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概要:[フランクフルト 10日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は10日、資産買い入れ策を第3・四半期に終了する方針を示した。ロシアのウクライナ侵攻による影響が懸念されているが、インフレ高進により異例
[フランクフルト 10日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は10日、資産買い入れ策を第3・四半期に終了する方針を示した。ロシアのウクライナ侵攻による影響が懸念されているが、インフレ高進により異例の緩和策終了を加速させるという意外な発表となった。
理事会後のラガルド総裁の記者会見での発言は以下の通り。
<インフレリスク>
インフレの原動力であるエネルギー、供給上のボトルネック、食品価格の上昇、一般的な物価の広範囲にわたる上昇を考慮すると、エネルギーが主因であり、これらの項目全体に影響を与えているというのがわれわれの見解だ。インフレに対するリスクは特に短期的で、おそらく中期的にも上向きなのは明らかだが、インフレは下向きにもなり得るためそのような見方が支配的というわけではない。
<ウクライナへの支援>
われわれは他の欧州当局、特に欧州委員会とともに、ウクライナの国民および当局を支援するためにどのような手段を展開できるかを検討している。
スワップ取引およびレポ取引を拡大するには条件がある。その条件が満たされない場合は別の支援方法を模索する必要がある。
そのため、われわれは懸命に取り組んでいる。数日内にウクライナ国民と当局の双方に対して欧州委員会、場合によってはユーロシステム内の各国当局とともに支援拡大に向けたツールと手段を提供できると期待している。
<割れた意見>
不確実性がある以上、われわれの立場も不明確であり、何もすべきではないと考えるメンバーも一部いた。また、不確実性があるにもかかわらず、前に進み、いかなる条件も付けるべきではないと考えるメンバーもいた。
正反対の意見がある。
<制裁の影響>
国際送金・決済システムのSWIFT(国際銀行間通信協会)からのロシアの一部銀行の排除を含むロシアに対する金融制裁は、現時点で金融市場に深刻な緊張をもたらしておらず、ユーロ圏の銀行システムにおける流動性欠如も引き起こしていない。
銀行のバランスシートは強固な資本ポジションと不良債権の減少によって全体的に健全性を維持している。銀行は現在、パンデミック(世界的大流行)前と同様、利益を上げている。銀行の企業向け貸出金利は幾分上昇したが、家計向けの住宅ローン金利は過去最低水準で安定している。
<正常化を加速させない>
質問は正常化の加速に関するものだが、それは本日なされた決定ではない。決定されたのは(正常化を)段階的に進め、われわれが直面している不確実性が増していることを認識し、あらゆる状況下で機敏に対応できるよう選択の余地を広げることだ。
決して加速しているわけではない。これは12月および2月の理事会、記者会見と同様だ。
<提案を支持するとの決断>
あらゆる方向からさまざまな意見が議論されたが、こうした適切な協議を経て、役員会がまとめた提案の下で結束する旨が理事会の全メンバーによって決断された。これはバランスの取れたアプローチであり、ご存知の通り、現在の状況に直面しても物価を安定させるというわれわれの責務を実現するものだ。
<激しい議論>
われわれは現在の経済状況、見通し、不確実性について非常に激しい議論を交わした。
<従来の資産購入プログラム(APP)のスケジュールに影響を与えるデータ>
資産買い入れ終了後も中期的なインフレ見通しが低下しないとのわれわれの予想が今後のデータによって裏付けられるなら、理事会は第3・四半期にAPPの下での買い入れを終了することになるだろう。中期的なインフレ見通しが変化し、金融情勢が2%の物価目標に向けた一段の進展と矛盾するようになれば、われわれは規模や期間といった点で資産買い入れのスケジュールを修正する用意がある。
<経済的なリスク>
ロシアのウクライナ侵攻を受け、経済見通しに対するリスクは大幅に増大し、下方に傾いている。パンデミックに関するリスクは低下しているが、ウクライナでの戦争は経済的なセンチメントにより強い影響を与え、供給サイドの制約を再び悪化させる可能性がある。
<フォワードガイダンス>
理事会はインフレ率が予測期間の終了時点よりもかなり前に、かつ残りの期間も持続的に2%に達すると確認するまで、ECBの主要金利が現行水準にとどまると予想しており、基調的なインフレ率の実現的な進展は中期的に2%で安定するとの見方と一致する形で十分進んでいると判断している。
<金利の道筋>
ECBの主要金利の道筋は、引き続き理事会のフォワードガイダンスと中期的にインフレ率を2%で安定させるという戦略的コミットメントによって決定される。
<ネガティブな代替シナリオ>
戦争の経済的・金融的影響に関する代替シナリオでは、エネルギーとコモディティー価格の急騰、貿易とセンチメントに対するより深刻な足かせにより、経済活動が大きく損なわれる可能性がある。
<インフレ>
理事会はインフレ率が中期的に目標の2%で安定する可能性が高まっているとみている。
<堅調な基調的諸条件>
ロシアとウクライナの戦争による影響は、十分な政策支援の後押しを得たユーロ圏経済の堅調な基調的諸条件の中で評価されなければならない。
<新型コロナウイルスの影響緩和>
オミクロン変異株の影響が和らいだことによって経済の回復が強まっている。供給上のボトルネックも緩和の兆しが見え、労働市場も一段と改善している。
<様々なシナリオ>
不確実性の高い環境を認識し、本日の理事会では様々なシナリオを検討した。
<戦争による重大な影響>
ロシアとウクライナの戦争は、エネルギーおよびコモディティー価格の上昇、国際通商の混乱、信頼感の低下を通じて、経済活動およびインフレに重大な影響を与えるだろう。これらの影響の程度は、紛争の進展の仕方、現在の制裁措置の影響、追加措置の可能性に左右されるだろう。
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