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概要:欧州中央銀行(ECB)はユーロ圏域内企業への与信の流れを維持するため、貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)を再開する見通しだ。既に顕在化している景気の減速が突然の信用逼迫で一段と悪化するのを防ぐのが狙い。 導入が見込まれる新型TLTROの仕組みや問題点などをまとめた。 ◎前回のTLTRO ECBは前回、2016年と17年に期間4年のTLTRO(targeted longer-term refinanci
[フランクフルト 4日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)はユーロ圏域内企業への与信の流れを維持するため、貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)を再開する見通しだ。既に顕在化している景気の減速が突然の信用逼迫で一段と悪化するのを防ぐのが狙い。
導入が見込まれる新型TLTROの仕組みや問題点などをまとめた。
◎前回のTLTRO
ECBは前回、2016年と17年に期間4年のTLTRO(targeted longer-term refinancing operations)を実施し、金融機関に総額7390億ユーロの流動性を供給した。鍵は「貸し出し条件付き(targeted)」となっている点で、銀行は企業など実体経済に貸し出しを行う場合にはマイナス0.4%の中銀預金金利と同水準でECBから資金を借り入れ、金利を払う代わりにキャッシュを手に入れることができた。
◎再開論浮上の背景
前回のTLTROの返済までの期間が1年を切るとバーゼル規制の安定調達比率(NSFR)を計算する際の長期資金としての組み入れ比率が徐々に低下するため、6月から銀行がECBへの返済に積極的な姿勢に転じるとみられる。そうなればECBのバランスシートが縮小する一方、市中銀行はよりコストの高い調達に頼らざるを得なくなり、融資能力が制約を受ける。
既に統計は1月企業向け融資の大幅な鈍化を示した。銀行の業績不振も貸し渋りに拍車を掛ける恐れがある。
TLTROの大部分が返済期限を迎えると、実体経済に大きな影響が及ぶとECBは危惧している。
◎TLTROの効果
銀行融資は昨年、世界金融危機後で最も高い伸びを記録した。またECBの調査によると、資金調達は銀行にとって重大な懸念材料とはなっておらず、TLTROはユーロ圏の景気に対して効果を発揮したようだ。調査ではほとんどの銀行が、調達資金を企業に貸し出しており、TLTROによって調達コストを圧縮して与信条件を緩和することできたと回答した。
◎新型TLTROの狙い
新型については既に検討が行われており、早ければ7日の次回ECB理事会で導入の方針が打ち出される見通し。ただ、具体的な内容の詰めは、旧TLTROの第1回実施分返済期限まで1年を切る直前の6月までずれ込む可能性がある。
期間や貸し出し条件は、ECBの今後数年間の金融政策姿勢を縛るため重要だ。
◎新型の旧型との違い
ECBの首席エコノミストであるプラート専務理事は、旧型は「条件が非常に緩い」と述べ、新型では条件が厳しくなるとの見通しを示した。ただ、ユーロ圏の景気減速が深まれば、ECBは引き続き寛大な条件を維持するだろう。
期間は旧型の4年に対して、新型は2年から3年に短縮されそうだ。また、新型は変動金利となり、当初の金利はECBの主要政策金利であるリファイナンス金利(現在0%)に設定される可能性がある。
「条件付き」でなくなれば銀行にとって使い勝手が良くなる。その場合は調達資金の一部が、国債などに投資して利ざやを稼ぐ「キャリートレード」に使われ、実体経済に回らない恐れが出てくる。こうした投資は過去にも行われ、既に当局者の間から不安の声が上がっている。
旧型から新型への乗り換えが起こるだけではないかという問題もあるので、銀行の借り入れ可能額に制限が設けられてもおかしくない。
◎新型導入巡る論点
旧型TLTROによる借り入れ残高7240億ドルの56%をイタリアとスペインの銀行が保有しており、事実上ユーロ圏全体ではなく特定の国を対象にしているとの指摘が一部の当局者から出ている。
既に現行のTLTRO自体が以前の流動性供給制度の延長であり、銀行はECBからの調達に依存し過ぎで、TLTROの再開はECBへの依存体質を改める上で役立たないとの意見も聞かれる。
こうした細かい部分を巡って議論が長引いたとしても、政策担当者の間で新型の導入自体に反対する気配は見受けられない。
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