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概要:昨年12月の米雇用統計では雇用者数の伸びが加速し、賃金の上昇率は市場予想を上回った。米利下げ時期が迫っているとの観測が後退した。
12月の非農業部門雇用者数、21.6万人増-市場予想17.5万人増
平均時給は前月比0.4%増-市場予想0.3%増
上段:非農業部門雇用者数の月間増、下段:労働参加率
雇用者数が特に増加した部門は医療や政府、建設、娯楽・ホスピタリティーなどだった。雇用が増えた業種と減少した業種との比率を示す雇用DIは上昇した。
米政策金利は昨年にかけて約20年ぶりの高水準に引き上げられたが、堅調な労働市場は安定した消費支出と健全な経済成長の原動力となっている。
金利スワップ市場では、雇用統計の発表を受けて一時、3月利下げの確率がほぼ半々に低下した。
米雇用統計、FRBは利下げ遅らせる柔軟性を確保:市場関係者の見方
米金融当局は物価上昇が経済全般にわたって鈍化している一段の証拠を得るまで、政策金利を高水準に維持する姿勢だ。労働力の需要と雇用主による賃上げ意欲は、当局のそうした決意を固めさせる可能性が高い。
チャールズ・シュワブのチーフ債券ストラテジスト、キャシー・ジョーンズ氏は「雇用市場は底堅いが、徐々に冷えつつあるというのが全般的な姿だ」と指摘。「ただ平均時給の伸びを受け、米金融当局が市場の織り込みより長く政策金利を据え置く可能性がある」と述べた。
留意点
雇用者数の伸びは健全なペースで加速したが、12月雇用統計には留意点もある。
労働参加率が0.3ポイント低下の62.5%と、約3年ぶりの大幅低下となった。比較的若い世代と年配者で特に下げ、25歳から54歳の労働参加率は0.1ポイント低下となった。
失業者が仕事を探す期間は長期化し、フルタイム雇用者の数は2020年4月以来の大幅減となった。週平均労働時間は34.3時間と、前月(34.4時間)から減少した。
ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、アナ・ウォン氏らは「12月雇用統計で良いニュースは、非農業部門雇用者数が驚くほど増加したことだけだ。他の項目は、労働市場が急速に冷え込みつつある兆しであふれている。家計調査に基づく雇用者数は2020年4月以来の大きさで減少した。失業期間は長期化し、労働参加率は低下、経済的理由でパートタイムの仕事に就いている人が増え、労働時間は減少した」と分析した。
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