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概要:ドイツ銀行によると、今や65歳以上の人口が5歳以下の人口を上回っている。過去にはなかったことだ。
Koki Nagahama/Getty Image
世界の人口は高齢化している。そのうえ、多くの国では出生率が低下している。
ドイツ銀行によると、今や65歳以上の人口が5歳未満の人口を上回っている。過去にはなかったことだ。
これは、生産性、インフレーション、世界の成長に多大な影響を及ぼす大きなトレンドの一部とエコノミストは語った。
ファンド・マネージャーは「長期停滞」に注目している。長期停滞はしばしば長期の低インフレーションと低成長を伴い、彼らの投資戦略に影響を与える。
世界の人口が若くなることはない。実際、ますます高齢化している。そして、多大な影響を世界の成長に及ぼすとエコノミストは強く主張している。
今、世界では65歳以上の人口が5歳未満の人口を初めて上回っている。ドイツ銀行が国連とハーバー・アナリティクス(Haver Analytics)のデータ、および自行のグローバル調査をもとに分析した。
このデータは、エコノミストがクライアントに警告している以下のようなトレンドを示している。すなわち、
出生率の低下は高齢化を招き、高齢化は生産性と就業率の低下、そしてインフレーションを招くと考えられている。さらに出生率の低下は間接的に住宅所有などのマクロ経済要因に影響を及ぼしかねない。
ドイツ銀行のチーフ・インターナショナル・エコノミスト、トルステン・スロック(Torsten Sløk)氏による以下のグラフは、世界の5歳未満と65歳以上の人口を示している。
5歳未満の人口が過去20年間ほぼ横ばいである一方、65歳以上の人口は増え続けている。
Deutsche Bank
「株式、為替、債権の投資家にとって重要なことは、グローバル経済がこうした人口動態を相殺できるほどの生産性の成長を生み出せるかどうか」とスロック氏は2月19日(現地時間)、クライアント向け文書に記した。
「そして外国為替にとって問題は、人口動態の成長の鈍化によって、世界のどの地域がほかよりも大きな打撃を受けるか」
さらにスロック氏は「長期停滞」に言及した。こうしたパターンに関連したラリー・サマーズ(Larry Summers)氏が提唱する理論だ。
長期停滞とは、貯蓄傾向が高まり、投資が抑制されて、経済成長が停止してしまう状態のこと。クリントン政権で財務長官、オバマ政権で国家経済会議委員長を務めたサマーズ氏は、長期停滞は「現代のマクロ経済の決定的な課題」かもしれないと主張した。
世界中の出生率は概ね、人口「置換」水準を下回っている。つまり、人口の成長が維持できるレベルを下回っているとヤルデニ・リサーチ(Yardeni Research)の社長、エド・ヤルデニ(Ed Yardeni)氏は語った。そしてこの「ベビーバスト(出生率の激減)」は世界の成長に重くのしかかっている。
高齢化の経済的影響、特に中国での事例を長く研究しているヤルデニ氏は、アメリカの出生率はわずかに人口置換水準を下回っていると述べた。
「アメリカの出生率はちょうど人口置換水準のあたり」とヤルデニ氏は19日、Markets Insiderのインタビューで語った。
「つまり、アメリカは出生率の低下がそれほど進んでおらず、日本、中国、そして他のいくつかの国ほど自滅の道にあるわけではない」
ウォール街も高齢化に関連した、より広範囲な「停滞」の問題に注目している。この2カ月間、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのグローバル・ファンド・マネージャー調査(巨額の資金を運用するファンド・マネージャーがグローバル・マーケットと経済をどのように見ているかを探る調査)もこのテーマで持ち切りだった。
もちろん、高齢化と成長の低下の間に、明確にネガティブな関連はないと主張する人もいる。
マサチューセッツ工科大学の経済学者ダロン・アセモグル(Daron Acemoglu)氏とボストン大学の准教授パスカル・レストレポ(Pascual Restrepo)氏による2017年の論文は、サマーズ氏らが広めたテーマとコンセプトとは正反対に「高齢化と1人あたりの国内総生産(GDP)の成長の低迷の間には、ネガティブな関連はない」ことを明らかにした。
エコノミストの直観に反して、急速な高齢化を経験している国々はここ数十年でより成長していることが分かった。恐らく、労働者に代わるテクノロジーとオートメーションをより迅速に導入していることを反映している。
論文は以下のように結ばれている。
「今後、人口動態の変化とGDPの成長の関連性、およびこの関連性が示されている他のチャンネルを体系的に調査する必要があることは明らかだ」
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[原文:There are more people older than 65 than younger than 5 for the first time — here's how that's changing the world]
(翻訳:Ito Yasuko、編集:増田隆幸)
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