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概要:米銀行規制当局は27日、銀行の自己資本強化などを通じた経営健全性確保を目指す「バーゼル3最終化」に関する包括的な提案を行う。
[ワシントン 24日 ロイター] - 米銀行規制当局は27日、銀行の自己資本強化などを通じた経営健全性確保を目指す「バーゼル3最終化」に関する包括的な提案を行う。
米銀行規制当局は27日、銀行の自己資本強化などを通じた経営健全性確保を目指す「バーゼル3最終化」に関する包括的な提案を行う。写真はドル紙幣。3月撮影(2023年 ロイター/Dado Ruvic)
詳しい内容はまだ不明だが、当局はこれまで、新たなルールは総資産1000億ドル以上の銀行に適用すると述べてきた。大手行の資本運用の在り方が抜本的に見直されることになり、融資やトレーディングといった活動に影響が及ぶ。銀行側は、資本上積みは不必要で、実体経済に打撃を与えると主張している。
◎バーゼル3最終合意とは
バーゼル銀行監督委員会が、2007―09年の世界金融危機の教訓を踏まえて策定したバーゼル3には、銀行の資本やレバレッジ、流動性に関するさまざまな要件が盛り込まれている。世界各国の規制当局は何年もかけて、これらの要件実行に向けた細則を取りまとめてきており、「最終化」部分は17年に合意された。
最終化は、バーゼル委が進めてきた銀行の事業のリスク性に基づいて資本要件を設定するというアプローチを精緻化した内容。米国の提案では、信用リスクと市場リスク、オペレーショナルリスクという主要課題への対処が打ち出されるだろう。
◎信用リスク
米規制当局は、住宅ローンや企業向けローンなどの融資事業のリスクに対してどれだけの資本を手当てするかを判断する際に、これまで認められてきた内部モデルの使用を禁止する見通しだ。
連邦準備理事会(FRB)のバー銀行監督担当副議長は、内部モデルはリスクを過小評価しがちだと発言している。銀行側に資本コストを低い水準に保ち続けたいという動機が働くためだ。大手行は今後、信用リスクに統一化されたモデルの使用が義務付けられるとみられる。
◎市場リスク
大手行には、市場の価格変動やトレーディングで生じる損失に伴うリスクの算定に関しても新たな基準が導入される。規制当局によると、現在のトレーディングリスクは実態よりも小さめに示されているという。
こうしたリスク算定において、銀行は当局のお墨付きをもらった内部モデルは使用が認められるが、バー氏は特定の複雑なリスクには標準的なモデルが必要になるかもしれないと指摘している。トレーディングのリスクは総量ではなく、個々の担当部署レベルで算定しなければならなくなる。
結局、全体的には、トレーディング事業の規模が大きい銀行の資本要件は厳格化されるだろう。
◎オペレーショナルリスク
バーゼル3最終化で新たに定められた重要な領域の一つが、オペレーショナルリスクの算定だ。このリスクは、内部管理や経営の失敗、訴訟コスト、対外イベントなど予想外の事態に起因して生じる損失を指す。
信用リスクと同じく、当局は内部モデルの代わりに標準化モデルによる算定を求めることになる。
一方、銀行側は、こうしたアプローチはクレジットカードや投資銀行手数料など非金利収入に大きく依存する一部の銀行にとってコストが大幅に増大しかねないと警告している。これらの収入はオペレーショナルリスク算定に使われるモデルに含まれており、何らかの是正措置を講じなければ、不相応なほどに資本要件が高まる金融機関が出てくる恐れがあるという。
◎銀行が不安視する理由
一連のルールは長年にわたって策定作業が行われてきたが、銀行はずっと米規制当局がどこかの部分で資本規制の緩和策を提供してくれると期待していた。
各行の資本基盤は充実し、新型コロナウイルスのパンデミックを乗り切った上に、FRBが毎年実施するストレステスト(健全性審査)に合格してきたので、資本要件引き上げは正当化されない、というのが銀行業界の理屈だ。
バー氏も今月、ほとんどの銀行は既に各種要件を十分に満たす資本を確保しているとの認識は示している。
しかしバイデン大統領に選ばれ、全員が民主党員でもある現在の規制当局幹部は、今のところウォール街に対して甘い顔をしようとする動きはほとんど見られない。今年になって3件も銀行破綻が続き、これはかつてないほど厳重に銀行業界を監視する必要があるという証拠だ、と彼らは訴えている。
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