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概要:欧州中央銀行(ECB)は投資家が考えているほど早くは金利を引き下げないだろう。ブルームバーグがエコノミストを対象に実施した調査でこのような予想が示された。
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2023年12月8日 14:22 JST
最初の利下げ時期の予想は9月から6月に前倒し-市場予想より遅い
PEPPポートフォリオの再投資は早期終了との見方が大勢
欧州中央銀行(ECB)は投資家が考えているほど早くは金利を引き下げないだろう。ブルームバーグがエコノミストを対象に実施した調査でこのような予想が示された。
調査の回答者によると、ECBは14日に2会合連続で金利を据え置き、来年6月に利下げをする見込み。以前は9月の初回利下げを予想していた。
ユーロ圏のインフレ率が予想をはるかに上回るスピードで低下し、タカ派的なシュナーベル理事も「驚くべき」低下と評価したことを受け、エコノミストは利下げ時期予想を前倒ししたが、それでも金融市場の予想よりは遅い。
投資家は、来年中に1.5ポイント近い利下げが実施され、初回は早ければ3月になるとみている。エコノミストは6月の後、9月と12月の引き下げしか予想していない。
市場予想のシフトにより、ラガルド総裁ら当局者はコミュニケーションにおけるバランスに苦慮することになりそうだ。欧州が景気後退の瀬戸際に立たされている今、当局者は金利の方向性について確約することをためらうだろう。
HSBCのエコノミスト、ファビオ・バルボーニ氏は「ECBは少なくともある程度は、最近の市場のハト派的な動きに対して反論したいだろう。ハト派的な動きが政策による引き締めの幾らかを巻き戻してしまうという問題もある」と述べた。「しかし、最初の利下げ時期について厳格なフォワードガイダンスを示すという方法は取りたがらないだろう」と続けた。
一部の当局者は既に利下げ予想を押し戻している。スロバキア中銀のカジミール総裁は、来週の会合に先立つ発言自粛期間が始まる数時間前に、来年1-3月(第1四半期)の利下げへの期待を 「空想科学」と呼んだ。ラトビア中銀のカザークス総裁は、現在の経済見通しを踏まえると2024年上期に利下げする必要はないと述べた。
来年1-3月のECB利下げ観測は「空想科学」-スロバキア中銀総裁
ECB、現時点で2024年上期の利下げ必要ない-ラトビア中銀総裁
しかし、14日に発表されるECBの新たな経済見通しによって、これらの想定の前提が崩れるかもしれない。調査回答者は、今年と来年の成長率とインフレ率予測が引き下げられ、2025年については据え置かれると予想している。26年の消費者物価上昇率は2%というECB目標を達成すると予想されている。
オックスフォード・エコノミクスのエコノミスト、オリバー・ラカウ氏は「最近の総合、コア両方のインフレ率がECB予測に対して大きく下振れしていることから、政策委員会はインフレとの闘いの予想以上の進展を認めざるを得ないだろう」と述べた。
ノムラのエコノミスト、アンジェイ・シュチュパニアック氏は、新しい見通しではインフレ率が現在の予想よりも早く2%を下回ると予想している。
「しかし、1月や3月に既に利下げを見込む市場の価格設定に対しては、十分押し戻す必要があるだろう。結局のところ、市場は夢を見ているのだ」と同氏は話した。
ラガルドECB総裁のメッセージに注目-市場は24年の利下げ見込む
ECB、2024年に利下げの問題を検討する可能性-仏中銀総裁
ECBは来年1.5ポイント利下げへ、トレーダーが完全に織り込む
調査に答えたエコノミストらはECBが適切なタイミングで利下げをすると信頼しているもようで、過半数が利下げは早過ぎも遅過ぎもしないだろうと答えている。
また、1兆7000億ユーロ(約263兆円)のパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)ポートフォリオの再投資を予定より早く終了させることで、バランスシートの縮小ペースが速まるとの見方も3分の2を占めた。そのほとんどが、来年4-6月(第2四半期)にロールオフ(償還に伴う保有減少)が始まるとみている。
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