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概要:ヘッジファンドにとって、大規模災害を巡る算段が昨年の代替投資戦略の中で最高のリターンを生み出す一助になった。
CAT債や他の保険リンク証券に大胆な投資、実を結ぶ
90年代のCAT債誕生以降、今回のような市場見たことないとの声も
2022年にハリケーン「イアン」による影響を受けた米フロリダ州マトラチャ・アイルズのパイン・アイランド・ロード
テナックスのアナリスト、トビー・プゲ氏は「1990年代にCAT債が誕生して以降、このような市場は見たことがないと思う」と話す。ロンドンを拠点とするテナックスの同証券の約120に上るポートフォリオは昨年、18%のリターンを上げた。
代替資産運用業界のデータを提供するコンサルティング会社プレキンによれば、2023年に最も優れたヘッジファンド戦略は、保険リンク証券への賭けで、リターンはプラス14%を超えた。プレキンの業界ベンチマークのリターンは戦略全体で8%だった。スイス・リー・グローバル・CAT債パフォーマンス・インデックス・トータル・リターンはプラス19.7%に上った。
気候変動に起因する異常気象への懸念や自然災害後の復興コストを押し上げる高インフレを背景に、CAT債の発行は急増している。
だが、23年のCAT債の記録的なパフォーマンスの種は数年前にまかれていた。
大型ハリケーンが相次いで米国を襲い、損失をカバーするのに必要な資金を投資家が渋々支払うことになった17年の時点では、同証券は概して不発に終わっていた。19年と20年のリターンもさえなかった。
ミュンヘン再保険によると、イアンはフロリダ州の歴史上最も破壊的な嵐となり、1000億ドル(約14兆8000億円)規模の損害をもたらし、そのうち保険で手当てされたのはわずか60%だった。これを受け、保険会社は帳簿上のリスクの多くを資本市場に移すことになった。また、高インフレで復興コストが大幅に膨らみ、CAT債市場が復活する舞台が整った。
保険リンク証券市場を調査しているアルテミスによれば、23年のCAT債の発行額は非不動産・プライベート取引を含めて164億ドルと過去最高だった。
新たに発行されたリスクの流入を吸収するために、CAT債投資家はより大きなリターンを要求し、それを受け取った。「大災害」リスクを引き受け、投資家が受けるリスクフリーレート対比のプレミアムであるスプレッドは23年前半に高水準に達した。その後、米国のハリケーンシーズンが比較的落ち着き、トリガーとなる事象が少なかったことから、リターンが増幅された。
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