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概要:Insiderは、アマゾンがライバルのショッピファイを「Buy with Prime」のパートナーにした方法が記載された文書を入手しました。
アマゾンのアンディ・ジャシーCEO(左)とショッピファイのトビアス・リュトケCEO。
Richard Brian/Reuters, Shopify
アマゾン(Amazon)では、ほとんどすべての社内プロジェクトにチームの行動指針の役割を果たす「テネット(信条、原則)」が存在する。アマゾンがEC事業における重要なライバル企業と見なしているショッピファイ(Shopify)と提携を結んだ際にも、テネットが設けられていた。
Insiderの既報のとおり、両社は「Buy with Prime」アプリを公開した。それに至るまでの交渉はアマゾンにとって意外にも手強く、ショッピファイはアマゾンの上手を行った。
Insiderが入手した内部文書によると、アマゾン、ショッピファイとの提携関係を構築することで、「出品者がそれを提供しないことは無責任と言えるほど、買い物客にとって抗いがたい魅力を持った、ネイティブな(すなわちショッピファイのシステムに組み込まれた)体験」の実現を目指しており、それにあたってテネット6箇条を定めていた。
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具体的な項目としては、出品者の売上の向上、アマゾンプライム(Amazon Prime)と同様の配送品質、EC市場全体の「パイを拡大」することに資する2社間の協力環境の構築などがある。
文書によるとアマゾンはショッピファイを「この市場で最大のターンキーECサービスプロバイダー」と見なしており、今回の提携は同社最上層の経営チームにとって「最重要」課題だったという。
それに加えて、文書からは2社間で内部的に交わされた討議内容についても明らかになった。交渉ではショッピファイはアマゾンに対して終始、驚くほどの主導権を握っていた。緊迫した交渉は、多くの局面で、アマゾンの思惑通りに進まず、アマゾンはショッピファイとの協力を求めて大きな譲歩をしている。
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Buy with Primeは2022年に公開された。出品者はこれを導入することで、Amazon.com以外のECサイトでも、高速配送などのプライム特典を提供できるようになる。オンラインの買い物客は、精算ページ上のBuy with Primeタブをクリックすることで、アマゾンのアカウントに登録されている支払い情報や配送情報を利用できる。先ごろ公開されたアプリによって、出品者は、ショッピファイを利用して開設したECサイトにBuy with Primeを導入し、顧客にオプションとして提供することがさらに容易になった。
Buy with Prime(関係者の間では「プロジェクト・サントス(Project Santos)」と呼ばれている)は、急速に台頭するショッピファイに対する懸念がアマゾン社内で高まったことから、創業者のジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)が内々に構想したプロジェクトから生まれた。
Buy with Primeをきっかけに2社間では深刻な緊張状態が生じた。ショッピファイ側では一時期、自社サービスを利用する出品者にこれを導入しないよう釘を刺していた。一部アナリストからは、Buy with Primeが「トロイの木馬」となって、より広範な市場における出品者の取り込みにつながり、結果、ショッピファイから市場シェアを奪うことになりかねないとの指摘が上がっていた。
実際、ショッピファイが新アプリのバックエンド支払い処理システムを提供するという条件に、アマゾンが難色を示していたことが文書から見て取れる。しかし結果的にショッピファイはこの点でアマゾンの同意を取り付けている。このシステムが同社の主な収入源であることを考えると、これは大きな勝利だと言えるだろう。
もっとも、自社の支払い処理システム抜きとはいえ、今回の提携はアマゾンにとって依然として価値あるものだった。迅速な無料配送を多数の外部ECサイトでも提供することで、アマゾンプライム会員への加入・継続利用の新たなインセンティブが生まれるからだ。
さらに、Buy with Primeを導入した出品者は、「フルフィルメント by Amazon」(FBA)の利用を義務付けられるため、アマゾンに同社倉庫への商品の保管料を支払わなくてはならない。それに加え、アマゾンは外部ECサイトから購入された商品の種類に関するデータを閲覧する権限を持つ。
以下に示す「6箇条」からは友好的かつ協力的な印象を受ける。また、これを見ると、アマゾンがライバル企業を提携企業へと変える手の内も分かる。実際、この6箇条では、買い物客、出品者、ショッピファイ、アマゾンなどすべての当事者にとって「ともにあってなお良し」に則った体験を構築することが提携の目標だとしている。
アマゾンとショッピファイは公表した声明を除き、コメントを拒否している。
テネット6箇条
我々は、業務に取り組むにあたって、それにより見込まれる出品者全体の流通取引総額(GMV)の増加分に基づき、優先順位をつける。このとき我々が念頭に置くのは、出品者と買い物客に喜ばしい体験をもたらし、ショッピファイ上のGMVを向上させることこそ、ショッピファイとの健全な提携関係を長期にわたって維持するための最も確実な手段だということだ。直接的または間接的にGMVの向上につながらない業務は優先しない。
ショッピファイ上では、買い物客がAmazon.comに期待するアマゾン「プライム水準」を維持する。これには、無料で迅速な配送、適切な商品の無料返品、即時返金、アマゾンのA-to-Z保証が含まれる。この水準に満たない商品・サービスをわれわれは公開しない。既存の商品・サービスがこの水準に満たない場合は、この水準を達成するまでこれを撤回する。
「プライム水準」が満たされており、なおかつショッピファイがより優れた出品者および/または買い物客の体験を提供できる場合には、我々はショッピファイがCX(カスタマーエクスペリエンス)を管轄することを認める。例としては、ショッピファイが買い物客の体験向上のためにチェックアウトを管轄することや、出品者の体験向上のために出品者が事業を営むための中心拠点の役割を担うことが挙げられる。
取引データは出品者自身が所有するものであり、BwP(Buy with Prime)上の取引データは出品者が1P(ファーストパーティ)だ。これは、アマゾンへどのようなデータを提供するかは、ショッピファイではなく、出品者の選択に委ねられるという意味だ。
われわれは分権的に考え、中央集権的に行動する。プロジェクト・サントスにおけるチームはそれぞれ独自の目標と見識を併せ持つ。我々は、これらチームに裁量権を与え、独自のロードマップ設定とその実現に向けた取り組みを認めるが、一方で、商品・サービスがBwPに依拠しているか、またはその主要なエンハンスメントである場合、我々は、優先順位、コミュニケーション、および水準の引き上げを中央集権化することで、ショッピファイに対するわれわれの姿勢の一貫性を確保する。
各社は、自社の主要な差別化要因の提供に尽力しなくてはならない。われわれはショッピファイとともに、買い物客や販売業者に向けて「ともにあってより良し」に則った体験を構築することができると信じる。われわれは、各社の主要な差別化要因(例:アマゾンプライム、MCF、アマゾンアプリ、ショップアプリなど)の提供に尽力し、これにより「パイの拡大」を目指す。
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