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概要:社会人と学生をつなぐマッチングアプリが波紋を呼んでいる。ゼネコン大手・大林組の男性社員がアプリを通じて出会った女子大学生に対する強制わいせつ容疑で逮捕されたからだ。学生たちの被害の声を集めた。
ゼネコン大手・大林組の男性社員(27)が強制わいせつ容疑で逮捕された(2019年2月18日)。OB訪問に来た女子大学生に対して、自宅マンションを事務所と偽り連れ込んだという。手口に手慣れた感があり、警察は余罪を追及するそうだ(AERA dot.2019年2月21日より)。
2人の出会いは、社会人と学生をつなぐOB訪問のためのマッチングアプリだった。
Business Insider Japanの就活セクハラに関する取材でも、こうしたアプリに関する懸念の声は数多く寄せられている。
関連記事:深刻化する就活セクハラ。OB訪問や泊まり込みインターンが温床に【就活2019】
関連記事:OB訪問で自宅や個室で性行為強要、2人に1人の学生が就活セクハラ被害に。「選考有利」ちらつかせ
友人2人も「自宅最寄駅に夜10時」と指定
強制わいせつ容疑で逮捕された大林組社員が利用していた「VISITS OB」のホームページ。「100万マッチング突破!」の文字が踊る。
出典:「VISITS OB」ホームページ
東京都内の私立大学4年生のAさん(女性・22)は、就活時に2つのOB訪問マッチングアプリに登録していた。アプリという気軽さや周囲に利用している友人も多いことから、自然な流れで使い始めたという。
どちらのアプリも学生から社会人にアプローチをし、マッチングした場合のみ個別にメッセージのやり取りが可能になる仕組みだ。
アプリを通じて出会った、当時、Aさんが志望していた広告大手企業の20代男性社員から待ち合わせに指定されたのは、「自宅最寄駅に夜10時」だった。不審に思ったが、不規則な業界だから夜遅い時間なのだろう、仕事で疲れているから自宅近くなのだろうと自分を納得させ、約束の場所に向かったという。
「家まで歩いてすぐだから。いいよね?」
shutterstock/Phattana Stock
OB訪問の場所は近くのカフェやレストランだと思っていたAさんは男性からの提案に驚いたが、ここで断って嫌われたり自意識過剰だと思われたりするのは嫌だなと思い直し、男性の自宅へ。
仕事の説明やエントリーシートの話など就活の相談は1時間ほどで終わり、近くのレストランで食事をとることに。食事中、「彼氏いるの?」などプライベートなことを聞かれ、さらに「泊まっていくでしょ?」と誘われたという。すでにAさんの終電はない時間だった。
「断ってタクシーで帰りましたが、お金もかかるし何より気持ち悪かったです。実は私以外にも広告業界を志望している友人2人が同じようにこの男性社員とアプリで出会って、『自宅最寄駅で22時待ち合わせ』と誘われています。すごく手慣れているし、毎年同じことをやっているんじゃないでしょうか」(Bさん)
アプリで出会って詳細はLINEで
OBと直接会って就活相談ができるとしてOB訪問アプリを利用する学生は多い(写真はイメージです)。
撮影:今村拓馬
その後もたびたび誘いのLINEが入ったため、ブロックして今は連絡を取ってないという。
Aさんが男性と知り合ったのはOB訪問アプリだが、初めて会ったのは集団でのOB訪問だった。男性は「アプリで出会ったすべての学生と1対1で会うのは大変なので」と説明していたという。
「個別にエントリーシートの添削などをしてほしい場合は連絡して」とその場でLINEのIDを渡され、それ以降はLINEでやり取りするようになり、冒頭の展開に。先日久しぶりにアプリを開くと、男性は今も登録していたそうだ。
Aさんは別のアプリで知り合った大手化粧品メーカーの30代男性社員から、内定をとった後、「お祝いに」としつこくホテルに誘われ性的な関係を求められたこともある。
「親身に就活の相談に乗ってくれていたし、既婚者でお父さんのように思っていたので本当にショックでした。社会人と出会う場としてアプリはとても便利ですが、個人の倫理観に委ねられているため、リスクも大きいと感じます」(Aさん)
会う日までフルネームも分からなかった
出会いはOB訪問アプリ、その後のやりとりはLINE、というパターンが多い(写真はイメージです)。
GettyImages/Astrakan Image
国立大学4年生のBさん(男性・22)は知人の女子大学生から、OB訪問のマッチングアプリを通じて出会った会社員の男性に性的な暴行を受けたと相談された。
男性は女子大学生の志望企業の人事部に所属し、人事権を持っていると話していたという。
2人が初めて会ったのは夜だった。レストランでお酒を飲みながら食事をし、2軒目のバーで女子大学生の記憶は途切れた。その後タクシーに乗せられたことはかすかに覚えているが、はっきりと意識を取り戻した時には男性の家におり、性行為の最中だったという。女子大学生は抵抗したが男性の力にはかなわなかったと話しているそうだ。
OB訪問が大学の名簿を通じてできる(写真はイメージです)。
撮影:今村拓馬
女子大学生は自身の詳しい経歴と顔写真をアプリのプロフィール欄に掲載していた。この男性以外にも数多くの男性社会人から「会いたい」というメッセージが届いていたそうだ。
相談を受けたことをきっかけにBさんもこのアプリを使ってみたという。アプリは出身大学に関係なく、志望企業の社員に会うことができるのが特徴だった。
「男性社会人が手軽に女子大学生と出会える場になっていると感じました。何より問題なのは、匿名でも利用できることです。僕も偽名で登録できたし、僕の友人は男性と会うまで本人の名前や所属企業が正しいかどうかすら分からない状態でした」(Bさん)
なぜ顔写真が必要なのか
撮影:今村拓馬
被害にあった女子大学生が男性を知ったのは、男性からアプリ上でメッセージが送られてきたからだ。男性の希望でやり取りはすぐにLINEに移行。アプリは匿名でも利用でき、男性のLINEアカウントも本名フルネームではなかったため、会うまでは本人の名前や所属企業が正しいのかも分からなかったという。当日も名刺をチラリと見せられただけで、もらってはいない。
「そもそも学生もOBも顔写真を載せる必要があるのか、疑問です。僕は大学を通じたOB訪問しかしていませんが、そこでは名簿という文字情報から訪問相手を選びます。写真はなくとも、大学・企業双方からの“承認”があることが何よりの信頼・安心感につながりましたし、結果も満足のいくものになりました。
所属企業もアプリ運営会社も社会人の行動を管理できない現状で、こうした被害が起きている。OB訪問のあり方を根本的に考え直す必要があるのではないでしょうか」(Bさん)
ショックで就活やめた学生も
OB訪問が原因で就活をやめたり、志望業界を諦めてしまったりする学生も(写真はイメージです)。
GettyImages/a-cli
地方の国立大学大学院に通うCさん(女性・24)は3つのOB訪問マッチングアプリに登録し、うち2つのアプリを通じて知り合った社会人を訪ねている。
オフィスで開かれる集団の座談会形式のものや、スカイプでの相談。1対1で会う場合は「女性という記載や女性の顔写真がプロフィールにある人」を選んでいたため、これまでトラブルには発展していないという。
しかし、ある企業の座談会に参加した女子大学生たちが「OB訪問アプリって出会い系サイトと同じだよね」「アプリで出会った男性社会人からセクハラされた」と話していたことが忘れられない。
shutterstock/leungchopa
「具体的にどういう被害にあったのか聞いていませんが、1人はOB訪問アプリで出会った男性社会人から受けたセクハラがショックで、その後、就職活動ができなくなったと言っていました。彼女はそのことで自分を責めていて……。
こうしたサービスは便利なのでなくなってほしくはありません。だからこそ、学生が安心して使えるようにもっと改善が必要だと思います」(Cさん)
VISITS OBは大林組男性社員の逮捕を受け、容疑者が利用していたサービスの停止を決定した。
出典:「VISITS OB」ホームページ
具体的には、社会人の登録条件を厳しくして虚偽記載を防ぐ、OB訪問の内容を学生・社会人双方からレポートのようなかたちでサービス運営者や企業に報告させるようにする、被害にあった場合の通報窓口を設けるなどしてほしいという。
大林組の男性社員が強制わいせつで逮捕されたことを受けて、容疑者と女子大学生が出会うきっかけになったOB訪問マッチングアプリ「VISITS OB」は規約を改定すると発表した。
Business Insider Japanでは同様のサービスを運営している複数の会社に、社会人の身元確認やセクハラ被害への対応などを尋ねている。次の記事で詳細を報告する。
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