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概要:欧州中央銀行(ECB)は新型コロナウイルスの流行期に購入した1兆7000億ユーロ(約277兆円)に上る債券について近く再検討する可能性があり、期限を迎えた債券の再投資をどれだけ長く続けるか考え直すかもしれないと、ラガルド総裁が語った。
2023年11月28日 1:26 JST
「遠くない将来」に政策委員会で恐らく議論・検討される
ユーロ圏の労働市場に失速の兆し、ラガルド総裁が欧州議会で指摘
欧州中央銀行(ECB)は新型コロナウイルスの流行期に購入した1兆7000億ユーロ(約277兆円)に上る債券について近く再検討する可能性があり、期限を迎えた債券の再投資をどれだけ長く続けるか考え直すかもしれないと、ラガルド総裁が語った。
ラガルド氏は27日、ブリュッセルの欧州議会で「われわれは少なくとも2024年末まで再投資を続けると表明してきた。これは遠くない将来に、恐らく政策委員会で議論・検討される問題だ。恐らく見直すことになる」と述べた。
ECB政策委員会のメンバー数人は、いわゆるパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)で購入した債券のロールオフ(償還に伴う保有減少)早期開始を支持する意向を示している。ラガルド氏はこれまで、この問題に慎重な姿勢を保ち、10月の政策委員会会合後の記者会見ではこれに関する議論はなかったとだけ述べ、詳細には踏み込まなかった。
ECB Balance Sheet Is Set to Shrink Slowly
Source: ECB, Barclays, Bloomberg
Note: APP estimates through Sept. 2024 according to ECB, figures for 4Q24 are average of monthly redemptions Sept. 2023-Sept. 2024; PEPP path according to Barclays (redemptions of €18b/m, 50% rolloffs March-May, 100% from June); TLTRO maturities according to ECB; rate projections from Bloomberg survey
景気見通しについてラガルド氏は、ユーロ圏では労働市場軟化の兆しが見られていると指摘。労働市場はECB当局者が金融引き締めの影響を見極めるため注視している重要な指標だ。
「経済活動の鈍化にもかかわらず、労働市場は全体として底堅さを維持している。だが、雇用の伸びが年末にかけて失速する可能性を示す兆しが幾つかある」と述べた。
ユーロ圏の労働市場は景気が減速する中でも堅調で、30日に発表される10月の失業率も6.5%で前月から変わらないと見込まれている。これは6月に付けた過去最低値をほんの少し上回るに過ぎない。
ラガルド氏のその他の主な発言は以下の通り。
「経済の短期的な見通しは依然として暗いものの、インフレ率の一段の低下と家計の実質所得回復、ユーロ圏の輸出需要改善で、向こう数年では再び盛り返す見通しだ」
「先行きを展望すると、インフレ圧力の低下が続くと見込むが、主に一部のベース効果により総合インフレ率は今後数カ月にやや上昇する可能性がある」
「ただ、インフレの中期的な見通しは引き続き多大な不透明性に囲まれている」
「金利を現水準で十分に長く維持すれば、物価安定の回復に大きく貢献するだろうとわれわれは見込んでいる」
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