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概要:新型コロナで激変した雇用環境は、2021年はどうなるのか?リクルートキャリア、パーソルキャリア、ビズリーチの社長3氏が予想した。
新型コロナウイルスは雇用に大きな影響を与え続けている。
撮影:今村拓馬
日本の雇用は今、まさに激動期を迎えている。
新型コロナの感染拡大は、失業者を増やし採用意欲を冷やすなど雇用面に大きな影響を与えている。一方、リモートワークがかつてないレベルで進み、個人と会社の関係も変化しつつある。
コロナ直撃の2020年を経て、2021年の雇用、働き方はどう変わるのか。
人材のプロである、リクルートキャリア、パーソルキャリア、ビズリーチ3社のトップに聞いた。
「求人の冷え込みリーマンとは前提環境が違う」
「中途採用する企業は増えており、どこに行っても通用する力をつけることが求められている」
撮影:今村拓馬
【ビズリーチ社長・多田洋祐氏】
新型コロナが直撃した2020年の雇用は、有効求人倍率が(前年同月比で)下がり続けるなど、厳しい指標はあるものの、2008年のリーマン・ショックとは、全く違うと見ています。
下落幅はそれなりにありますが、相当の売り手市場の状態から、下がった。リーマン後に求人倍率は0.5程度までドーンと落ちたのに対し、現状は、それでも1倍程度を保っています。
(政府の最初の緊急事態宣言後の)2020年4、5月は様子見という企業も多かったが、その後はわりと早くから回復基調。求人が減りきらなかった、という印象です。
とはいえ、経済環境も会社も不安定になるし、リストラも起きているのは事実。
こうした中で、個人が主体的に自分のキャリアを作らなくてはという風潮が、相当、高まっています。
ビズリーチのアンケートでも「会社に依存しないキャリアを作らなければならない」と考える人が9割に上りました。
そもそも前提として、ここ数年で大企業でも(勤務年数に比例して給与が上がる)年功給の撤廃が進み、終身雇用制度自体がもう難しい時代であることを、経営者が表明しています。
つまり、コロナ禍が仮になかったとしても、個人は「このまま今の会社にいても、永遠に雇用は守ってもらえるわけではない」と強く認識している。
Advertisement雇用の流動化が加速する
撮影:今村拓馬
2021年は会社と個人の関係で、主従が逆転する「元年」になっていくと思います。
まず、コロナ禍でオンライン化が進み、リモートワークも増えた結果、個人にとって「組織に所属する意味」は、よりシャープに追求されるようになっています。
企業にしても情報のスピード化が進み、企業寿命のサイクルも早くなっている。新しいことをやらなくてはならないと、この10年程で中途採用を増やす流れがはっきりと出てきています。
こうして雇用慣行が変わる中で、会社が働き手を選ぶのではなく、会社が働き手に「選ばれなくてはいけない」時代になっている。
個人が今やるべきことは、自分自身がどこにでも適用する力をつけていくことです。そしてやがてまた求人が出た時に、行きたい会社や業界にトライすることは、いくらでもできると思います。
「コロナからの回復は2021年度後半」
「コロナ影響を受けた業界でも、必ず求人は戻る」と峯尾氏は指摘する。
撮影:今村拓馬
【パーソルキャリア社長・峯尾太郎氏】
2020年度を振り返ると、緊急事態宣言後の4月、どこも通期業績予想が出せない状況で始まりました。
10月に半期の決算を閉めたとき、とにかく悪いと思っていたけれど、予想内の悪さで、春先は警戒しすぎだったことが分かったと思います。マーケットは慎重ではあるものの、ポジティブに求人を考える企業も9月以降に出てきました。
2021年もこれまでの回復ペースが続くのではと見ており、来年度の後半にはコロナ前の経済環境に戻るのでは感じています。ただし、日本ではそもそもの人材不足に加えて、テクノロジー領域に人が少なすぎるなどのミスマッチも抱えています。
(パーソルキャリアについていうと)コロナ前の2019年時点で長期的な予想を立てているのですが、2025年の業績については、コロナ前の予想とほとんど変わらないのではと捉えています。
DXを契機に高まる変化と採用のニーズ
撮影:今村拓馬
コロナによる変化で、働く側と組織の関係がほぐれている気がします。粘着性が高かったのが、「さわやか」になったと思います。
以前は会社に来て仕事をすることが働くことでしたが、リモートワークが浸透する中で、家で働いて、家族といても仕事ができようになった。そして「このままでいいんだっけ」と、今までの働き方を見つめざるを得ない時間ができた。実際に、パーソルのサイト(転職などがテーマ)への訪問数も増えました。
副業など働き方の選択肢が広がり、キャリアの自立度は高まったのではないでしょうか。
コロナ禍で一気に注目されたのがDX(デジタルトランスフォーメーション)です。今はバズワードのようにDXが叫ばれていますよね。企業が変化に意欲的になることは、それは人材のニーズになります。
最近ではDXだけでなく、社員のカルチャーそのものの変革スピードを上げたいなどのタレントマネジメントや、人材育成のシステム作りなどの企業側のニーズも高まっています。そういった分野の求人は、今後も活発に動くと思います。
打撃の業界でも「必ず求人は戻る」
一方で、コロナの影響が大きかった業界もあります。たとえば、旅行業界や旅行運輸、外食やアパレル、観光業界などです。
ただこうした業界であっても、間違いなく求人は戻ります。逆に、求人を止めていた期間があるので、リカバリーしようとしたときには、大きな採用人数になる。
現状では、宿泊業や観光業は離職者が多いと思います。同業での転職が厳しい状況なので、今は積極採用をしている、他の業界に行ってみるのも一つの手だと思います。そこでも何か得るものや気付きがあるかもしれません。
「恒常的な人材不足はなんら変わってない」
「企業と個人の結びつきのバリエーションが増え、転職だけでない選択肢も増えている」。
提供:リクルートキャリア
【リクルートキャリア社長・佐藤学氏】
景気の後退期など波で来る不景気とは異なって、コロナは先が全く見えないのが一番大きなポイントです。
今後の予測はいろいろ言えますが、よく分からないというのが率直な見立てです。特にグローバルな影響が非常に大きく、どの業界がどのように影響を受けるかは読めない。
ただし、壊滅的に求人がないということありません。足元を見つめれば比較的堅調です。
全体としてはリーマン・ショック以降から続く、恒常的な人材不足はなんら変わってない。コロナの様子を見ていた企業も、夏以降に求人を再開したところもあり、(新卒採用の)2021卒、2022卒に関しても、継続的に採用する企業もある。
今回のコロナがリーマン・ショックと違うのは、経済そのものの土台が壊れたのではなく、コロナによって経済活動がマヒしているということ。事実、コロナを機に一気に成長しようと画策する企業もあります。
業種ではなく、ポータブルスキルに注目
コロナに対応したビジネスを構築するため、新たな人材のニーズが見込まれるという。
撮影:今村拓馬
とくにDXの領域など、過剰なほどニーズが高騰しています。ただ、求職者側が「DXがヒートアップしているからDX領域に行くべきだ」というのは拙速。
コロナの時代にキャリアをどう考えたらいいのか。
本質的には、自分のキャリアを見つめ、ケイパビリティ(強み)やポータブルスキル(会社の枠組みを超えて通用する力)のレベルにまで抽象度を上げることで「実はこういう職種にも転用できる」というのが見えてきます。
「この業界・職種がなくなったからお先真っ暗」と考えるのではなく、この業界、この職種でやってきたことは、どういう変容の可能性があるかと考えること。
苦境の航空業界ですが、キャビンアテンダント職を含めて社員の出向先を探したときには、いろんな業界や自治体から声がかかりました。
それは他の業界からも、キャビンアテンダントなど航空業界の人材にはホスピタリティや、顧客のハートをつかむ力があることを期待されているからです。
転職だけではないバリエーション広がる
コロナを機に、企業と個人の結びつきのバリエーションが増えました。リモートワークもそうですが、オフィスの縮小や移転、副業や兼業など、個人の意識が変わりました。
個人がキャリアを考える時には、今までのような単純に転職するだけではないキャリアについても、選択肢が増えています。
企業側も、場所や従来の働き方に囚われない人材採用を進めています。例えば、エンジニアは首都圏で採用が難しい。それを勤務地フリー・月1回出社で構わないという条件で、首都圏以外に住むエンジニアを雇用したり、業務委託で募集したり。
コロナの影響はいまだに変数が多く、断定的にはわからないですが、ただキャリアや働き方のバリエーションが広がることだけは間違いないと思います。
2021年はいろいろビジネス界が、形を変えながらアジャストしていく年。
ビジネスや働き方、サービスやデリバリーの仕方など、ビジネスモデルをイチから作り直す必要に迫られている。こういうときには雇用ニーズがすごく出てくると感じています。
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多田 洋祐:ビズリーチ社長。1982年生まれ。2006年、中央大学法学部卒業後、エグゼクティブ層に特化したヘッドハンティングファームを創業。2012年、株式会社ビズリーチに参画し、その後ビズリーチ事業部長を務める。2015年より取締役として、人事本部長、スタンバイ事業本部長、HR Techカンパニー長等を歴任。2020年2月、現職に就任。
峯尾太郎: パーソルキャリア社長。1970年生まれ。中央大学理工学部卒業後、1994年インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社。2002年に同社執行役員、2010年4月常務執行役員に就任。2016年4月より代表取締役社長。公益社団法人 全国求人情報協会 理事も務める。
佐藤学:リクルートキャリア社長。1992年、株式会社リクルート人材センター(現株式会社リクルートキャリア)に入社。リクルーティングアドバイザー、キャリアアドバイザー、営業部門の責任者として多数の企業の採用を支援。事業企画、商品開発、採用などにも従事。2005年に執行役員に就任。新卒採用領域、中途採用メディア領域、人材紹介領域各事業領域に経営の立場から携わる。2020年4月より現職。
(文・横山耕太郎、滝川麻衣子、編集協力・戸田彩香、稲葉結衣)
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