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概要:8日の米株式市場ではS&P500種株価指数が続伸。大型ハイテク銘柄が上げを主導した。今週は重要なインフレ指標や銀行決算が発表される予定だ。
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2024年1月9日 6:37 JST
ボーイングは大幅安、737MAX-9型機の運航停止を嫌気
NY原油は大幅反落、サウジによる原油販売価格引き下げを意識
8日の米株式市場ではS&P500種株価指数が続伸。大型ハイテク銘柄が上げを主導した。今週は重要なインフレ指標や銀行決算が発表される予定だ。
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
S&P500種株価指数 | 4763.54 | 66.30 | 1.41% |
ダウ工業株30種平均 | 37683.01 | 216.90 | 0.58% |
ナスダック総合指数 | 14843.77 | 319.70 | 2.20% |
ハイテク銘柄中心のナスダック100指数はアウトパフォーム。エヌビディアが高い。同社は人工知能(AI)搭載パソコン(PC)の機能を強化する新たな半導体を発表した。ボーイングは大幅安。米当局は737MAX-9型機を一時的に運航停止とした。
アラスカ航空の737MAX-9、吹き飛ばされた一部を回収-米当局
S&P500種は先週、経済データが強弱まちまちな内容となる中、週間ベースで昨年10月以来の大幅下落となっていた。米利下げ観測が後退した。
シルバークレスト・アセット・マネジメントのマネジングディレクター、ロバート・ティーター氏は「昨年末に見られたバリュエーション主導の値上がりは、2024年に見込まれる上昇分を先取りした面があり、それが24年の相場予想を難しくしている。データが強弱まちまちな様相を強め、先物市場で米利下げが既に織り込まれている状況を踏まえると、先を見通すのは特に難しい」と述べた。
個別銘柄では、衣料小売りのルルレモン・アスレティカとアバクロンビー・アンド・フィッチ、アメリカン・イーグル・アウトフィッターズが上昇。3社はそろって売上高見通しを引き上げた。2023年11-24年1月期(第4四半期)のホリデー商戦が好調で、高インフレや金利高を背景とした個人消費の弱さを巡る懸念を振り払う格好となった。
ルルレモンやアバクロが売上高見通し引き上げ、ホリデー商戦が好調
医療器具メーカーのボストン・サイエンティフィックも上昇。同社は医療テクノロジー会社アクソニクスを1株当たり現金71ドルで買収すると発表した。
ボストン・サイエンティフィック、アクソニクスを買収-37億ドル規模
国債
米国債は上昇(利回りは低下)。原油急落のほか、消費者調査で短期のインフレ期待が低下したことが手掛かり。
国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
米30年債利回り | 4.18% | -2.2 | -0.51% |
米10年債利回り | 4.02% | -2.9 | -0.70% |
米2年債利回り | 4.36% | -1.7 | -0.38% |
米東部時間 | 16時36分 |
この日は全年限で利回りが一時5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)以上低下。5年債利回りは一時9bp近く下げて3.92%を付けた。同利回りは、5日には一時4.09%を上回り、昨年12月13日以来の高水準となっていた。12月の米雇用統計を受けて年内の米利下げ観測が後退したことが背景にある。
一方で8日には利下げに対する見方が一部復活。あるケースでは、短期金利先物が3月の0.25ポイントを完全に織り込むことを予想するオプションの買いが増加。同オプションは8日時点で、連邦公開市場委員会(FOMC)が今年2回目の政策決定を発表する3月20日に金利を約16ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き下げるとの見方を織り込んでいる。
5年債利回りの動き
出所:ブルームバーグ
8日はサウジアラビアの原油価格引き下げを受けてウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物が一時5%近く下げたことを受け、インフレ鈍化が継続するとの見方が強まった。またニューヨーク連銀がこの日に公表した調査結果によれば、米消費者の短期的なインフレ期待は昨年12月に低下し、2021年1月以来の低水準となった。
1年先の米インフレ期待が低下、2021年1月来の低水準-NY連銀調査
外為
外国為替市場ではドルが下落。原油急落を受けて、米国債利回りが低下した。主要通貨では円がアウトパフォームした。
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
ブルームバーグ・ドル指数 | 1221.97 | -2.17 | -0.18% |
ドル/円 | ¥144.21 | -¥0.42 | -0.29% |
ユーロ/ドル | $1.0951 | $0.0008 | 0.07% |
米東部時間 | 16時36分 |
ブルームバーグ・ドル・スポット指数は、先週は週間ベースで0.9%上昇となっていた。この日は主要10通貨のほぼ全てがドルに対して値上がりした。重要な米インフレ指標の発表を週内に控え、活発な資金の流れは見られなかった。
ドルは対円でも下げ、一時1ドル=143円66銭を付けた。市場は、9日朝に発表される昨年12月の東京都区部の消費者物価指数(CPI)に注目している。
オフショア人民元は反発。中国人民銀行(中央銀行)は経済全体のファイナンス規模と与信の適切な伸びをしっかりと支えるため、預金準備率など多様な金融政策ツールを活用すると表明した。国営新華社通信が人民銀貨幣政策局の鄒瀾局長を引用して報じた。
中国人民銀、預金準備率などの金融ツール活用へ-与信の伸び支援 (1)
原油
ニューヨーク原油先物相場は大幅反落。サウジアラビアによる原油販売価格引き下げが意識された。市場では需給ファンダメンタルズ悪化の新たな兆候と受け止められている。ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油は一時5%下げ、日中の下落率としては約1カ月ぶりの大幅安となった。
サウジ、アジア向け原油販売価格を大幅引き下げ-需給軟化を反映か
サウジ国営石油会社サウジアラムコは、アジア向けアラビアン・ライトの2月積み原油公式販売価格(OSP)を1バレル当たり2ドル引き下げた。2021年11月以降で最も低い水準となる。
WTI先物圧覚とサウジアラムコのOSP
出所:ICE,サウジアラムコ
紅海の安全な通航を巡る協議で一部の海運会社が親イラン武装組織フーシ派と合意したとの報道も、原油相場を圧迫した。しかし、大手2社はこうした取引の存在を即座に否定している。
燃料卸売業者TACエナジーのアナリストは「週明けのエネルギー市場は激しい売りに見舞われ、相場は最近の取引レンジ下限近くまで下げている。テクニカル面でのサポートが崩れてさらに大幅下落する恐れがある」とリポートで指摘した。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物2月限は前営業日比3.04ドル(4.1%)安の1バレル=70.77ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント3月限は2.64ドル(3.35%)安の76.12ドル。
金
ニューヨーク金相場は下落。トレーダーは米金融政策の見通しに関する手掛かりを得ようと、今週発表の米インフレ統計に注目している。金価格は通常は金利と逆相関の関係にあり、金利が低下すると上昇する傾向にある。
サクソバンクの商品戦略責任者オレ・ハンセン氏は、上場投資信託(ETF)を通じた売りも金相場を圧迫していると指摘。ブルームバーグがまとめたデータによると、ETFが保有する金は5日の取引で10万5259オンス減少。4営業日連続の減少となり、保有量は2020年2月以来の低水準となった。
上場投資信託(ETF)の金保有量
出所:ブルームバーグ
積極的な米利上げの局面が終了したとの観測から、金価格は昨年12月中旬以降1オンス=2000ドル台を維持してきた。金相場を動かす次の主要材料は、11日に発表される12月米消費者物価指数(CPI)となる可能性がある。
ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月限は前営業日比16.30ドル(0.8%)安の2033.50ドルで終了した。
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