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概要:2023年は金利の大幅引き上げが成長を圧迫するだろうという予想を裏切り、米経済はリセッション(景気後退)を免れた。
2024年1月22日 23:20 JST
ソフトランディングのコンセンサス、前年と同様に間違い
労働市場は既に減速、金融政策は極めてタイト-景気後退が不可避
2023年は金利の大幅引き上げが成長を圧迫するだろうという予想を裏切り、米経済はリセッション(景気後退)を免れた。
24年初頭の現状は、米国の株価は史上最高値の付近で取引され、失業保険申請件数は1年余りで最低の水準に低下し、小売売上高は依然として好調で、インフレ率は連邦準備制度が目標とする2%に近づく傾向にある。このため、米経済は失業率が上昇することなくインフレ率が低下するソフトランディングを実現できるだろうという新しいコンセンサスが生まれている。
しかし、ヘッジファンド、ブレバン・ハワードのチーフエコノミスト兼調査責任者であるジェーソン・カミンズ氏によれば、24年においても23年と同様に、世間一般の見方は間違っている。
カミンズ氏はブルームバーグのポッドキャスト「オッド・ロッツ」とのインタビューで、米労働市場は既に急激に減速しており、金融政策は極めて景気抑制的な状態にあると主張。この組み合わせでは、次のリセッションが避けられないとの見方を示した。
米連邦準備制度は健全な労働市場と安定したインフレを維持するという二つの使命のうち、雇用面に関しては既に「火遊び」をしているという。
「今の労働市場を注意深く見れば、雇用が止まったことが分かる」とカミンズ氏。「もし労働参加率が前回の報告で0.3ポイントという大幅な低下をしていなければ、失業率は0.3ポイント上昇して4%になっていただろう」と同氏は説明した。
一方、フローに関する家計調査のデータによれば、労働力人口外から雇用に移る人の数は大きく減少しているとカミンズ氏は指摘する。
もう一つの使命であるインフレについてカミンズ氏は、金融当局がその持続性を大幅に過大評価し、政策が危険なほど引き締まる原因になっているとみている。昨年6月に発表された米連邦準備制度理事会(FRB)の経済予測サマリーが、インフレ率見通しを見誤る重要な出発点だったと言う。
「19人のメンバーから成る委員会の予想中央値は、個人消費支出(PCE)価格指数のコアインフレ率が3.9%だった」とカミンズ氏は指摘。その後のデータはこれとかなり隔たっており、ブレバン・ハワードは26日発表されるデータで同指数のコアインフレ率は3%に近づくと予想している。わずか6カ月の期間にしては大きなずれだ。
「ブレバン・ハワードの歴史の中で、私が最も弱気だった時期の一つは、2008年の金融危機の前夜、ベアー・スターンズが買収された直後だった。経済は絶対に崩壊すると思っていた」と同氏は振り返る。
当時は市場が実体経済と同調するまで、しばらく時間がかかった。
「ベアー・スターンズが破綻した後、4月と5月には毎月25万人の民間雇用が失われていた」が、それでも「株価は上がり、クレジット市場も順調だった。金融商品も金融市場も、悪くなるまではうまく行くことが多い」とカミンズ氏は話した。
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