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概要:主要短期金利の急上昇は、難解だが重要な翌日物資金調達市場を驚かせ、4年余り前にこの市場を揺るがした混乱を想起させている。
2023年12月6日 3:51 JST
LIBOR代替のSOFR、導入以降で最高の水準
今回の急騰、ディーラーのバランスシートの余裕のなさが原因か
主要短期金利の急上昇は、難解だが重要な翌日物資金調達市場を驚かせ、4年余り前にこの市場を揺るがした混乱を想起させている。
緊張が表面化し始めたのは先週後半だ。11月の米国債急上昇をあおった債券購入熱は、国債を担保に短期の貸し借りを行う現先市場での資金需要を急増させた。
このため11月最終取引日の短期金利は大幅に上昇し、担保の債券銘柄を特別指定しないGCの翌日物レポ金利は5.50%を超えた。さらに異例なことに、この高水準は12月に入っても続いた。
Getting Volatile
Overnight repo touched 5.54% on Nov. 30 and has been slow to normalize
Source: Curvature Securities
このエピソードは、2019年9月に起きた市場の大混乱を思い起こさせる。当時は米金融当局が国債購入をやめ、その穴埋めから銀行の準備預金が不足していた中で、政府借り入れの増加がそれを悪化させた。ウォール街の銀行が日々の資金調達に広く頼っていた翌日物レポ金利は一時10%と、5倍に急上昇した。
金融当局は一時的にレポ金利の統制を失い、最終的には市場を安定させるために国債の買い入れを再開して介入した。
TDセキュリティーズの米金利戦略責任者、ジェナディー・ゴールドバーグ氏は「2019年9月と同じように見えるが、今回は準備預金不足が理由だとは思えない」と述べた。
短期資金調達市場のボラティリティーが懸念されるのは、中央銀行の金融政策運営に支障をきたす可能性があるためだ。資金調達の機能不全は政府などの借り入れコストを圧迫する可能性があるため、より広範な経済にリスクをもたらす。
今回の金利急上昇は、さまざまな出来事が重なったために起こった。国債の急上昇と資金調達需要に加え、規制上の理由から銀行は月末の傾向に従ってレポ市場での貸し出しを縮小していた。一方、政府の借り入れ増加と米金融当局のバランスシート縮小の副産物として、プライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)のバランスシートには国債が膨らんでいたため、短期資金を提供する能力が損なわれていた。
4日に公表されたニューヨーク連銀のデータによると、この逼迫(ひっぱく)は他の主要な資金調達金利にも波及し、担保付翌日物調達金利(SOFR)は1日時点で5.39%まで上昇。ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の代替として2018年4月にデビューして以降で最高の水準となった。
金融当局が量的引き締め(QT)として知られるバランスシートの縮小を進めている現在、銀行のバランスシートの許容度は一段と重要性を高めている。さらに、連邦財政赤字を埋め合わせるための政府借り入れの増加も背景にある。
ただ、今のところは大きな懸念材料にはなっていないようだ。金融当局に預けている銀行の準備預金は約3兆4000億ドル(約500兆円)と、政策決定者が潤沢だと考える水準にある。当局の翌日物リバースレポ(RRP)ファシリティーにはまだ約8150億ドルが保管されている。これは、減少傾向にあるとはいえ、まだ金融システムに滞留している過剰流動性を表している。
ソシエテ・ジェネラルの米金利戦略責任者、スバドラ・ラジャッパ氏は「これは準備預金不足というよりも、ディーラーのバランスシートの問題かもしれない」と指摘。「ここ数カ月、月末に向けて大量の担保が絶えず市場に出回っていることが、恐らくレポ金利の急騰に寄与しているのだろう」と語った。
それでもバークレイズのジョゼフ・アベート氏は、ディーラーが月末後に柔軟性を取り戻し、より高い資金需要に適応するよう取り組んでも、RRPファシリティー残高の減少は続くと予想している。そのため、金利はもう少し高止まりし、最終的にはRRPファシリティーからさらに多くの現金が引き出されることになる。マネー・マーケット・ファンドのようなカウンターパーティーが財務省短期証券(TB)などのより利回りの高い資産への投資を選択したため、RRPファシリティーの残高は6月にすでに約1兆2000億ドル減少している。
アベート氏は、資金調達市場の動きから2つの疑問が湧くと指摘。借り入れによる資金調達の需要は今後も上昇を続け、ディーラーが資金を提供する能力を上回ってしまうのか、RRPファシリティーの資金が1月までに実質的に底をつく場合に金融当局は2024年のどこまでQTを継続できるのかだと説明した。
同氏は4日付の顧客向けリポートで、「歴史は繰り返さないかもしれないが、韻(いん)を踏む可能性はある」との見方を示し、「現在の資金繰りのひっ迫は今週中に落ち着くと予想されるが、RRPファシリティーの減少スピードの速さは、混み合ったロングポジションと相まって、リスクが高まっていることを示唆している」と論じた。
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