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概要:Yコンビネーターの「デモ・デイ」といえば、かつてはアーリーステージのスタートアップと対面できる、シリコンバレーで最もホットなイベントでした。しかし、このイベントがパンデミックでバーチャル化されて以来、注目のスタートアップはデモ・デイの前に資金調達をするようになっている、とVC各社は言います。
Yコンビネーターの「デモ・デイ」といえば以前はファウンダーと投資家にとって一大イベントだったが……。
Y Combinator
アーリーステージのベンチャーキャピタリストたちにとって、Yコンビネーター(YC)が年2回開催するデモ・デイ(Demo Day)は、1年の中でも特に重要な日とされてきた。
この日は、スタートアップのファウンダーたちにとっては自社を大勢の聴衆の前でお披露目する晴れの舞台。そして投資家たちにとっては、シリコンバレーで有名なアクセラレーターたるYCの直近のクラスで仕込んできたことの成果をようやく目にすることができる日だった。また、ファウンダーと投資家が直に一堂に会し、握手を交わし、うまくいけばディールがまとまる場でもあった。
しかし、バーチャルでのデモ・デイを3年間続けてきた結果、そうしたスタートアップのデビューへの期待感や輝きは薄れ始めていると、Insiderが取材した複数の投資家は話す。「たとえ対面式になっても、もう行くことはない」。匿名を条件に応じたある投資家はそう言い、次のように続ける。
「どのファンドも、デモ・デイの前にYCの優良企業にコンタクトしようとしていますよ。トップファンドはすでにデモ・デイの前にYCの参加企業と会っていて、もう投資をしています」
かつてはデモ・デイの前に外部から資金調達をすることは禁じ手とされていたが、今ではバーチャルイベントを前にした新常識になっていると、くだんの投資家は明かす。2023年夏のデモ・デイは、9月6〜7日にバーチャルで開催された。
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デモ・デイのバーチャル化で状況に変化
「デモ・デイの輝きが一部失われたのは、企業の資金調達が早まったからでしょう。私としても、早く参加することが重要です。デモ・デイの前に注目のスタートアップが資金調達を行えば、そのバリュエーションは急上昇するでしょうね」
そう語るのは、オハイオ州コロンバスに拠点を置くブルックナー・ベンチャーズ(Bruckner Ventures)のゼネラル・パートナーであるエリック・ブルックナーだ。
InsiderはYCの社長兼CEOであるギャリー・タンを取材。デモ・デイの前に資金を調達するスタートアップについて質問したところ、「多くの優良企業がデモ・デイとその後に資金を調達しています」とメールで回答を寄せた。
「コインベース(Coinbase)、インスタカート(Instacart)、ホワットノット(Whatnot)、ラッピ(Rappi)、エアバイト(Airbyte)、リツール(Retool)などの各社の資金調達には、デモ・デイで参加することができました。何年も前からそうでしたし、今も変わりません」(タン)
以前はこうしたシード・ラウンドに手を出さなかった大規模なマルチステージ・ファンドが、エマージング・ファンドやエンジェル・シンジケートがディールに参加する前に、話題性の極めて高い企業の資金調達のラウンドに割り込んできている。それが早期資金調達の最大の要因だ、とブルックナーは語る。
また、こうした大規模なマルチステージ・ファンドなら、多くのエマージング・ファンドマネージャーが長い間不満に思っていた、YCのスタートアップにつきものの高額投資も引き受けられる。
YCは、支援先スタートアップに対する標準的なディールを変更し、50万ドル(約7200万円、1ドル=145円換算)を2回のSAFE(将来株式取得略式契約スキーム)に分けて企業に投資すると発表した。1回目は、スタートアップの7%の株式を取得する見返りとして12万5000ドル(約1800万円)、2回目は、その投資に対して将来の出資者に提示される最高の条件を得ることを意味する最恵国待遇条項付きの37万5000ドル(約5400万円)である。
YCが高い出資比率を取ることで、ファウンダーたちは以前よりはるかに高い金額で資金調達を行うようになり、小口投資家はほとんどオーナーシップを得ることができなくなった。
12カ月後に窮地に立たされるスタートアップも
スタートアップのシード段階でのバリュエーションは2023年も下がっておらず、ここ数年の水準を維持している。ピッチブック(PitchBook)のレポートによると、第2四半期のシードスタートアップの事前評価額の中央値は1000万ドル(約14億5000万円)だった。
エンジェル主導のアーリーステージ・ファンドであるFJラボ(FJ Labs)のパートナー、ジェフ・ワインスタインは、LinkedInへの投稿の中で、「こうしたファウンダーたちがデモ・デイの前後に投資不可能な価格で資金を調達していることを考えると、われわれは価格面でパスし、12カ月後に再検討することが多くなっている」と記している。
「2017〜2020年ごろなら800万ドル(約11億円)の資本を調達していたようなYCスタートアップが、現在では2000万ドル(約29億円)の資本を調達している。
これは、YCの投資額と最恵国待遇の大きさによるところもあるが、こうした企業が誤ったアドバイスを受けているように感じられるし、もう2021年ではないことを頑なに認めていないようにも感じられる。
もし、そうしたスタートアップがまったく問題なく事業を遂行し、自社のプロダクトがPMF(プロダクトマーケットフィット)を見つけ、何年も運営できるような資金を調達できるならいい。しかし、12カ月後には、ストーリーではなく事業成績の倍率(マルチプル)で評価されることになり、スタートアップが窮地に立たされることが往々にして起こる。
こうしたファウンダーたちがデモ・デイの前後に投資不可能な価格で資金を調達していることを考えると、われわれは価格面でパスし、12カ月後に再検討することが多くなっている」
「YC印」だから安泰というわけではない
しかしYCは、より多くの投資家から投資を受けられるのは、YCが支援先に選んだスタートアップ企業にとって良いことだと考えている。
2023年5月、タンはアクシオス(Axios)のビッグファイナンスディール(BFD)カンファレンスで、YCのファウンダー向けのバーチャル・デモ・デイの利点をアピール。ファウンダーは直接参加できる投資家だけでなく、より多くの投資家から資金を集めることができると述べた。「Zoom上でデモ・デイを行えば、ファウンダーはより多くの資金を調達できる」と、タンはこのカンファレンスで語っている。
しかし、これらの要因が組み合わさると、デモ・デイの前に資金調達ができていないファウンダーたちは、この市場での資金調達が厳しくなる可能性がある。
あるアーリーステージの投資家は次のように語る。
「YCのスタンプが押されているから資金調達ができる、というわけではありません。YCのスタンプが押されたとしても、まだ資金調達できない可能性もあります」
投資家にとって、最高の案件がデモ・デイの前にすべて食い尽くされてしまうと、バーチャルのデモ・デイに参加する意義が薄れると、この投資家は付け加えている。
多くのファウンダーや投資家は、パンデミックの時期にYCがバーチャル化したことを受けて、YCのブランド価値を今以上に疑問視していた。しかし、投資対象クラスの規模が小さくなり、アーリーステージへの投資に焦点が絞られたこと、そしてタンの就任から1年以上が経過したことで、こうしたささやき声の一部は沈静化しつつある。ある投資家は次のように語る。
「YCにはネームバリューがあると思いますが、2、3年前ほどではないでしょうね」
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