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概要:来年は米経済が好調になるにつれてドル高が進み、サプライズをもたらすと、世界の資産運用大手数社が予想している。
来年は米経済が好調になるにつれてドル高が進み、サプライズをもたらすと、世界の資産運用大手数社が予想している。
フィデリティ・インターナショナルやJPモルガン・チェース、HSBCホールディングスは市場のコンセンサスに反してドル高を予測。ルーミス・セイレスは世界経済の減速がドル買いを促すとみている。
これらの逆張り的な見方は、世界各国が米国以上に金利上昇に苦しみ、リセッション(景気後退)に近づくという見通しに基づいている。
米連邦準備制度は2024年に75ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げを行う方針を示唆しているが、ドル強気派は、欧州から新興国まで他の主要国でも同様の、あるいはさらに速いペースで利下げが行われ、金利差が拡大すると予想する。
HSBCのグローバルFX調査責任者ポール・マッケル氏は「24年にドルが負け組になるとのコンセンサスがあるのは奇妙なことだ。多くのシナリオがドルの底堅さを示唆している一方で、明確なドル弱気シナリオをもたらすのは世界的なソフトランディングだけだ」と述べた。
ブルームバーグが調査した10カ国・地域(G10)と新興国のアナリストの間では、24年にドル安が進むとの見方が大勢を占めている。
ドル指数および、新興国を含むより広範なブルームバーグ・ドル・スポット指数の構成通貨で、1通貨を除く全てがドルに対して値上がりと予想されている。
こうした、ドル安予想は、ドルが通常、質への逃避から恩恵を受けることや、米国外の成長ダイナミクスが相対的に弱いことを見逃している可能性がある。
フィデリティのマネーマネジャー、ジョージ・エフスタソプロス氏は「欧州と英国はリセッションに近づいていると思う」とし、「そういうことが起こった場合、ドルが常に買われるのは明らかだ」と語った。同氏はユーロとポンドに対するドルの一段の上昇を見込んでポジションを組んでいる。
モルガン・スタンレーは、ドル指数が現在の102前後から来年春までに111まで上昇すると予測。JPモルガンのストラテジスト、ミーラ・チャンダン氏らは、ドル指数が1-6月(上期)に3%上昇するとみている。
モルガン・スタンレーのG10為替戦略責任者デービッド・アダムス氏らストラテジストは11月13日のリポートで、「ドルの『より強くより長く』の道筋は、さまざまな指標で米国がアウトパフォームすることを織り込んでいる」と説明。その中には欧州中央銀行(ECB)による早期かつ迅速な金融緩和の見通しも含まれており、金利差はドル有利に保たれるだろうと付け加えた。
確かに、米連邦公開市場委員会(FOMC)が12月13日に政策転換を示唆したことで、市場の米利下げ期待は急上昇。トレーダーは今後1年間の米利下げ幅予想を、政策決定会合前の100bp未満から131bpに引き上げている。これは現在のECB利下げ幅予想137bpに匹敵するが、メキシコやブラジルなどの新興市場国の中銀には及ばない。
ECBのラガルド総裁は14日、インフレを依然懸念しており、緩和を考えていないことを示唆した。
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ルーミスのリンダ・シュバイツァー氏は、ヘッジとしてドルを選好している。人民元とポンド、ユーロを売り持ちにしている同氏は「相対的なものであり、世界的な景気減速がやってくるというわれわれの見方に基づき、他の通貨に対してドルをややロングした方がよいと感じている」と話した。
エフスタソプロス氏にとっては、債券と株式の相関が高いことから分散投資としてもドルは魅力的だという。
リスクプレミアム
JPモルガンは、米大統領選挙が24年の主要なテーマとなる中で地政学的な緊張がドルを支えるとみる。新たな貿易関税の可能性から、ドルについてのリスクは上昇方向に傾いているとしている。
チャンダン氏らストラテジストの11月27日付リポートによると、中国を超えて他国・貿易圏に対する米国の関税が今後拡大すれば、その影響は極めて大きなものになる。世界を対象とした10%の関税はドルを貿易加重ベースで4-6%押し上げる可能性があるという。
米商品先物取引委員会のデータによると、ドルの投機的ポジションを示す指標、非商業ネットロングポジションは1年ぶりの高水準から減少したものの、市場参加者全体として依然ロングになっている。
ドルは23年を小幅安で終える見込みだが、米連邦準備制度が利下げを開始するのに伴いさらに下落すると予想する向きもある。
アムンディ・インスティテュートの責任者モニカ・ディフェンド氏は「米金融当局が引き締めから緩和に移行するにつれ、ドルは反落しやすくなるだろう」と述べ、UBSインベストメント・バンクのストラテジスト、バーヌ・バウェジャ氏も「対米金利差の縮小が恐らく主要な力になる」との見方を示した。
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