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概要:大胆な賭けで知られるデービッド・テッパー氏は2023年、2つの取引に全てを賭けた。
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2024年1月6日 5:14 JST
大胆な賭けで知られるデービッド・テッパー氏は2023年、2つの取引に全てを賭けた。
一つは約20億ドル(約2900億円)の利益を同氏にもたらした。もう一つは失敗し、同氏に恥をかかせた。
テッパー氏が率いる170億ドル規模のヘッジファンド、アパルーサ・マネジメントは人工知能(AI)ブームに火が付こうとしていたタイミングでハイテク株の投資を強化した。これが勝因の一つとなってアパルーサは20%のリターンを上げ、ブルームバーグ・ビリオネア指数によるとテッパー氏の純資産は194億ドルに達した。
米プロフットボールNFLでの話は別だ。金融界以外ではカロライナ・パンサーズのオーナーとして知られるテッパー氏は、ここでも真骨頂とも言うべき大きな賭けに出た。チームの将来を抵当に入れる格好で、アラバマ大学のクオーターバック、ブライス・ヤング選手を獲得。これで強豪チームの仲間入りを果たせると期待していたが、実際にはリーグ最悪の2勝しか果たせず、6年連続の負け越しに甘んじている。
テッパー氏はいら立ちを隠せず、それは12月31日、試合中のスタジアムで公になった。パンサーズがジャガーズに26対0で打ちのめされる中、同氏は観客席に飲み物を投げ込み、NFLからは「容認できない行為」を働いたとして30万ドルの罰金を科せられた。
「チームに深い情熱」
「私はこのチームに深い情熱を抱いており、日曜日の行動を悔やんでいる」とテッパー氏はコメントを発表。「NFLの行動規範を尊重し、私の行動に対する処分を受け入れる」と述べた。
かつてゴールドマン・サックス・グループのトレーダーだったテッパー氏は、1993年にアパルーサを設立。資金運用では華々しい成功と、大きな落ち込みを経験してきた。それらをならした投資家リターンは手数料前で年率約28%。市場が急落した2022年でさえも、12.5%のリターンを残した。
テッパー氏の広報担当者はコメントを控えた。
昨年はエヌビディアやマイクロソフト、ウーバー・テクノロジーズなどに大きく投資し、米国上場株への投資額は年初の13億ドルから第3四半期には54億ドルに膨らんだ。ブルームバーグの計算によると、テッパー氏の純資産はこれで約20億ドル増加した。
デービッド・テッパー氏(ノースカロライナ州シャーロットのバンク・オブ・アメリカ・スタジアムで)
スポーツコンサルタントのマーク・ギャニス氏は「ヘッジファンド業界の人間は重要な判断を即時に下すことに慣れている。うまく行っていない時は、すぐに状況を抜け出すという具合だ」と話す。「スポーツチームのオーナーとしては、それがうまく行くこともあれば、そうならないこともある」と続けた。テッパー氏がいずれパンサーズを好転させられると、ギャニス氏は考えているという。
メディアとの取引や不動産投資、希少で急速に値上がりする資産を所有するチャンスに引かれてプロスポーツのチームを買収する資産家は、テッパー氏だけではない。スティーブ・コーエン氏は2020年にMLBのニューヨーク・メッツを買収。アポロ・マネジメント・グループの共同創業者であるジョシュ・ハリス氏は昨年、NFLのワシントン・コマンダーズを買収するグループを率いた。シタデルの創業者ケン・グリフィン氏は、マイアミ・ドルフィンズの株式を取得する交渉に入っていると関係者らは述べている。
カーライルのルーベンスタイン氏、オリオールズ買収で交渉中-関係者
コーエン氏は当初、スター選手の大型獲得でファンを沸かせたが、メッツは開幕時の年俸が球界最高の3億4000万ドル超だったにもかかわらず、プレーオフに進出できなかった。ハリス氏はコマンダーズ立て直しのスタートを切ったばかりだ。
パンサーズについては、これまでのところ多くのファンがゲームに足を運ばないことで意思表示している。クリスマスイブにグリーンベイ・パッカーズをホームに迎えたゲームでは、声援の声が大きいパッカーズ・ファンでスタジアムは埋め尽くされた。
パンサーズ・ファンのジョーイ・ブレセンさん(41)は、テッパー氏がオーナーになった後のワクワクした気持ちがフラストレーションに変わったという。チームが負けるのは嫌だが、それよりも最近の飲み物投げつけ事件を含め、テッパー氏のフィールド外での行動に我慢がならないと語った。
「組織全体が恥さらしになったも同然だ」と彼は語った。
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