注目のＩＰＯ３銘柄失速、公開価格近辺にとどまる－高金利長期化懸念

投資家が新規上場のハイテク企業３社を受け入れると思われた矢先に、米連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ）の「タカ派的据え置き」が水を差した。

アーム・ホールディングスの株価は21日の取引の大部分で新規株式公開（ＩＰＯ）価格を割り込んで推移。５営業日続落し、ピークから４分の１近く落ち込んだ。インスタカートの株価は20日、一時ＩＰＯ価格を割り込んだ。21日に株価は安定したものの、２日前に付けた高値を約29％下回っている。クラビヨの株価は21日に約３％上昇したが、取引初日だった前日に一時的に付けた水準を大きく下回っている。

投資家はＩＰＯ銘柄に若干の懸念を抱くことが一般的で、各銘柄はパウエル米連邦準備制度理事会（ＦＲＢ）議長の発言前、既に取引初日の勢いを失っていた。しかし、最も大きな重しとなったのは市場全体の値下がりだった。ＦＯＭＣが年内の追加利上げの可能性を示唆し、近く利下げすることはほぼないとのシグナルを発したことで、Ｓ＆Ｐ500種株価指数は20日に１％近く下落。21日には1.6％安と６カ月ぶりの大幅な下げとなり、６月以来の安値で引けた。

米金融当局の金利を「より高くより長く」維持するというメッセージは、事業拡大のために資金を必要とし、評価額が何年も先の利益の大きな伸び見通しに基づいている新興企業にとって残酷な言葉だ。今回の株価失速は、上場を目指す企業にデビューのタイミング再考を促すかもしれない。

ルネサンス・キャピタルのシニアＩＰＯマーケットストラテジスト、マシュー・ケネディ氏は、ハイテク企業のＩＰＯが「最大級の成長と収益性を提供する必要がある」とした上で、「これは大部分のＩＰＯ前の企業に当てはまらないため、10－12月（第４四半期）のハイテク企業のＩＰＯはやや限定的にとどまるだろう」と分析した。