紅海の商船攻撃、世界経済の新たなリスクに－価格上昇と輸送遅延で

アフリカ迂回、アジアから欧州の到着日数は最低７－10日増加も

• 市場と海運各社が適応し、影響は限定的なものに－ＢＥ予測

イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘に絡んだ紅海での商船攻撃は、輸送の遅延と財の価格上昇につながり、経済に新たなインフレリスクをもたらす恐れがある。

親イラン武装組織フーシ派が紅海を航行する商船を攻撃しており、運送各社は貨物輸送を迂回（うかい）させている。貨物船はスエズ運河を通るルートではなく、アフリカを回航する長距離海路の選択を余儀なくされる。

ジェラード・ディピッポ氏らブルームバーグ・エコノミクス（ＢＥ）のアナリストは、このルート変更は輸送コストの上昇と輸送期間の長期化を意味するとリポートで指摘した。紅海は最重要航路の一つであり、世界の海上貿易の約14％を担っている。

物流情報会社プロジェクト44によると、スエズ運河を通過するコンテナの20％以上がアジアから欧州および地中海沿岸諸国への貨物輸送だ。アフリカ迂回ルートでは欧州到着までに要する日数は最低でも７－10日増えると予測されている。

ただ、この混乱が経済に与える影響は緩やかなものにとどまるとＢＥは引き続きみている。

ブルームバーグがまとめたデータによれば、上海からロッテルダムまでの40フィート（12.192メートル）型コンテナ輸送料は、10月末から44％上昇したものの、新型コロナウイルスが流行していた2021、22年の水準を大幅に下回っている。

この状況に市場と海運各社が適応し、欧州のインフレへの影響は限定的なものになるとＢＥは予測する。

今年に入り低迷している中国の輸出は、来月減速する可能性がある。クリスマス需要の終わりとアジアでの春節（旧正月）休暇前に工場は通常、年明けに閉鎖されるからだ。しかし海運の混乱が長引いたり悪化したりした場合、貿易がさらに圧迫される恐れがある。

ＢＥのアナリストは「世界が見込める最善の展開は、紅海の情勢が安定するまで少なくとも数カ月間は迂回ルートを取るという中程度のリスクシナリオかもしれない」と述べた。