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概要:痴漢被害にあいやすいのはスカートが短いからではなく、制服そのものに原因があった。そんな驚きの調査結果が明らかになった。
痴漢被害にあいやすいのはスカートが短いからではなく、制服そのものに原因があった。男性より女性の方が「露出してるから痴漢にあっても仕方ない」と考えている —— 。
そんな驚きの調査結果が明らかになった。
女性7割がストリートハラスメントを経験
2019年1月21日、厚労省で会見した小島慶子さん(左)、永田夏来さん(中央)、荻上チキさん(右)。
撮影:竹下郁子
あらゆるハラスメントを社会からなくすことを目的として活動している#WeToo Japanが、ハラスメント被害の調査結果を公表した。調査は2018年9月、東京など関東近郊に住む15〜49歳の男女1万2000人にインターネットを通じて行った。
調査項目は、
ナンパや痴漢などの「ストリートハラスメント」
SNS上で行われる「オンラインハラスメント」
セカンドレイプにつながりかねないような誤解「ハラスメント幻想」
「セクシュアルコンセント(性的同意)」
の4つだ。
ストリートハラスメントは、知らない人から連絡先を渡されるようないわゆるナンパから、体を触られる・性器など体の一部を直接見せつけられるなどの性的嫌らがせの他にも、昨今話題になった「故意にぶつかられる」ことなども含まれる。女性の70%、男性も約30%が経験があると回答した。
スカート丈と痴漢は関係ない
スカート丈は関係ない(写真はイメージです)。
shutterstock/MAHATHIR MOHD YASIN
また痴漢については、通勤通学時間が長いほど被害経験が増えることがわかった。通勤時間20分以内の人に比べて、41分以上かかる人たちは2倍以上の確率で痴漢被害にあっていたのだ。
先日、大手制服メーカーが「自分が『カワイイ』と思った短いスカートによって性犯罪を誘発してしまいます」というポスターを作製していたことが発覚。被害者に責任があるような文言が批判され、メーカーはポスターを回収し謝罪したことがあった。
今回の調査では中学生時代のスカートの長さを「長くしていた」「普通」「短くしていた」の3カテゴリに分け、痴漢などの被害経験率との関連も調べたが、両者に関連は見出せなかった。
一方で、体を触られる被害の経験率は、私服だった人が約30%なのに対し、ブレザー・セーラー・その他制服を着用していた人は制服の種類に関わらず約50%にものぼった。制服そのものが被害を誘発しているのだ。
調査を担当した評論家の荻上チキさんは言う。
「被害にあったときの服装を責めるような論調は根強いですが、今回の調査で通勤時間や制服など、本人がコントロールできない環境要因によって被害にあっていることがわかりました。通勤通学時間を短くしたり制服をなくしたりして環境を改善するほか、社会のジェンダー差別をなくしていくことが対策として有効でしょう」
制服がどんな記号になっているのか、彼女たちを性的に消費して当然という情報を発信し続けてきたメディアをはじめ、大人たち皆で考えるべき問題だ。
男性はインスタ、女性はTwitterに注意
男性がオンラインハラスメントを受けやすいSNSは意外なものだった(写真はイメージです)。
撮影:今村拓馬
オンラインハラスメントでは、LINE、Facebook、Twitter、インスタグラムのSNSで男女別に不快な性的アプローチを繰り返された経験を尋ねた。女性が最も被害にあっていたのはTwitter(12.2%)なのに対し、男性はインスタグラム(9.8%)だった。
「インスタグラムの利用率は男性26%に対して女性47%と女性の方が多いので、男性に向ける視線が厳しくなるのでしょう。Twitterの利用率は男女とも約50%と差がないにも関わらず女性の被害が多いということは、女性にとってTwitterはリスクの大きいSNSと言わざるを得ないですね」
こう言うのは、荻上さんとともに調査を担当した兵庫教育大大学院の永田夏来講師だ。
女性が自己責任論に絡めとられる背景考えて
小島慶子さん。
撮影:竹下郁子
今回の調査ではほかにもハラスメントに関する意識調査を行っている。
「露出が高い服を着ている人は、痴漢にあっても仕方がない」という設問では意外な結果が出た。
男性の39.2%、女性の45.6%が「そう思う、どちらかと言えばそう思う」と回答。女性の方が自己責任論やセカンドレイプにつながりかねない意識が高かったのだ。もちろん悪いのは加害者であり、被害者には何の責任もない。
#WeToo Japanで「すべてのハラスメントにNO!『ゼロハラ』プロジェクト」の呼びかけ人を務める小島慶子さんは、
「なぜ女性は男性よりも『露出が高いと痴漢にあっても仕方ない』と考えてしまうのか。きっといろんな理由があると思いますが、そこに至るまでに女性たちが何を経験し、どんな諦めがあったのかを想像して議論することが大切です」
と訴えた。くれぐれも「女性だってこう言ってる」と、この数字を都合よく利用する人がいないことを望む。
データは出た。これからは数字の裏にある一人一人の声に耳を傾け、社会の構造的な問題に目を向ける番だ。
調査では他にも年収や婚姻歴、恋人・性交の有無なども回答者に尋ねており、これから詳しい分析に入るという。
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(文・竹下郁子)
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