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概要:8月のインフレ率が上振れたことで、米金融当局者は今月の会合では利上げを見送り、11月か12月に追加利上げに踏み切る選択肢を残しておく可能性が高まった。
FOMCはこれまで政策金利引き上げ休止後の利上げ再開を示唆
FRBが重視するスーパーコア指数、ここ5カ月で最大の伸び
8月のインフレ率が上振れたことで、米金融当局者は今月の会合では利上げを見送り、11月か12月に追加利上げに踏み切る選択肢を残しておく可能性が高まった。
13日公表された8月の米消費者物価指数(CPI)統計では、食品とエネルギーを除いたコア指数が前月比0.3%上昇し、6カ月ぶりに加速した。前年同月比では4.3%上昇と、ここ約2年で最も小幅な伸びにとどまったものの、米金融当局の目標をなお大きく上回ったままだ。
米コアCPI、前月比で予想上回る伸び-年内追加利上げに道
CPI統計についてブルームバーグテレビジョンの報道
ネーションワイド・ライフ・インシュアランスのチーフエコノミスト、キャシー・ボストジャンシク氏は「コアCPIはやや期待外れだった」と指摘。「これにより米金融当局はタカ派姿勢を維持することになり、11月および12月の利上げがあり得るだろう」と述べる。
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は8月下旬、ジャクソンホール会合(カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム)での講演で、インフレ率は依然として高過ぎ、必要ならさらに引き締める用意があると述べた。7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合では、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標が22年ぶりの高水準となる5.25-5.5%に引き上げられた。当局者による最新の金利見通しでは、年内にあと1回の利上げが見込まれている。
追加利上げの可能性について、投資家は確信を持てていない。金利先物市場は9月会合での金利据え置きをほぼ確実視しているが、11月会合の利上げ予想確率は50%を割り込んでいる。
ハイ・フリークエンシー・エコノミクスの米国担当チーフエコノミスト、ルビーラ・ファルキ氏はCPI統計について「9月の利上げ休止を支持するものだ」と指摘。「しかし、2%の目標に向けた改善のさらなる証拠を確認するまで、米金融当局者が勝利宣言する可能性は低い。必要に応じて追加利上げの可能性を維持するだろう」と述べた。
米国債利回りはCPI発表後にいったん上昇してから間もなく、ほぼ変わらずまで戻した。今回の統計を受けても、投資家の金利見通しが大きく変化していないことを示唆している。
ブルームバーグの算出によれば、住宅とエネルギーを除いたサービス価格は前月比0.4%上昇と、ここ5カ月で最大の伸び。前年比では4%上昇した。この「スーパーコア指数」は労働市場の影響を著しく受けるため重要視されている。雇用市場は依然逼迫(ひっぱく)しており、当面高止まりが続く可能性がある。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のエコノミスト、アナ・ウォン、スチュアート・ポール両氏は「われわれの基本シナリオは9月会合の後も金利を据え置くというものだが、11月利上げのリスクは高まっている」と指摘した。
調査会社インフレーション・インサイツ創業者のオメイア・シャリフ社長は、9月のコアインフレが減速する可能性はあるとした上で、「10-12月(第4四半期)にコアインフレ率が加速すると引き続き考えており、FOMCが12月の会合で追加利上げに踏み切ることはあり得る」と述べた。
エネルギー価格高騰がインフレ期待を押し上げないか、米金融当局者は懸念を強めそうだ。米ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は12日の取引で昨年11月11日以来の高値に上昇。世界の石油市場が10-12月に日量300万バレル超の供給不足に直面することを示唆した石油輸出国機構(OPEC)月報に反応した。
FOMCは2022年3月以降、11回にわたる利上げを実施してきた。パウエル議長ら金融政策当局者は積極的な利上げサイクルが終わりに近づくのに伴い、さらなる利上げが必要かどうかを判断する上で、データに基づき慎重に判断する考えを強調している。
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