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概要:米電気自動車(EV)大手テスラが19日発表した最新の四半期決算を見ると、EV市場における同社の独走態勢が終わりを迎えていることがうかがえる。顧客の購入意欲の強さや生産面での収益性の高さを証明するのに必死になってきたイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は今、成長拡大のための値下げに踏み切り、テスラが確保してきた優位性の一部を手放そうとしている。重要な利益率の大幅低下からは、技術力と競争環境の双方で同社にとっての脅威が高まってきたのは明らかだと読み取れる。
米電気自動車(EV)大手テスラが19日発表した最新の四半期決算を見ると、EV市場における同社の独走態勢が終わりを迎えていることがうかがえる。写真はシドニーで2017年5月に撮影したテスラ車(2023年 ロイター/Jason Reed)
[ニューヨーク 19日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米電気自動車(EV)大手テスラが19日発表した最新の四半期決算を見ると、EV市場における同社の独走態勢が終わりを迎えていることがうかがえる。顧客の購入意欲の強さや生産面での収益性の高さを証明するのに必死になってきたイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は今、成長拡大のための値下げに踏み切り、テスラが確保してきた優位性の一部を手放そうとしている。重要な利益率の大幅低下からは、技術力と競争環境の双方で同社にとっての脅威が高まってきたのは明らかだと読み取れる。
マスク氏が目指す今年の販売台数は前年比37%増の180万台。一方で第1・四半期の納入台数は前期比で4%増にとどまった。つまり年間目標を達成するには、残りの期間で前期比平均9%の上積みが必須となる。
フォード・モーターをはじめとする米国内のライバルが電動化に全力を注ぎ、中国メーカーも地歩を拡大してきた中で、テスラが成長を手に入れるのはより難しくなっている。マスク氏はテスラの先行者としての地位を武器に、これまで蓄積した内部留保を活用する形で最近数カ月間に6回もの値下げに動いた。その結果、規制クレジットからの収入を除く粗利益率は、前年同期の30%から19%に急降下してしまった。
幾つかの要素はテスラにとって有利な方向に動いている。米政府はEV普及の取り組みを強化し、新たな排ガス基準を導入。これはまだ恐らくEV事業で黒字化を達成できない既存メーカーよりもテスラがより大きな恩恵を受ける。また新型コロナウイルスのパンデミックに起因する半導体や原材料の値上がりも一服した。テスラのクレジット調整後収入と1台納入当たりの粗利益の差分で計算すれば、コストは直近ピーク時から10%も減少した。
しかしせっかくの勢いを維持していくのは困難になるだろう。テスラは、新型車のコストを50%下げることができるとみており、盛んに宣伝してきた販売価格2万5000ドルのEVをもうすぐ投入する段階にある。だが例えば中国の比亜迪(BYD)は最低価格1万1600ドルのEVを売り出そうとしており、テスラもさらに価格設定を切り下げなければ太刀打ちできないとみられる。
もっと大きな不安要素は、現在のテスラの一番の強みとなっている電池にかかわってくる。テスラが提携企業とともに開発してきた電池は蓄電量の大きさで市場をリードし、他のメーカーに先んじて低価格化と技術の先進化に取り組んできた。ところがBYDや奇瑞汽車(チェリー)などは、ナトリウムイオン電池で動くEVを初めて投入する見込みだ。これは電池価格を一段と下げるとみられており、新たな技術革新が起きる可能性がある。肝心の技術力で先を越される恐れは、テスラにとってより大きな重圧となる。現代EV市場の事実上の創設者と言えるマスク氏は、この先の市場の進歩にどうやって追いついていくかという課題を突きつけられている。
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