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概要:5日の米金融市場では国債相場が上昇。労働市場のさらなる減速が示されたことを受けて、リセッション(景気後退)回避に向け米金融当局が来年に利下げに踏み切るとの観測が再び強まった。
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2023年12月6日 6:41 JST
10月米求人件数、労働市場が冷え込みつつあることを示唆
S&P500種ほぼ変わらず-円は対ドルで伸び悩み、147円前半
5日の米金融市場では国債相場が上昇。労働市場のさらなる減速が示されたことを受けて、リセッション(景気後退)回避に向け米金融当局が来年に利下げに踏み切るとの観測が再び強まった。
国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
---|---|---|---|
米30年債利回り | 4.30% | -11.1 | -2.52% |
米10年債利回り | 4.17% | -8.4 | -1.98% |
米2年債利回り | 4.58% | -5.9 | -1.26% |
米東部時間 | 16時37分 |
米国債利回りは長期債を中心にあらゆる年限で低下。10年債利回りは一時9ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の4.16%を付けたほか、金融政策見通しに敏感な2年債利回りは一時8bp下げた。
10月の米求人件数は2021年3月以来の低水準となり、労働市場が冷え込みつつあることを示唆した。ただ、市場の利下げ観測は行き過ぎとの懸念がここ最近は浮上し、政策転換を見込むトレーダーらにとってのリスクを浮き彫りにしていた。
10月の米求人件数、2021年以来の低水準-労働市場の冷え込み示唆 (1)
8日に公表される11月の米雇用統計では、雇用者数が18万7000人増と予想されている。
BMOキャピタル・マーケッツの米金利戦略責任者、イアン・リンジェン氏は「全体として、雇用に関するこの最新データが相場を動かしている」と指摘。「米国債は強気な値動きが続いた」と述べた。
コメリカ・バンクのチーフ・エコノミスト、ビル・アダムズ氏は「労働市場が過去数年にわたる過熱のあと、鈍化しつつあるのは間違いない」と指摘。「市場は来年に米金融当局が利下げに転換するとの確信を強めている」と述べた。
エバコアISIのクリシュナ・グハ氏は10月の求人件数について、米金融当局が労働市場の正常化において著しい進展を遂げたことを確認する内容だったと指摘。しかし政策当局者らはこれを「下振れリスクが高まった」というよりも、むしろ「望ましいリバランシング」という見方と整合的だとみるだろうと、同氏は話した。
その上で、「このような状況においては、市場の利下げ観測は行き過ぎていると当社では警戒している」とし、「リセッションなくして、6月より前の利下げは想定しにくい。当社はなお、ソフトランディングと3回の利下げを基本シナリオとしている」と続けた。
米国株
S&P500種株価指数は方向感に欠ける動きとなり、前日比ほぼ変わらずで終了した。
銀行株は下落。銀行持ち株会社キーコープが非金利収入見通しを引き下げたことが影響した。大型テクノロジー株は堅調で、アップルやエヌビディアは上昇した。
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
S&P500種株価指数 | 4567.18 | -2.60 | -0.06% |
ダウ工業株30種平均 | 36124.56 | -79.88 | -0.22% |
ナスダック総合指数 | 14229.91 | 44.42 | 0.31% |
外為
外国為替市場ではドル指数がほぼ2週間ぶりの高値に達し、200日移動平均線を上回った。ヘッジの動きや安全資産としての逃避需要に支えられた。
円は対ドルで米求人件数の発表後、一時1ドル=146円57銭まで買われた後、伸び悩む展開となった。
米供給管理協会(ISM)が発表した11月の非製造業総合景況指数は、拡大ペースが加速した。業況と雇用が上向いた。
米ISM非製造業指数、11月は拡大ペース加速-業況・雇用が改善 (2)
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
ブルームバーグ・ドル指数 | 1242.89 | 2.86 | 0.23% |
ドル/円 | ¥147.16 | -¥0.05 | -0.03% |
ユーロ/ドル | $1.0798 | -$0.0038 | -0.35% |
米東部時間 | 16時37分 |
アリアンツの首席経済顧問を務めるモハメド・エラリアン氏は、米連邦準備制度は金利に関するメッセージの力を失いつつあるが、金融市場が利下げが近いと期待するのは間違っていると述べた。
米当局の金利メッセージが力失う、市場は完全に無視-エラリアン氏
原油
ニューヨーク原油先物相場は4営業日続落し、5カ月ぶり安値を更新した。供給が需要を上回っている兆候が意識された。
サウジアラビアは来月のアジア向け原油販売価格を今年2月以降で最も引き下げた。また米国の原油輸出量は日量600万バレル近くに達する見通しで、期近2限月のスプレッドは2月以来の最大に近づいた。
サウジ、アジア向け原油価格引き下げ-OPECプラスの追加減産受け
OPECプラスが表明した日量約90万バレルの追加減産を巡っては、完全に実行されるか懐疑的な見方が根強く、原油相場は弱含みの展開が続いている。OPECプラス以外の産油国による生産量は今年に入り一貫して上振れており、市場では強気なムードが後退している。
シティー・インデックスのシニア金融市場アナリスト、フィオナ・シンコッタ氏は「今回の合意は自主的なものであるため、市場は実際に供給が削減されるか疑問視している」と述べた。一方、需要見通しは中国に対する懸念の高まりによって悪化しているという。
ロシアのプーチン大統領は6日にアラブ首長国連邦(UAE)とサウジアラビアを訪問し、サウジのムハンマド皇太子らと会談する計画だ。
プーチン氏、6日にUAEとサウジ訪問へ-石油・中東情勢を協議 (1)
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物1月限は前日比0.72ドル(1.0%)安の1バレル=72.32ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント2月限は1.1%下げて77.20ドル。
金相場は10月初旬から約1割値上がりしている。イスラム組織ハマスによるイスラエル急襲を受けた逃避買いに加え、足元では米利下げ観測の高まりで上昇に弾みがついた。中央銀行による金購入も今年の金相場の値上がりを支えているが、上場投資信託(ETF)を通じた金保有は減少している。
バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの金属アナリスト、マイケル・ウィドマー氏は「需給そのものの観点から、値上がりが持続するには不十分だ」と指摘。「大きな問題は、ETFで資金流入の不足が続いていることだ。米金融当局が実際に利下げを行うまで、金をロングすることに消極的なムードがある」と述べた。
金スポット価格はニューヨーク時間午後2時20分現在、前日比10.65ドル(0.5%)安の1オンス=2018.77ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月限は5.90ドル(0.3%)安の2036.30ドルで引けた。
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