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概要:13日の米金融市場では、株式と債券がそろって上昇。注目されていた米連邦公開市場委員会(FOMC)の政策判断はハト派色の強い内容と受け止められた。
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2023年12月14日 6:57 JST
円は対ドルで一時142円65銭、FOMC受けたドル売りが支援
2年債利回りは29bp低下、3月以来の大幅な下げ
13日の米金融市場では、株式と債券がそろって上昇。注目されていた米連邦公開市場委員会(FOMC)の政策判断はハト派色の強い内容と受け止められた。
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
S&P500種株価指数 | 4707.09 | 63.39 | 1.37% |
ダウ工業株30種平均 | 37090.24 | 512.30 | 1.40% |
ナスダック総合指数 | 14733.96 | 200.56 | 1.38% |
公表された最新のドット・プロット(金利予測分布図)では、当局者が来年75bpの利下げを見込んでいることが示され、9月時点から想定の利下げペースが切り上がった。これを好感してS&P500種株価指数は4700を上抜けた。ダウ工業株30種平均は過去最高値で終えた。金利スワップ市場では2024年の利下げ確率が上昇。向こう1年で約140ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の緩和を織り込んだ。
2024年の利下げ確率高まる、FOMC後の金利スワップ市場
パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は失業率の急上昇を招かず、インフレが緩和していることは朗報と述べ、金融政策はかなり景気抑制的な領域に入っているとの認識を改めて表明。インフレは鈍化したかもしれないが、なお高すぎるとし、金融当局は慎重に進めていると続けた。
FOMC、3会合連続で金利据え置き-24年に複数回利下げを予想 (1)
イートロの米投資アナリスト、キャリー・コックス氏は「米金融当局はソフトランディング(軟着陸)を実現しつつあると考えている」と指摘。「市場も明らかにそれを信じている。米金融当局者は来年、数回の利下げを見込んでおり、それも祝いの利下げのようにみえる」と述べた。その上で「誰も将来のことははっきり分からない。だからこそ機敏に行動し、金利が当面高止まりするであろう点を心にとどめておくことが重要だ。とはいえ、米金融当局の姿勢は年末まで利下げトレードを持続させる可能性がある」と続けた。
KPMGのチーフエコノミスト、ダイアン・スウォンク氏は「米当局者はこの政策声明と見通しを承認した。想定しうる限りのハト派的な内容であり、ハト派という点で私の想像以上だった」と指摘。「パウエル議長がこれを撤回するのは難しいだろう。米当局者全員がこれを認めていることを踏まえれば、議長が撤回するとは思わない」と述べた。
一方、モルガン・スタンレー傘下Eトレード・ファイナンシャルのマネジングディレクター、クリス・ラーキン氏は「インフレは正しい方向に進んでいる。だが、米金融当局は来年3回の利下げを見込んでいるにもかかわらず、今回の政策声明でタカ派的なトーンを維持した」と指摘。「投資家は新年も、ほぼ同じような展開を想定すべきだ。米金融当局は金融政策が景気を減速させ、インフレを冷やし始めるのにこれほど長く待つことを余儀なくされた。ようやくゴールが視界に入ってきたからといって、慎重さを忘れて前のめりになるようなことはしないだろう」と述べた。
朝方発表された11月の米生産者物価指数(PPI)は、エネルギーコストの低下が影響し、前年比で上昇率が減速した。12日公表された消費者物価指数(CPI)統計でも、総合指数の伸びが前月比で加速したものの、前年比では鈍化しており、インフレ率がFRBの目標に向かって下がっているとの見方を強めた。
米PPI、11月は前年比の伸びが1%割れ-エネルギー価格が下落 (2)
イエレン米財務長官は、インフレが鈍化する中で米金融当局が経済の安定を保つために利下げを検討するのは理にかなっているだろうとの見解を示した。
米金融当局が利下げ実施するのは「当然のこと」-イエレン財務長官
個別銘柄では、来年の売上高見通しが市場予想に届かなかったファイザーが売られた。一方、テスラは約1%高で終了。200万台以上を対象とするリコール(無料の回収・修理)を届け出たことを受けて当初は下落していたが、FOMC後に上昇に転じた。
ファイザー株価急落、2024年売上高と利益の見通しが市場予想下回る
テスラが200万台リコール、自動運転支援システムの不具合修正 (1)
米国債
米国債市場では、期間短めの債券利回りが25bp余り低下し、ブルスティープ化が進行した。
国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
---|---|---|---|
米30年債利回り | 4.18% | -12.9 | -2.98% |
米10年債利回り | 4.02% | -17.7 | -4.21% |
米2年債利回り | 4.44% | -29.4 | -6.21% |
米東部時間 | 16時56分 |
ドット・プロットで来年3回の利下げを見込んでいることが示されたことに反応した。市場が来年以降に一段と積極的な緩和を織り込む方向に進む中でも、パウエル議長が記者会見でこれを押し戻すことができず、さらにこうした動きが強まった。
この日の利回り低下の大部分は、ドット・プロットの公表後に起きた。2年債利回りが全体の下げを主導した。
為替
ニューヨーク外国為替市場では、ドルが急落。米金融当局が9月時点よりも1回多い、来年3回の利下げを見込んでいることが明らかとなり、ドル売りが膨らんだ。
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
ブルームバーグ・ドル指数 | 1231.55 | -9.40 | -0.76% |
ドル/円 | ¥143.04 | -¥2.41 | -1.66% |
ユーロ/ドル | $1.0882 | $0.0088 | 0.82% |
米東部時間 | 16時56分 |
円は対ドルで急伸。FOMC前は145円台で推移していたが、政策発表とパウエル議長会見を受けて上値を伸ばし、一時は1.9%高の142円65銭まで買われた。米国債利回りが低下する中、投機筋やモデルによるドル売りも出た。
ポンドも対ドルで上昇。英国の10月の国内総生産(GDP)が予想以上に縮小したことで、イングランド銀行(英中央銀行)による来年の利下げ観測が高まり、当初は売られていたが、FOMC後に切り返した。
英中銀の来年利下げ幅、100bpを市場織り込み-10月GDP受け (1)
原油
ニューヨーク原油先物相場は反発。米エネルギー情報局(EIA)の週間統計で原油在庫の減少が示され、相場を圧迫していた供給過剰懸念の後退につながった。ホリデー時期を前にした流動性低下で値動きが増幅した可能性もある。売買高は過去4営業日のうち3日で30日平均を下回った。
この日発表されたEIA統計によると、先週の米原油在庫は430万バレル減少。石油と石油製品は1000万バレル減と、10月中旬以来の大きな落ち込みとなった。
CIBCプライベート・ウェルスのシニアエネルギートレーダー、レベッカ・バビン氏は在庫減少について「全体としてかなり強材料だ」と指摘。本格的な相場上昇につながるかどうかには懐疑的なものの、「空売り筋をちゅうちょさせることにはなるだろう」と語った。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物1月限は前日比86セント(1.25%)高の69.47ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント2月限は1.4%上げて74.26ドル。
金
ニューヨーク金先物相場は小反発。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月限は、FOMC結果発表前に前日比4.10ドル(0.2%)高の1オンス=1997.30ドルで取引を終えた。
金スポット相場はFOMC前は様子見姿勢も強く、1980ドルを挟んだ推移となっていたが、24年の複数回利下げ予想が示された直後に買いが強まり、一気に2000ドル台を回復した。ニューヨーク時間午後3時40分時点では2020.25ドル。
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