の二次入札で従業員が売却した一株あたり609ドル(約8万400円)よりもさらに低い価格だった。他にもデータブリックス(Databricks)やプレイド(Plaid)のセカンダリー株は、前回の評価額からそれぞれ26%、23.9%低く取引されている。
重要なのは、買い手の希望する最高価格と売り手の希望する最低価格の差を示すビッド・アスク・スプレッド(bid-ask spread)が縮小し始めたことだ。
「価格の発見こそが常に最大の課題の1つ」というセカンダリー市場で、売り手が希望価格を下げることが多くなったことと、新たな買い手が増えたことで流動性は高まった、とゼンバトのグロース責任者、アクラティ・ジョハリ(Akrati Johari)は言う。
ジョハリによると、これらの買い手には、グロース・エクイティファンド、ヘッジファンドのアセットマネジャー、ファミリーオフィスなどのプライベートキャピタル市場のビッグプレーヤーたちが含まれるという。
証券会社セター・キャピタル(Setter Capital)のセカンダリーアドバイザーであるブライアン・マクグラス(Brian McGrath)も同じ見方だ。彼の会社は、市場でさまざまなタイプの買い手を見てきたという。
「5年前は、もっと伝統的なセカンダリー株の買い手、つまり既存のポジションを購入することに特化した買い手がいました。今、ファミリーオフィス、政府系ファンド、クロスオーバーファンド、ヘッジファンドが参入してきているのは、価格設定が非常に魅力的で、かつ新たな資金調達ラウンドに参加していない企業にアクセスする良い機会だと感じているからです」(マクグラス)
アメリカに拠点を置く2つのセカンダリー取引のブローカーによると、フィンテック、そして特に最近はAIといった業界株に需要があるという。
また、企業は普通株から優先株までさまざまな種類の株式を発行していることが多く、種類によって保有者に付与される権利も異なる。ゼンバトによると、投資家は普通株よりもレイターステージの優先株を好み、それらを購入するため最大10%のプレミアムを払うことを厭わない。優先的分配権などがより一般的になるなかで、最初に返済を受け取る権利を確保しておきたいからだ。
人材誘致にも役立つ
IPOの減少に伴い、積極的に株を売却しようとする企業の従業員が増え、そのようなスタートアップ企業の従業員にオプションの購入を持ちかける証券会社が後を絶たない。
セカンダリー市場で売却するには会社の許可が必要なため中にはトラブルに巻き込まれる従業員もいるが、そういったケースを除けば、セカンダリー市場での売却は、既存の従業員や未来の従業員に対して、企業の魅力をアピールする好機にもなりうる。
従業員のオプション売却を支援するスタートアップであるセンパー(Semper)の共同創業者、マティアス・パストー(Mathias Pastor)は「そこまでの過大評価を受けていない企業は、人材市場で目立つために、みんなセカンダリー取引をしようとしています」と語る。
「投資家は、長い目で見れば従業員や企業を苦しめることになるバリュエーションを擁護しますが、新たに資金調達をする際には役立つ存在です。ヨーロッパでは株式に関する金融知識のある従業員はほとんどいないため、このようなことは起きません。ヨーロッパでこういう話をしたら、株式の価値にますます懐疑的な目が向けられるだけでしょう」
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