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概要:国際決済銀行(BIS)の研究者によると、1兆ドル(約147兆円)超の流動資産を保有する中央清算機関は、金融ストレス時に事態を悪化させ、資産価格を押し下げる「マージンスパイラル」を引き起こす可能性がある。
2008年の危機後、中央清算機関の利用は修正策と見なされていた
CCPの証拠金増額、追加マージンコール誘発し投げ売りにも
国際決済銀行(BIS)の研究者によると、1兆ドル(約147兆円)超の流動資産を保有する中央清算機関は、金融ストレス時に事態を悪化させ、資産価格を押し下げる「マージンスパイラル」を引き起こす可能性がある。
研究者たちは、セントラル・カウンターパーティー(CCP)として知られる中央清算機関が、ストレス時にそのメンバーに求める当初証拠金を増額した場合の影響に注目した。これは、投資家が必要な資金を調達するために資産を売却し、ボラティリティーをさらに上昇させ、マージンコールのラウンドを新たに誘発するため、現物市場やデリバティブ市場での「投げ売り」につながる可能性があると、論文は指摘している。
研究者はまた、中央清算機関が6000億ドルの国債を保有していることにも懸念を示した。このような資産は、取引の裏付けとなる担保とデリバティブ取引の原資産の両方の役割を果たすことができる。担保価値低下がさらなる売却を促す場合、「誤方向リスク」を生じる。
イニャキ・アルダソロ、フェルナンド・アバロス、ウェンキアン・フアン3氏は「CCPは現在、流動資産の大規模なプールを管理しており、これがカウンターパーティーリスクからCCPを保護することで金融の安定を支えている。同時に、リスクは消滅するのではなく、特にマージンスパイラルのシナリオにおいてシステミックな流動性リスクへと変化する」分析した。
BISは世界のCCPの担保総額は6月半ば時点で1兆3000億ドルに達し、主に現金(中央銀行への預金やリバースレポ取引などを含む)と国債で構成されていると推計。この額は、世界のシステム上重要な銀行が保有する質の高い流動資産の約10%に相当する。
中央清算機関を通じて取引を決済することは、世界的な金融危機後の市場規制の主要な目的の一つであり、リーマンショックの場合のように1企業の破綻がシステミックショックを引き起こすリスクを払拭(ふっしょく)しようとするものだった。現在でも、米国の規制当局はヘッジファンドに対し、国債取引の多くを中央清算機関で決済するよう求めている。
清算機関は、カウンターパーティーリスクに備えるために担保を差し入れることをメンバーに求めるが、そのような要求は、市場のボラティリティー上昇時にトレーダーが高品質の流動性資産に殺到することによる流動性リスクを引き起こす可能性がある。
BISの論文は、市場メルトダウン時における清算機関の役割に対する規制当局による調査の一環だ。イングランド銀行(英中銀)はCCPに対し、金融ボラティリティーの影響、マージンコールを発する際のCCPの役割、受け取った証拠金の一部をどのように再投資するかについての情報を求めている。金融行政委員会(FPC)メンバーであるランダル・クロズナー氏が述べた。
BISの研究者は、CCPが「質への逃避」行動の影響を受けないわけではないことを明らかにした。米国のCCPの連邦準備制度への預金は、新型ロナウイルス禍に対する市場のパニックの中、2020年1-3月(第1四半期)に倍増した。ウクライナでの戦争が始まると、さらに緩やかな上昇に転じた。
一方、10-11年のアイルランド国債危機では、誤方向リスクの力学が働いたと見受けられる。CCPがアイルランド国債を担保にする際のヘアカットを引き上げたため、投資家はアイルランド国債のポジションを清算した。これがアイルランド国債の価格下落につながり、さらなるヘアカットの引き金となり、ポジション解消が進み、最終的には価格下落のスパイラルに陥った。
「CCPが保有する国債の規模はまだ比較的小さいが、自己増強的なスパイラルの可能性を過小評価すべきではない」とし、「英国債市場における最近のストレスは、比較的小さな市場セグメントから発生した自己増強的スパイラルが、より広範な金融システムの安定を脅かす可能性があることを明確に示している」とBISは論じている。
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