英インフレ率は８月に加速か、英中銀の利上げ停止時期巡る議論複雑化

８月の英ＣＰＩは７％上昇へ、６カ月ぶりのインフレ加速か－調査

• ＣＰＩ発表の翌日に英中銀は政策決定の予定－利上げ予想が大勢

英国のインフレ率の予想される上昇は、イングランド銀行（英中央銀行）による利上げ休止時期の判断をさらに難しくしそうだ。

ブルームバーグが集計した30件余りの予想の中央値では、20日発表予定の８月の英消費者物価指数（ＣＰＩ）は前年同月比７％上昇と、７月の6.8％上昇から加速したと見込まれている。予想通りなら２月以来のインフレ加速となり、エコノミストらは燃料価格変動に起因するとしている。

UK Inflation Is Expected to Accelerate for First Time in Six Months

Economists surveyed by Bloomberg see August CPI rate hitting 7%

Source: Office for National Statistics, Bloomberg

インフレ率の下振れを英中銀は予想していたが、翌日に金融政策委員会（ＭＰＣ）を開き、今のサイクル最後となる利上げを行うかどうかを決める同中銀にとって、エコノミスト予想通りとなれば状況は複雑になる。ブルームバーグが調査したエコノミスト50人以上のうち１人を除いた全員が、21日に英政策金利が0.25ポイント引き上げられ5.5％に設定されると考えており、金融市場からも圧倒的な支持を受けている。

一方で、英中銀は次の利上げの後に一時停止するとの臆測も強まっている。ベイリー総裁とチーフエコノミストのヒュー・ピル氏によるハト派的な発言に加え、欧州中央銀行（ＥＣＢ）が方向転換を図っていることから、トレーダーの間では英中銀のその後の利上げ観測は後退。来年２月までに追加利上げが実施される確率は60%と想定されている。

英国の経済見通しは６月以降、悪化しており、14回連続の利上げが生産に打撃を与え始めているとの見方が浮上。経済全体が停滞する中で物価上昇が続くリスクから、英国も欧州と共に「スタグフレーション」の時代に向かっているとの懸念が広がっている。