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概要:米連邦準備制度が歴史的とも言える積極的な一連の利上げを押し進めているにもかかわらず、そうした借り入れコストの上昇はなぜもっと経済に影響を与えていないのかという大きな疑問が存在する。
米連邦準備制度が歴史的とも言える積極的な一連の利上げを押し進めているにもかかわらず、そうした借り入れコストの上昇はなぜもっと経済に影響を与えていないのかという大きな疑問が存在する。
確かに今年前半には銀行を巡るドラマがあり、倒産件数は増加したものの、大企業を中心に全体的には大半の企業が利上げサイクルの中をうまく乗り切っているように見える。企業は雇用を続け、消費者はなお支出し、米国経済が年内にリセッション(景気後退)入りするという多くのアナリスト予想をはねのけている。
ここに国際決済銀行(BIS)の最新の四半期レビューに掲載されたグラフがある。どうやら、その理由の説明に使えそうだ。BISが指摘するように、企業は長期間にわたった超低金利を利用してより長期の借り入れに乗り換えてきた。
この傾向は2008年の金融危機後に始まり、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を受けて、連邦準備制度が利下げをし、緊急流動性を金融システムに供給する中で勢いを回復した。
グラフは非金融企業(NFC)が10年以上にわたって発行した債券の構成比の推移を示しており、矢印は08年に始まり21年で終わる。その間、大半の企業が期間がより長めの固定金利の債券を発行(グラフは右側に行けば行くほど長期債の割合、上に行けば行くほど固定金利の割合が高まる)を増やしてきているが、中でもある国が際立っていることが分かる。こげ茶色の矢印の米国だ。
Source: BIS
金融危機以前は「NFCのバランスシートでは、ほとんどの債務が短期と変動金利での借り入れで構成されていた。その結果、当時の金融政策引き締めは借り入れコストの着実で漸進的な上昇をもたらし、わずかな増加にとどまる歳入を圧倒して、財政赤字の対GDP(国内総生産)比と債務返済比率(DSR)の上昇をもたらした」とBISのミゲル・アンプディア、エゲメン・エレン、マルコ・ロンバルディの3氏は論じた。
「対照的に、今回の引き締め前にはNFCは低金利、手厚い財政支援策、コロナ禍後の信用状況の恩恵を受けて、長期の固定金利での借り入れを多く行っていた」とBISは指摘する。
オークツリー・キャピタル・マネジメントのマネジングディレクター兼投資リスクオフィサー、ウェイン・ダール氏も最近のポッドキャスト「オッド・ロッツ」でこの点を取り上げている。
同氏が指摘するように、企業はより低コストかつ長期で債務の借り換えを行っただけでなく、大規模なキャッシュバッファーを構築した。これらの要因が重なり、企業は少なくとも今のところは金利上昇の影響から守られている。
グレート・タームアウト
ダール氏は「多くの企業がコロナ期に潤沢な資金を蓄えた。大量の資金が経済に供給され、企業はタームアウト(短期借り入れから長期借り入れへの振り替え)した。金利は下がり、現金が構築され、レバレッジも下がった」と語る。
こうした「グレート・タームアウト」は個人にも及んでいるかもしれない。住宅ローン金利は7%以上に急上昇しているが、パンデミック期間中に多くの人が借り換えを行ったため、最近の借り入れコスト上昇の影響はそれほど強く感じられていない。住宅所有者は、金利上昇の環境を避けることを選び、単純に売り買いをしないことを選択している。
総合すると、依然として金利上昇の影響を比較的受けにくい経済ということになる。これは企業や一部の住宅所有者にとっては朗報だが、インフレを抑えようとする中銀、あるいは単に利上げが経済全体にどのように浸透するかを理解しようとする中銀にとっては、悪いニュースとなる可能性もある。これはまた、中銀が中立金利は以前考えられていたよりも高水準かもしれないとの考えを抱く理由の一つでもある。
もちろん、グレート・タームアウトはそう長くは続かず、最終的に米企業はより高い金利でコストのかさむ借り入れを行わざるを得なくなろう。だが今のところは、連邦準備制度は米大企業に必ずしも大きな圧力をかけることなく一段の利上げを行う余地があることを意味している。
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