グーグルでは「市場シェア」は禁句、反トラスト訴訟で米政府が主張

禁句の存在、グーグルが反トラストを懸念している証拠－政府弁護団

• 問題にならないよう記録の削除を促す文化がグーグルにあると主張

米アルファベット傘下グーグルの検索事業を巡る反トラスト法（独占禁止法）訴訟の審理で、グーグルが自社に関する記述について特定の言葉を禁止していたことが明らかになった。原告の米司法省が過去のグーグル社内のやりとりを証拠として提示した。

グーグル、圧倒的シェアはユーザーに選ばれた結果－独禁法訴訟で反論

米政府の弁護団は、グーグル幹部らは事業慣例に関して当局が目を光らせていることを何年も認識しており、後で問題になりかねないものについては記録を残さないよう社員に奨励していたと主張した。

WATCH: The US Justice Department says Google has a monopoly over the search market.

Source: Bloomberg

グーグルは社内のやりとりに注意を払うよう促す規定に基づき、慎重な扱いが必要な内容についてはチャットの履歴を24時間後に消える設定に切り替えるよう、研修で社員に指示していたという。

米司法省のケネス・ディンツァー弁護士はこれを裏付けるため、2021年10月のチャット履歴を法廷で提示。それによると、アルファベットのスンダー・ピチャイ最高経営責任者（ＣＥＯ）が「経営陣に配布するリンクが明日までに必要だ」と述べた上で、「このグループチャット設定を履歴オフに変えてもらえるか」と依頼している。

ディンツァー弁護士はこうした証拠から、グーグルは「反トラスト法違反であることを認識していたため、文書を隠蔽（いんぺい）・破棄していた」と冒頭陳述で主張した。

グーグルはコメントを控えた。

弁護側の主張によると、グーグル幹部らは2003年から、市場を独占しているとの印象を与えないよう、控えるべき文言について明確な指示を出していた。

政府の弁護団が見つけた2003年７月の社内文書では、グーグルのチーフエコノミストであるハル・バリアン氏が反トラストの観点から「公の場でも非公開の場でも、発言には注意しなければならない」と述べている。バリアン氏の09年の文書では「市場シェア」は禁句だとされていた。