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概要:主要中央銀行の間で、このまま金融政策のブレーキを踏み続ければ既に弱っている世界経済が失速するのではないかとの懸念が広がり始めている。彼らを不安に駆り立てているのは、コモディティー価格急落や新興国市場の混乱、それぞれの国内・域内に抱える固有の火種だ。
[フランクフルト 28日 ロイター] - 主要中央銀行の間で、このまま金融政策のブレーキを踏み続ければ既に弱っている世界経済が失速するのではないかとの懸念が広がり始めている。彼らを不安に駆り立てているのは、コモディティー価格急落や新興国市場の混乱、それぞれの国内・域内に抱える固有の火種だ。
主要中央銀行の間で、このまま金融政策のブレーキを踏み続ければ既に弱っている世界経済が失速するのではないかとの懸念が広がり始めている。
ユーロ圏や米国、カナダ、オーストラリアの中銀はいずれも、物価がなお高い伸びで推移しているにもかかわらず、利上げサイクルはもう半分以上の道のりに達した可能性を示唆しつつある。
こうした姿勢を受け、市場では主要中銀の政策運営がいわゆる「転換点(ピボット)」に差し掛かろうとしているのではないかとの観測が強まってきた。つまり金融政策は今後、利上げ幅が小さくなり、実体経済や市場に大惨事をもたらすことなく、物価を押し下げる方向に進むということだ。
それを後押しする主な要因は、景気見通しの悪化にほかならない。ユーロ圏は目下、景気後退(リセッション)に突入したのは確実で、他の地域も程度の差こそあれ経済が軒並み苦境を味わっている。
これに伴って、ロシアのウクライナ侵攻以降ずっとインフレを主導してきた原材料価格の高騰も和らいできた。最も典型的な例は、欧州で深刻な不足が心配された天然ガスの供給が過剰に転じ、価格が90%も下がっている事態だ。
そしてとどめとなったのは、英国で長期金利が跳ね上がって年金基金が窮地に追い込まれ、金融の不安定化につながるなど足元で生じた一連の事象だった。
金融ニュースレターのマクロ・コンパスを執筆するアルフォンソ・ペッカティエロ氏は「過去2週間で、G10中銀の幾つかが政策転換の態勢を整えた印象を受ける。なぜ突然心変わりしたかと言えば、これらの国・地域には内在する脆弱性という共通項があるからだ」と指摘する。
ペッカティエロ氏が挙げたのはカナダの住宅ローン債務が膨れ上がっている点や、南欧が抱える多額の公的債務。特に後者の場合、ユーロ圏共通の安全網が存在しないため、欧州北部諸国からの救済は全く当てにできない。
オーストラリアも不動産価格下落や年金基金の損失、自国産コモディティーに対する需要鈍化に苦闘中。さらに最近まで過熱気味になるほど強かった米国経済でさえ、足場が弱体化する兆しが見え、住宅市場はクールダウンしている。
<際どいかじ取り>
とはいえインフレはしつこく続いていることで、中銀の政策運営は信じられないほど難しくなってきた。28日公表のデータを見るとドイツやフランス、イタリアは10月の物価上昇が予想より急速に進んだことが分かる。
現在の物価上昇率に対して中銀ができることは何もないのだが、一方的に物価が上がっているという景色自体が存在するだけで、政策転換を正当化するのはより困難となる。そのため各中銀は、確かに物価押し下げに真剣だと市場を納得させつつ、経済の息の根を止めないようにするという極めて際どいかじ取りを求められている。
こうした中でDWSの米国エコノミスト、クリスチャン・シェールマン氏は「FRBは過度にハト派と受け止められないようにしながら利上げ幅を縮小する道を開かなければならない」と提言した。
欧州中央銀行(ECB)は27日、実際にこの難題に挑戦。「さらなる」利上げを計画していると表明した一方、実体経済から燃料を引き揚げる作業は既に「相当前進した」との認識を示した。
この言い回しの変化は最小限だったが、投資家が想定する追加利上げ幅を縮小させる十分な効果があったもようだ。ユーロ圏のトレーダーが27日時点で織り込んだECBの政策金利のピークは2.6%で、1週間前の3%から切り下がったからだ。ただ28日に物価データが公表されると、予想政策金利ピークは再び上昇した。
それでもINGのエコノミスト、カルステン・ブゼスキ氏は、ECBが27日に大幅利上げを実施した後で、次回12月理事会にハト派方向への転換に踏み切ってもおかしくないとの見方を示した。
26日にはカナダ中銀が、それ以前にはオーストラリア準備銀行がそれぞれ行った利上げは予想より小幅にとどまり、市場を驚かせた。イングランド銀行も11月3日の会合での利上げ幅が大方の想定より小さくなるリスクがあるとの声も聞かれる。
より重要なのは、基軸通貨ドルを発行し、世界の金融環境を左右するFRBが、あとどれだけ借り入れコストを安全に引き上げられるか、また将来の利上げペースをいつどのように緩めるか議論し始めたことだ。
11月1─2日の公開市場委員会(FOMC)で政策金利が75ベーシスポイント(bp)引き上げられるのは確実視されるものの、投資家はその後のFRBの政策運営はより慎重になると見てポジションを構築しつつある。
アクサIMインベストメント・インスティテュートのクリス・イッゴ氏は「FRBが近く(利上げの)休止を余儀なくされるのは避けられない」と主張している。
(Francesco Canepa記者)
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