ブラックストーン、英バイオ企業買収をプライベートクレジットで支援

英投資ファンドのペルミラによるエルゴメド買収に融資を提供

• 企業のバイアウト資金、プライベートクレジット市場での調達拡大

米投資会社ブラックストーンのクレジット部門は、英投資ファンドのペルミラによる英バイオ医薬品サービス会社エルゴメド買収を支援するため融資する。プライベートクレジットが、企業のバイアウト資金の調達先として銀行業界からシェアを奪いつつある傾向をあらためて示す案件となった。

４日付の発表資料によると、プライベートエクイティー（ＰＥ、未公開株）投資会社のペルミラは、エルゴメドを１株当たり1350ペンスで買収することで合意した。

ブラックストーンは、優先ローンと劣後ローン両方の特性を持つユニトランシェ・ローン２億ポンド （約370億円) と、8500万ポンドのディレイドドロー・タームローン（借り手が契約期間に融資総額からあらかじめ決められた額を引き出せるタームローン）でこの買収の支援をしていることが、当局への提出書類で明らかとなった。

ブラックストーンとペルミラはコメントを控えている。ブルームバーグ・ニュースはエルゴメドにコメントを求めたものの、回答は得られていない。エルゴメドの株価は、買収のニュースが伝わった後に27％上昇した。

１兆5000億ドル（約220兆1100億円）規模のプライベートクレジット市場は、上場企業の非公開化を伴う買収を狙うＰＥ投資会社にとって、ますます有用な資金調達手段となりつつあり、ほぼ常に銀行が調達先だった５年前とは様変わりしている。

銀行は買収完了後に債権を投資家に売却できなくなることを懸念し、足元では融資案件を選別する姿勢を強めている。市場のボラティリティー上昇や利上げ継続の中で、案件の処理に６カ月以上かかることも、この状況に拍車を掛けている。