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概要:米国の上場投資信託(ETF)市場の運用資産は過去5年で倍以上に増えた。1000本余りのファンドが新規に組成され、年間取引額はおよそ11兆ドル(約1560兆円)急増した。だが、この爆発的な成長には唯一、例外がある。各商品の資金の出し入れを担う企業だ。
2023年12月16日 0:19 JST
ETF資金フローのうち、わずか3社が全体の半分以上を手がける
ストレス下ではミスプライシングの弊害リスク高まるとの研究結果も
米国の上場投資信託(ETF)市場の運用資産は過去5年で倍以上に増えた。1000本余りのファンドが新規に組成され、年間取引額はおよそ11兆ドル(約1560兆円)急増した。だが、この爆発的な成長には唯一、例外がある。各商品の資金の出し入れを担う企業だ。
具体的には、北米ですべてのETFが円滑に機能するために不可欠なブローカーディーラーの一種で、指定参加者(AP)と呼ばれる。しかし、業界が拡大する中でも、APの数はほとんど変わっていない。むしろ、最もアクティブなAPが市場シェアを伸ばし、今や8兆ドル規模に達するこの分野では水面下で著しい集中が進んでいる。
ブルームバーグ・ニュースがファンド3400本以上の提出書類を分析したところ、業界の猛烈な拡大ペースにもかかわらず、米国のETF資金フロー全体の半分以上をわずか3社が手がけていることが分かった。大半のファンドで、出入りする資金のおよそ9割は3社以下のAPを経由する。全データが入手可能な最後の四半期において、数百に上るETFがアクティブなAPは1社のみと報告した。
研究結果によると、ストレスが高まるシナリオ下では、アクティブなAPが少ないファンドは一段と大きなミスプライシングを起こしやすいと指摘されている。ミスプライシングとはETFが裏付けとなる資産の価値に対してプレミアム、あるいはディスカウント水準で取引される状況で、投資家にリスク拡大と潜在的なコスト増をもたらす。また、ウォール街で最も人気のある投資手法の1つであるETFの機能に対する信頼も損なわれかねない。
多くの個人投資家にとって、ミスプライシングはすぐには分からないかもしれない。APの活動やファンドの資産からのかい離は、大半の投資家の目に触れないところで起こることが多いためだ。低コストかつ効率的との見方を背景に、ETFは人気を博してきた。だが、市場がメルトダウンを起こせば、こうした利点は薄れ、APの欠如がさらに問題を悪化させかねない。
ブルームバーグが米証券取引委員会(SEC)への提出書類を分析したところ、銀行大手3行がAPビジネスで支配的な地位を占めていることが分かった。データが最初に報告されて以来、すべての期間で最もアクティブなAPとして君臨しているのがバンク・オブ・アメリカ(BofA)だ。全データが入手可能な最後の四半期である2022年7-9月(第3四半期)時点では、市場全体の24%を占めた。第2位は約17%でゴールドマン・サックス・グループ。その後をJPモルガン・チェースが約12%で続いた。
ウィズダムツリーの資本市場責任者、デービッド・グライヒェン氏は「これらの企業は資金を移動させ、取引を決済し、一定の期間内にすべてを完了できるという、取引のしやすさと専門知識を備えている」と指摘。「そのため、このビジネスで成功し続けることができるのだ」と述べた。
ゴールドマンとJPモルガンの担当者はコメントを控えた。BofAはコメントの要請に応じなかった。
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