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概要:先月私が書いたコラム「米金融政策、大統領の貿易戦争に歯止めを」について、多数の批判が寄せられた。質疑応答の形で背景を説明し、誤解があれば正したい。
先月私が書いたコラム「米金融政策、大統領の貿易戦争に歯止めを」について、多数の批判が寄せられた。質疑応答の形で背景を説明し、誤解があれば正したい。
Q.なぜあのコラムを書いたのか。
A.2つ重要な展開があった。まずはトランプ大統領が中国に仕掛けた貿易戦争で、不確実性が高まったことだ。コラム掲載の数日前に、大統領は米企業に中国からの撤退を「命令」した。2つ目は、大統領が継続的に米金融政策当局を攻撃し、一段の金融緩和を要求していることだ。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長を、中国の習近平国家主席と同等の「敵」とまでみなしている。大統領は景気が悪化した場合の責任をホワイトハウスや中国との貿易戦争ではなく、米当局に転嫁しようとしているのだ。
Q.コラムで最も言いたかったことは。
A.2点ある。まず米金融政策当局は意図せずとも、大統領の貿易戦争を可能にしないよう注意する必要がある、ということだ。金融緩和は貿易および関税政策において、大統領に一段と攻撃的になることを許してしまいかねない。その結果、経済への下押しリスクは拡大し、金融政策では対応が困難になる可能性がある。問題はそこにとどまらない。米金融当局が経済を救済する能力を失うだけでなく、景気悪化の責任を取らされるかもしれないからだ。大統領が当局非難を続ける限り、そのリスクは高まる。もっと大きなリスクは貿易戦争が作り出している不確実性だと、当局はもっと明確にしてほしいと私は考えた。
2つ目は、「貿易政策について選択を誤り続ける政府を救済する考えはないと、当局者が明確に述べることもあり得るだろう。つまりトランプ氏がとった行動の結果は、同氏の責任だと極めて明確にすることだ」と書くことで、金融当局がさらに踏み込む可能性を提起した。そして「選挙そのものが米金融政策当局の管轄に入るとの主張さえ聞かれる。詰まるところ、トランプ氏の再選は米国と世界の経済、さらには米金融当局の独立性および雇用・インフレの責務達成能力への脅威となり得ることは否めない。金融政策の目標が可能な限り最良で長期の経済的成果であるならば、当局者は自らの決定が2020年の政治的結果にどう影響するかを考えるべきだ」と結んだのは、議論を起こすという意図があった。1)貿易戦争は米経済にマイナス。2)米金融当局が目指すのは雇用とインフレに関して最良の経済的成果を長期にわたって実現すること。この2つの前提において、米金融当局はどのように行動し、何を考慮するべきかという議論だ。
私が示したかったのは、米金融当局が抵抗すれば、より良好な経済的成果を実現できるかもしれないということだ。経済にもたらす結果に構わず抵抗するべきだと提案したのではないし、行動を起こさずリセッション(景気後退)を容認すべきだとの提言でもない。米金融当局が選挙においてどちらの側につくのか立場を明確にするべきだ、とも私は言っていない。
Q.2020年の大統領選挙に与える影響を視野に、金融政策を運営するべきだと考えるか。
A.それは違う。そんなことをすれば米金融政策当局の権限から大きく逸脱し、不適切なのは明らかだ。党派心があると見られるようでは、当局の独立性が損なわれかねない。そうした行為は正しくないだけでなく、当局の利益に反する。
Q.「当局者らは自らの決定が2020年の政治的結果にどう影響するかを考えるべきだ」と書かれたことは、どう説明できるのか。
A.あらゆる事象が経済に影響することを中央銀行は認識しているはずだ。米金融政策当局が行動したこと、行動しなかったことが選挙結果に影響を及ぼし得る。それが今度は経済や金融政策に影響を及ぼす。しかし米当局は決して、政治的な配慮で動いたり、選挙への影響を目的に政策を設定したりしてはならない。
Q.トランプ大統領が中国に仕掛けた貿易戦争を批判するのは、米国に対する忠誠心が欠けていると、あなたを批判する声もあるが、どう思うか。
A.貿易問題において中国に譲歩を求めることには賛成だ。市場アクセスや知的財産の保護、サイバーセキュリティーなど、米国の不満は当然だと私はこれまで繰り返し述べてきた。大統領がこうした問題で中国に強硬な姿勢を取ることは支持する。
とはいえ、貿易戦争に勝つのは容易ではない。貿易不均衡の原因やどちらが関税を負担するのかについて、大統領の理解は間違っていると思う。大統領自身が下押しリスクを作り出している現状において、米金融政策当局が経済状況の原因だと攻撃されるべきではないと考える。
Q.米金融政策当局は政治化していると思うか。
A.私の考えでは、トランプ大統領が攻撃を続けることで米金融政策当局は政治化した。トランプ氏の攻撃が金融政策の決定に影響を与えるのかどうか、人々は考えるようになった。例えば9月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で金融政策を緩和した場合、その動機が思索されるだろう。景気見通しが心配なのだろうか、それとも大統領が攻撃したからだろうか、と。ただし米当局は、選挙結果に影響を及ぼそうと考えるような政治化はしていない。
Q.先日のコラムはすべてご自身の意見か、それとも米当局者の意見も含まれるのか。
A.すべて私の意見だ。米金融政策当局者はこれに一切関わっていない。「ディープステート(国家内国家)」は存在しないし、私が関与する陰謀もない。大統領が米金融政策とパウエル議長を批判することへの不満を当局が発信するために私を利用したのでもない。
トランプ大統領が、自分が仕掛けた貿易戦争の経済的悪影響を米金融政策当局のせいにしていること、そしてこれに対して当局者らが強く抵抗していないこと。私がコラムを書いたのはこうしたことへの懸念を表明するためだ。
(ダドリー氏は2018年までニューヨーク連銀総裁を務め、現在はプリンストン大学の教授。 このコラムの内容は同氏自身の見解で、必ずしもブルームバーグ編集部やブルームバーグLP、オーナーの意見を反映したものではない)
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