自動車ビッグ３、異例の一斉スト－バイデン氏｢ウィンウィンの合意を｣

全米自動車労組（ＵＡＷ）は15日未明、３大自動車メーカー（ビッグスリー）に対するストライキに入った。ビッグスリー従業員の一斉ストは異例。賃金や雇用保障を巡る対立が長期化すれば、大きな損失をもたらす可能性がある。

深夜の期限を過ぎて、スポーツタイプ多目的車（ＳＵＶ）「ブロンコ」を製造するフォード・モーターのミシガン州工場と、「シボレー・コロラド」を組み立てるゼネラル・モーターズ（ＧＭ）のミズーリ州工場、ＳＵＶ「ジープ・ラングラー」を製造するステランティスのオハイオ州工場では、労働者が職場放棄を開始した。

ＵＡＷの戦略はストライキ資金への影響を最小化しつつ、収益性の高い車種の生産をピンポイントで縮小するというもの。交渉の進み具合に応じてストを行う工場を増やすとＵＡＷは説明している。

バイデン大統領はホワイトハウスで15日、スー労働長官代行とミシガン州出身の大統領顧問ジーン・スパーリング氏をデトロイトに派遣すると表明。「両当事者が合意に達するのを全面的に支援する」と述べた。

バイデン氏は米自動車メーカーの記録的な利益が労働組合員に公平に分配されていないと指摘した上で、「ウィンウィンの合意が結ばれる」ことを望んでいると語った。

ＧＭのメアリー・バーラ最高経営責任者（ＣＥＯ）はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、ストに対する不満を表明。最新のＧＭ案は151年の歴史で最高の内容だとした上、「非常に失望している。これは起こる必要のなかったストだ」と述べた。

ストの影響は経済全体に波及する可能性があり、３工場での生産が停止することで部品サプライヤーが打撃を受けることが予想される。

全米製造業者協会（ＮＡＭ）は声明で「全米の中小製造業者は労働者が労組に加入しているかどうかにかかわらず、このストの打撃を受けるだろう」と述べた。