石油需要は10年以内にピークを迎える

Gerald Herbert/AP

• 国際エネルギー機関（IEA）は、世界の石油需要がこの10年でピークに達すると予測している。

• フィナンシャル・タイムズのコラムで、IEAの事務局長は最新の予測について説明した。

• ｢それぞれの化石燃料について、この10年で需要のピークが見えるのは初めてのことであり、それは多くの人々が予想していたよりも早い｣

国際エネルギー機関（IEA）の最新の予測によると、3つの主要エネルギー源である石油、天然ガス、石炭に対する世界需要は、この10年でピークを迎えることになるという。

IEAのファティ・ビロル（Fatih Birol）事務局長は、2023年9月12日のフィナンシャル・タイムズ（FT）にコラムを寄稿し、化石燃料需要の｢一見絶え間ない成長の時代｣は終わりの始まりを迎えていると述べている。またIEAが10月に発表する｢世界エネルギー展望（World Energy Outlook：WEO）｣では、歴史的な転換期が差し迫っているとも指摘している。

ビロルはFTにこう記している。

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｢新たな気候変動政策は考慮に入れず、現時点における世界各国の政府による政策だけに基づいたとしても、3つの化石燃料の需要はそれぞれ今後数年でピークに達すると予測される。この10年で各燃料の需要のピークが見えるのは初めてのことであり、これは多くの人々が予想していたよりも早い｣

エネルギー需要がピークに達するということは、温室効果ガス排出量もピークに達することを意味するとビロルは説明する。電気自動車などのクリーンエネルギーを利用した技術の普及により、エネルギー効率の高い時代が到来するだろう。

中国では、政策立案者が再生可能エネルギーや原子力発電により多くのリソースを割くことに尽力し、構造的な転換を遂げている。さらにビロルは、世界最大の石炭消費国である中国の石炭需要が、経済の減速に伴い減少していくと見込んでいる。

ビロルはコラムを次のように続けている。

｢2011年に我々が名付けた『ガスの黄金時代』は終わりを告げつつあり、先進国の石炭需要は2020年代後半には減少に転じるだろう。これは、発電における再生可能エネルギーの利用がガスを凌駕しつつあること、ヒートポンプが台頭したこと、そしてロシアのウクライナ侵攻を受けてヨーロッパがガス離れを加速させたことの結果である｣

しかしIEAの見解では、石油、天然ガス、石炭の需要が減少したとしても、地球の平均気温上昇を摂氏1.5度に抑えるにはまだ十分ではない。障害となるものはまだ残っており、各国政府はエネルギー政策への介入をさらに推し進めなければならない。

加えて、化石燃料の需要の減少は直線的ではない。構造的にはピークに達する可能性があるが、その過程では急増や停滞があるだろうとビロルは言う。

石油の国際的な価格指標であるブレント原油は9月5日、10カ月ぶりに1バレル90ドルを超え、9月12日には91ドルを超えた。

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