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概要:大手仮想通貨取引所バイナンスのジャオCEOが米商品先物取引委員会(CFTC)に提訴されました。ジャオ氏は2022年7月にInsiderのメール取材に応じ、仮想通貨の将来を楽観視する自身の見解を語っていました。
仮想通貨取引所大手バイナンス(Binance)のジャオ・チャンポン創業者兼最高経営責任者(CEO)。
Antonio Masiello/Getty Images
米商品先物取引委員会(CFTC)は3月27日、大手仮想通貨(暗号資産)取引所バイナンス(Binance)のジャオ・チャンポン(趙長鵬)最高経営責任者(CEO)を、商品取引所法(CEA)およびCFTCの定める規則に違反した疑いで提訴したと発表した。
以下は2022年7月にInsiderが掲載したジャオCEOへのメールインタビューだ。
当時、「いまこそ積極攻勢に転じるパーフェクトなタイミング。当社はこれから投資や買収合併(M&A)を一気に増やしていく」と語っていたが、その道のりは極めて困難なものになることが予想される。
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関係者の間では「CZ」のニックネームで知られるジャオは、最近の仮想通貨市場の暴落により、人類史上最も多くの資産を失った人物だ。
仮想通貨専門メディア「クリプト・ニュース・フラッシュ(Crypto News Flash)」がブルームバーグ・ビリオネアーズ・インデックス(Bloomberg Billionaires Index)などから計算した結果、年初来の損失額は870億ドル(約11兆7500億円)に及ぶ。
この数字は、ドットコムバブルの崩壊時にソフトバンクの株価がおよそ100分の1に下落した孫正義氏の損失額770億ドルを上回る。
ところが、現在44歳、マクドナルド店員から評価額3000億ドル(上場時の最大想定)とも言われるバイナンスの創業者となったジャオは、仮想通貨の将来をこれまで以上に楽観視する。
Insiderのメール取材に応じたジャオは、現在の弱気市場について自身の見解を示した上で、将来を楽観視する3つの理由を挙げた。
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仮想通貨の弱気相場
仮想通貨市場の暴落により自身の資産が大きな打撃を被ったにもかかわらず、ジャオは仮想通貨業界の将来についてポジティブな見方を崩していない。
「現在の市場の状況は多くの人々、とりわけ仮想通貨に慣れ親しんでいない人たちの目に、不安で恐ろしいものと映っていることは認識しています。
しかし、長期的な視点から考えてみてください。バイナンスが事業を開始した当初(2017年7月)、ビットコインは2000ドルで取引されていました。(暴落後の)今日でも2万ドルで、数年前に比べればまだ当初の10倍の価格水準です。
市場にはサイクルがあります。今回が最初のサイクルではないし、最後のそれでもないでしょう」
現時点について言えば、仮想通貨市場は完全に崩壊したようにも見える。
ビットコインは2021年11月につけた史上最高値から70%以上下落し、インフレヘッジとしての有用性は否定された形だ。
ステーブルコイン「テラ(TerraUSD)」および同コインとの裁定取引を通じて安定性維持に寄与するネイティブトークン「テラ(LUNA)」の暴落は、より広範な暗号エコシステム全般に波紋を広げ、仮想通貨ヘッジファンドのスリー・アローズ・キャピタル(Three Arrows Capital)を破たんに追い込み、この先さらなる価格下落が起きるとの不安感を広げている。
それでもジャオは動じない。それどころか、このような時期こそ脆弱な企業がふるい落とされて最も優れた企業が生き残り、繁栄に向かう分岐点とジャオは考える。
「市場に好況と不況があるのは何も特別なことではなく、むしろ金融市場サイクルに不可欠の本質的な部分と言うべきです。
調整局面を通じて過剰が解消され、バリュエーション(企業価値評価)もリセットされて持続可能な水準に戻る一連の流れは、ポジティブに理解すべきでしょう。
健全なバランスシートを有する企業は引き続きプロダクトの改善に取り組み、ビジネスの基盤を強化してこの弱気相場からより力強く抜け出すので、市場の低迷をより良い形で耐え抜くことができるはずです」
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バイナンスの描く投資プラン
バイナンスが「暗号資産(仮想通貨)の冬」を力強く抜け出して繁栄する企業のひとつとなることをジャオは確信している。
バイナンスは現時点で世界最大の仮想通貨取引所だが、この「冬」を逆利用して採用増による運営体制の強化に乗り出した。
競合する仮想通貨取引所のコインベース(Coinbase)やクリプト・ドットコム(Crypto.com)が相次いで人員削減を発表するさなか、バイナンスは2000人以上の新たな採用枠を用意したことを明らかにしている。
「当社はこの瞬間を業界最高の才能を呼び込む機会ととらえています。
バイナンスのようなバリューコンシャス(価値志向、価値重視)型の企業は、市場の冷え込み時には業界全体の基盤強化に注力することができます。
同時に(冷え込んだ市場は)より有利な価格条件で有望なプロジェクトに投資したり、買収したりするチャンスでもあります」
バイナンスが資金を投じるのは人材獲得だけではない。強力な財務基盤と買収候補企業の値下がりをフルに活かした展開も計画している。
「強気相場の間、バイナンスは意図的に支出を控えめにしてきました。このような弱気相場に備えてきたわけです。企業のバリュエーションはあまりに高すぎました。
(株価下落によって割安感が出てきた)いまこそ積極攻勢に転じるパーフェクトなタイミング。当社はこれから投資や買収合併(M&A)を一気に増やしていく考えです」
投資支出を多少控えてきたからと言って、バイナンスは別にディールの素人というわけではない。
2020年にデータ提供を手がけるコインマーケットキャップ(CoinMarketCap)、2021年には暗号ウォレットのトラストウォレット(Trustwallet)と、仮想通貨業界の人気企業を立て続けに買収した実績がある。
「仮想通貨業界の内外を問わず、強い影響力を持つプロジェクトや企業に投資していきます。
ただし、投資対象となる取引や機会は、当社が長期的に重視するバリューに合致するものに限られます。
特定のセクターにしぼって投資対象を探すのではなく、仮想通貨のグローバルかつ大規模な普及促進に貢献できるプロジェクトや企業を広く探していくつもりです」
ジャオはさらに、顧客に真のユーティリティ(実用性、利益)をもたらす企業に投資する意図を検強調した。
「個人的には、ユーザーに実利を提供することに焦点を当てたイノベーティブなプロジェクトに出合いたいと思っています。そうしたプロジェクトこそが長期的に素晴らしい結果を生み出すと信じているからです。
ユーザーの利益を最優先してプロダクトの中心に据えることで、それらのプロジェクトは仮想通貨の一般社会への浸透に寄与するのです」
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将来を楽観視する「3つの理由」
仮想通貨は確かに2021年の輝きを失ったかもしれない。
しかし、同年のビットコインは強気相場が行き過ぎてもう手が届かないと感じていた人たちにとっては、投資するならいまがまさに絶好の機会との声も聞こえてくる。
「時価総額やトークン価格だけでは、暗号エコシステム全体の健全性を総体として示すことができません。
暴落を経て結果的に市場の動きが鈍化したのは事実ですが、引き続きポジティブな指標も確認できる現状があります」(ジャオ)
ジャオが仮想通貨市場の将来を楽観視する「3つの理由」を以下にまとめて紹介しよう。
【理由1】健全な資金調達額
仮想通貨市場の暴落にもかかわらず、仮想通貨企業および(仮想通貨関連を投資対象とする)ベンチャーキャピタル(VC)ファンドは2022年も数十億ドル規模の資金調達に成功している。
5月に最有力VCのアンドリーセン・ホロウィッツ(Andreeson Horowitz)が最新(同社の仮想通貨ユニットとしては4番目)のファンドで45億ドル(約6000億円)を調達。
そのアンドリーセン・ホロウィッツ仮想通貨ユニットを率いるクリス・ディクソンも出資するヴォルト・キャピタル(Volt Capital)は5月下旬、DeFi(分散型金融)やNFT(非代替性トークン)など「Web3(ウェブスリー)」をテーマとする2番目のファンドを設立。3週間足らずで5000万ドルの資金調達に成功している。
また、大手VCのセコイア・キャピタルらが出資するNFTマーケットプレイスのマジックエデン(MagicEden)は、2022年6月にシリーズBラウンドで1億3000万ドル(約175億円)の資金調達に成功した。
ただし、仮想通貨企業とベンチャーキャピタルの資金調達が続く一方で、シンガポールのスリー・アローズ・キャピタル(前出)のような仮想通貨ファンドが高レバレッジの運用に行き詰まり、7月1日に米破産法の適用申請に至っている事実も無視できない。
【理由2】機関投資家の強い関心
大手金融機関が仮想通貨業界に強い関心を寄せ始めている現状も、ジャオの楽観的スタンスの支えになっている。
米銀大手ウェルズ・ファーゴ(Wells Fargo)は2021年7月、富裕層向けに仮想通貨へのエクスポージャー(資産を特定のリスクにさらす割合)の提供を開始。
2022年4月には米資産運用大手フィデリティ・インベストメンツ(Fidelity Investments)が確定拠出型年金(401k)に仮想通貨(ビットコイン)投資のオプションを追加。
スカイブリッジ・キャピタル(SkyBridge Capital)創業者兼最高経営責任者(CEO)のアンソニー・スカラムーチや、ミラー・バリュー・パートナー(Miller Value Partner)創業者兼最高投資責任者(CIO)のビル・ミラーなど、著名投資家も仮想通貨に自ら投資し、その支持者であると公言している。
さらに、米人気投資番組「シャークタンク(Shark Tank)」のパーソナリティとして知られる著名投資家のケビン・オレアリーは最近、今後導入される(適切な)当局規制によって市場の透明性が高まり、投資家が保護される環境が整備されることで、政府系ファンドや年金基金から1兆ドル(約135兆円)の資金が仮想通貨市場に流入すると発言した。
ただし、米金融サービス大手プルデンシャル・ファイナンシャル・グループで運用残高1兆4000億ドル(約189兆円)の資産運用部門PGIM(ピージム)をはじめ、多くの機関投資家が仮想通貨投資に一度は関心を示した上で見合わせを決めていることは無視できない。
【理由3】暗号エコシステムのユーティリティ(実用性)向上
ユースケースがもっと増えることで、仮想通貨はより安定性が増すとジャオは強調する。
「ボラティリティ(価格変動性)は市場規模という変数に依存して決まる関数です。時価総額が小さい資産の価格はより不安定になる傾向があります。
ある資産に実用的な価値があれば(つまり、多くの人がそれをツールとして使っている状況になれば)、ボラティリティの懸念は縮小します。仮想通貨やNFTなどデジタル資産が向かうべきはそうした方向なのです」
仮想通貨の最もよく知られるユースケースとして、先述のNFTとDeFi(分散型金融)が挙げられる。
昨今の仮想通貨市場の暴落と収縮にもかかわらず、(最重要の価値を認められた)ブルーチップNFTの価値は毀損(きそん)していない。
ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)などの大手金融企業にも、DeFi関連銘柄で構成される金融商品を組成する動きがある(なお、ゴールドマンの上場投資信託に組み込まれたDeFi銘柄は広範で仮想通貨やブロックチェーンの発展との関連性は薄いとの指摘もある)。
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※本記事は取材対象者の知識と経験に基づいて投資の選定ポイントをまとめたものですが、事例として取り上げたいかなる金融商品の売買をも勧めるものではありません。本記事に記載した情報や意見によって読者に発生した損害や損失については、筆者、発行媒体は一切責任を負いません。投資における最終決定はご自身の判断で行ってください。
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